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悪魔はふたたび/犯人はお前だ

2015(平成27年) 6月23日 記


 先生が面会に来た。
 クリニックの服部サンから俺あてに返信が届いたのだ。

『ひとつあやまらなければならないです・・・面談を重ねているうちに俺の性格、癖、話し方などから1日も早く通所していればもっと違った人生を送れる手助けができたのではないか?』
と来ている。俺は先生に聞いたよ。

『先生、自分は服部サンと会話するよりも倍の時間先生と話をしてますが、自分の性格、癖、話し方から1日も早く病院入れた方が良いと感じますか。』って・・・。

 そしてゴトーサンの様な方が生きづらい社会でどうやって生きて行くか?日本国民すべての人が・・・。とも来ている。どんだけ上からなんだ?
 俺は完全にキチガイ扱いだナ。
 最も本当のキチガイは「俺はおかしくない」と言い張るらしいが。
 もう一度榎本クリニックに世話になりたい。と、書いたからな。
 そしたら、それだけで俺の薬に対する考え方が変わったのが判るかと。
 道を間違えたなら戻ればいい。
 なぜ間違えたか考えて下さい。
 そして自分で軌道修正して下さい。待ってますよ。
 もう一度榎本を目指して歩いてみませんか。・・・だってサ。
 それでまた失敗したら警察に突き出されちゃうのか?
 でもここまで書かれると、また迷うんだよ。やっぱり福祉やクリニックじゃないのでは?
 それともこの服部サンは何も知らなかったのでは?
 でもサ。一つ確実なものがある。
 服部サンはお袋に電話を掛けて、息子サンは出所した次の日からすでに覚せい剤をやっていたと言ってる。 警察以上にお袋には知って欲しくな
い事だと言ったのにだ。
 思えば突然お袋の様子が変わったんだ。
 その意味がよく判った。
 お袋に心配掛けたくないからクリニックに通う事を承諾してるのに、人に断りもせずチンコロの電話を入れられるのだから、
 俺も人の良いのはたいがいにしなくてはならない。
 どんな神経でこんな手紙が書けたんだろうか。

犯人はおまえだ

2015(平成27年) 6月24日 記


 結局、俺だけがクリニックをクビになったろ?
 翌日、言われた通りに福祉へ顔を出したよ。
 服部サンも来ていた。林サンの上司の采野ってのも出て来た。
 服部サンはカギの付いた精神病院へ入れと言ったよ。
 そしていつ出られるかは判らないがその時が来たらもう一度榎本クリニックの理事長に頭を下げろって。
 それからどうするか決めるっていうんだ。
 俺は、あの理事長に、あのミーティングは意味があるのかって聞いたり、皆で年2回の海外旅行に行けると自慢げに言うのに対して、治療に来てる病院で保護の金を使ってそんな事していいのかって聞いたら、

『あなたも生活保護が欲しくてここに来たんでしょ』

なんてこと言われて、この野郎ってなったことある。
 だから嫌いなんだ。はっきりあの理事長に頭を下げる気はないよと伝えると、本人に薬を止める気はない。となったらしい。
 これで俺は就労一本。
就活のみに切り替わったよ。
ほとんどの人は2週間に1回福祉に顔出すくらいなんだけど、俺には毎日9時に顔を出せと義務付けて来た。だから俺の就活は毎朝9時に福祉に行ってから一日が始まる。
 要は俺が薬を使ってないか毎日様子を見るとの事だろ。
 数日が過ぎると、また服部サンが来ていて、俺に言うんだよ。
クリニック内で尿検やったらまたしても4人の陽性反応者が出た。
それを何と、

『彼らに薬を売り渡しに行ったでしょ』

と疑ってやって来たのだ。あまりにも失礼な話である。何と言い訳しようとも俺の事をクリックは邪魔に思っていたのかナ。
 その数日後だよ。警察が俺のところに来たのは。
 あの日も俺は朝9時、福祉に顔を出しに行くところだったのサ。

PS
とんでもないことになってたけど、今はあまり考えたくないな。
やってた俺がとどのつまりは悪いのに、往生際が悪くあたふたしてるようにしか見えないよ、今この日記を見るとね。
あの頃の俺に言ってやりたい。
黙って早く刑務所いけよ。

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