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子供達の視線 初公判って?

2015(平成27年) 7月16日 記
 どうして俺の裁判の日がこうなっちゃうのかネ。
 本日俺の初公判の傍聴人席は満席だよ。誰が来たのかって?小学校の社会見学の皆サンだ。少年少女たちの興味津々の視線の中、ドアは開いて、手錠と腰縄を打たれた極悪人の登場だよ。オイオイ。君たち。俺をそんあ目で見ないでくれ。俺は本当はそんなに悪い人間じゃないんだ。本当は心やさしいオジサンなんだぜ。
 オイ、そこの君。どうしてそんなに俺をにらむんだ。君に何もした覚えはないし、何もしやしないよ。と、こんなふうに言いたいところだけど、違うネ。やっぱり子供たちから見たら、この場に現れる被告人は、たとえどんな理由であろうと、どんな罪名であろうと、悪い奴には変わりはないんだ。それなら逆に大人になって、こんな俺のようにならないように、俺は恐ろしい人間だと思わせてやるのがあの子たちにできるせめてもの善業か?「ウォーッ」と大声を出しながらあの子たちに襲いかかるマネをしようと思ったんだけど、われに返ってやめる事にした。俺はこれから裁判を受ける身だった。チャマが情状証人出廷のために最前列に座ってたよ。「悪いなァ・・・」と目で合図したらうなずいてた。いくら幼なじみと言えども、カッコ悪いところを見せた。チャマを呼んだ事は本当に正しかったのかなナ。ともあれ奴はビシッとやることやってくれた。なあ、チャマ。ありがとう。チャマの出廷を無駄にしないと約束するよ。

PS
証言台に立たされた俺を見て、あんなふうになったらおしまいだ。
そう思ってくれてもいいさ。

(写真)
お袋の病院にこの写真を絵葉書にして送ったら怒ってたな。

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