俺には見えねえよ!
2014.3.27
今やってる作業はさ、新米のやる仕事なんだが、これが結構厳しいのさ。なぜかオーケーが出ない。なんたって紙ヤスリで部品を削るだけなんだけど
同じ班の新米は、材料に傷が残ってるとか残ってないとかあちこちで班長とやりあってるわけだ。
班長は材料を目線の高さに持ち上げて、窓の外の明かりに反射させながら細かい傷をさがしてはダメだしする。もちろんオヤジもたまに見に来てはその辺うるさいのだが、班長はそれに輪をかけてうるさい。
俺はどんな作業も文句は言わず潔く受け入れて生活しているつもりだから何でもやれと言われたことはやっている。・・・というとかっこいいんだが今日は朝からやっている材料にオーケーが出ない。
班長は蛍光灯の明かりに照らしては「ここ、縦に傷がありますね」って言うけど俺には全く見えない。
しかし、あるというならその部分を削ってまた見てもらう。それでもここに傷が、ここに線が、と,同じことの繰り返し。
ついに俺も「俺には全く見えないですね」と、いささかキレ気味。
仕方なくやり直そうとするが、どこのを直していいか分からずイラつくわけだ。「傷なんかどこにも見えねえよ」と大声で言い放ってハッとする。
オヤジの耳には届かなかったようだが、あぶないあぶない。頭に気が昇ると、どうでもよくなっちまう。悪い癖だ。材料ぶん投げるとこだったぜ。
これが成長してないって事なんだよね。仮釈狙ってんだから、ここでやっちまったら、今までの苦労は水の泡。
はい、ひとつ深呼吸して。そう、まずは笑ってみよう...
平原さん、悦ちゃんと幸せに。