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ワーホリで「これ作ったシェフ呼んでこい」って言われた話

海外で働くって想像するだけで大変そうで、難易度高そうですよね。
けどやってみれば意外と流れに身を任せるだけで、勝手が分かってくるもんで、気がつけば普通に働けているもんでした。
今日はその経験について書いていこうと思います。

どうやって仕事を見つけたかに関しては、以下の記事で書いてますので興味があればぜひ呼んでみてください!


レストランの愉快なメンバー達

前回の記事で少し話しましたが、雇ってもらえるかどうかの試用期間があったのですが、元料理人の経験があったおかげで正式に認められ、晴れてメンバー入りしました。
内情としては、給料は2週間に1回手取り13万円が支払われ(月換算で26万円)、休みは定休日の月曜日と週に一回好きな曜日を休めるといった感じで、かなり高待遇でした。
キッチンの当初のメンバーはインド人1人、ベトナム人1人、カナダ人3人で、サービスはカナダ人5人、イタリア人5人でした。

当時の英語力

初めの試用期間で実力は認められたものの、当時の英語力はほぼ皆無。職場での会話は日常会話を含め、全く何も分かりませんでした。
ただ業務に関しては、ジェスチャーと周りの動きを見て合わせていれば、案外普通に働けるものでした。(多少慣れもあると思いますが。)

ただ、せっかく海外に来てるし、英語を話せるようになりたかったので、日頃からメンバー同士の会話に耳を立てて英語を聞くようにしていると、2週間ぐらいで何となく何を話しているのか分かってくるようになりました。
するとある日の会話で、インド人を筆頭に職場のメンバーに私がいつ辞めるのか賭けられている事が分かりました。

まぁ英語を全く話せないですし、私だけオーナーシェフから特別扱いをされていたので、そんな会話をしたくなる気持ちも何となく分かりますが、
何故かその時は「絶対辞めるか!アホ!」という気持ちが強く出て、絶対ここで成り上がってやるって気持ちになりましたね。笑

前菜担当からパスタ場のシェフへ

逆にその日から余計に仕事に熱が入り、メンバーに対しても必要以上にコミュニケーションを取って良い関係を築いていく事を意識しました。(海外に行けば勝手にポジティブ思考になります。)

すると、その積極性が認められてか、今まで前菜とデザート担当だったのですが、オーナーシェフからパスタ場のシェフに任命され、仕込みから発注まで任せてもらえるようになりました。

そこから給料も手取りで月30万円に上がり、メンバーにも認められ、プライベートでも遊びに行くようになり、万々歳でした。

前向きに働いていれば物事はいい方向に進んでいくもんですね。

パスタ場のシェフからピザ職人へ

パスタ場のシェフになってからは、毎日が楽しい日々。
仕込み中は爆音の音楽が流れ、左を見れば小道具を楽器に見立てて熱唱しだすカナダ人、右を見れば狂ったように踊り出すベトナム人。

これが海外か。これが海外なのか?って感じでした。

そんな日々も半年がたった頃、当時店で唯一のピザ職人の人が諸事情により、退職することになりました。

非常に寂しかったのですが、新しい夢が見つかったとの事で、みんなで応援して暖かく見送ることにしました。

ですが、問題になるのがピザ場の欠員。
何人か新しいメンバーを増やそうと試用で雇ってはみたもののオーナーシェフの目は厳しく、みんな採用には至らずでした。

逆にこれはチャンスか?と思い、学生時代にイタリアンでバイトしていた経験を思い出し、賄いでピザを作り、「給料上げてくれるなら俺がピザ職人になってもいいよ」と半ば冗談でオーナーシェフに食べてもらいました。

すると、奇跡的に認められ、月36万円でピザ職人になれと言われました。
もちろんやらない理由はないですよね。
ただ、たかが学生時代のバイトの知識しかないので、その日からピザに関して独学で猛勉強しました。

「これ作ったシェフ呼んでこい」って言われた話

そんな日々を半年ほど過ごしたある日、カナダで有名なレストランのメンバーがうちのレストランに団体で食べにくる事になりました。
正直海外の料理人事情までは全然詳しくなかったのですが、オーナーシェフがその日は貸し切りにするぐらいだったので、メンバー全員相当すごい人達が来るんだと実感し、その日だけは狂ったように踊りだす人はいませんでした。

いざ、団体が入店すると、オーラに圧倒され、一気に緊張感が走ったのを覚えています。
ただその日だけ特別に頑張る事はせず、いつも通りのピザを振る舞うことを意識してました。

一通り料理を出し終わったタイミングで、団体の中の偉い人が「このピザを作ったシェフを呼んでこい」とサービスの人と話している声が聞こえました。自分のピザがまだまだ至らない点があったのかと思い、怖くなって裏口に隠れに行きました。笑
ですが、オーナーシェフにすぐに見つかり、「一緒にいくぞ」と言われ、二人で団体の方達に挨拶にいく事になりました。

手が震える中、団体の中のシェフからの質問で

「ピザはどこで修行したの?」と聞かれ、

「学生時代にイタリアンでバイトしてました」と答える私、

シェフ「マジか…」

少しの沈黙…

もう早く帰らせてくれ…と思ったその時、
シェフが「お前のピザはカナダで食べたピザで一番美味しかった。」と言ってくれ、それと同時に団体客から自分のレストランのメンバーまで周りからの大拍手。

感動で半泣きになりながら、深々と頭を下げ、「Thank you so much.」と心の底からお礼を言いました。

言葉にならない嬉しさがあり、本当に海外にきてよかったと思いました。

最後にこの経験を通して伝えたいのは、

前向きに頑張っていれば、物事は必ずいい方向に向いていく

という事です。
ここまで読んでいただきありがとうございます!

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