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このことが無かったら五足のくつはできなかったに違いない その14.

ようやくできあがった大切な事業計画書。 ずいぶん古びてきたように思う。それだけ年月がたったのだろう。 今でもこの事業計画書を繰り返し読んでいる

『捨てられた事業計画書』

「北海道と沖縄に観光客が多いのは、なぜだかわかる?」
ホテル&レジャーコンサルタンツの城堅人先生は、 まだ荒れ果てた状態の私の土地でこのように質問し、続けた。
「それは、日本列島の果てにあるからです。 とにかく人は、果てに行きたがる」
「では、富士山の頂上にホテルがあれば、賑わうのでしょうね」
そうです。 だから、西の果てのこの土地を買ったあなたのこれからの人生は、 今までとは全く別なものになるはずです」

最初の事業計画書を作成するのに一年ほどかかった。
そして、それを携えていくつもの銀行や、ゼネコンなどを廻った。
天草のわずか10室の旅館の息子が莫大な投資の話をして歩くのである。
その姿は、滑稽であったろうと思う。 自分にとっては、ようやく出来上がった大切な事業計画書であったが、 それを受け取った側にしてみれば、 数々の実現しなかった事業計画のひとつとして、 すぐにでもゴミ箱のなかに捨てられてしまっていたに違いないと思う。

そして、私は、どのようにすれば 話をまともに聞いてもらえるのだろうか、と悩み、 ひとつの結論をだした。

伊賀屋旅館の売り上げを最大限に伸ばすことと、 他にも事業を拡大することだ、と決め、 千葉の浦安の駅ビルにラーメン店を出すことにした。


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