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どっちが大事?

2015(平成27年) 5月22日 記


 先生の面会だ。この弁護士の先生に俺は全て包み隠さず話をしてきた。 残ってた薬を安易にやっちまったのが今回のような大惨事を招いたが、心の中では本気で薬を断つ事を考え努力してた事を信じると言ってくれた。
 そして先生は、今日は本を持参しましたと俺に見せる。
 矯正協会が発行している"薬物はやめられる?"という依存症からの回復を目的としたマニュアルブックだ。

『どうです。これ読んでみませんか。』

と言われて『読みません。』って言えるか?この場合。

『先生、自分も覚せい剤に関わる本はこれまで何十冊も読んでますよ。それでも書いてあることは・・・』

と言いかけるや、『これは読んでますか?』というので正直に『いいえ』と答える。

『この本は覚せい剤の再使用に至らないためにはどうするか。というのをエクササイズに答えながらすすむようになっています。
 私はね。ゴトーさんから本気で薬とは縁を切ろうとしている熱意をビシビシを感じるんですよ。
 だからこそ立ち直ってほしい。もしゴトーさんが読んでみたいというのであればこの本差し上げます。』

って言われれば俺も

『先生、それはありがとうございます。』

って言うよ。すると先生。

『大学ノートも3冊買って来たのでこちらも使って留置に居る時間を無駄にしないよう頑張ってみて下さい。』

 って。大学ノート3冊って・・・今、必死に裁判官に提出するための反省文を書いてるのに参ったよ。
とんだ宿題を出されちまったが仕方ない。それも有りだ。

『しかし先生、自分は誰にうたわれたのか判らないまま2年も3年も行く気はないんですよ。早く帰れるような判決を・・・』

「ごとーさん。やってしまった事の判決はむこうが決める事。
 それよりもまずはゴトーさんがいかにして薬を止めるか?これを第一に考えましょう』おいおいおーい。ちょっとそれは待ってくれ。『先生、申しわけないけどその順番。入れ替えてもらえませんか?』

PS

今俺はシャバで仕事してるけど、どうも手元しか見ない癖が抜けない。
刑務所で植え付けられた作業態度のことだ。
脇見は一切許されず、自分の手元だけを見て言われたことだけに集中する。
こんなことがシャバの仕事で通用するかあ!
何とかプリズンシンドロームとか言って刑務所は、シャバで通用しない人間を作り出してるらしい。
今まさにその犠牲者となってる俺だ。
もっと周りを見て仕事しなけりゃいけないな。
そう感じてる今日この頃だ。
(写真)
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