掌打・掌底打ちと張り手の違い 威力が弱いと誤解されがちなビンタ
ビンタといえば、主に、女性が怒ったときに行う反撃方法です。
確かに痛みが発生することで、相手を威嚇したり、牽制することには役立ちます。
ただ、ほかの手技に比べて、強いダメージを与えられるイメージがわきにくいです。
格闘技のルールによっては、危険なパンチより掌打で顔面を攻撃する場合もあります。
それでも、当てる部位によっては、拳打以上に大きなダメージとなるときもあるのです。
使い方次第で、威力が弱いつなぎ技とはなりません。
アゴを突き上げるアッパーカットや耳を叩く掌底打ちがその代表です。
アッパーは、打撃面積が広いので、アゴをつつみ込み、硬い骨から脳へフルに力が伝わっていきます。
その結果、脳が揺さぶられ、深刻なダメージにつながるのです。
勢いが強すぎれば、生命にも関わりかねないので、この技を使ってはなりません。
ほかにも、頭部のコメカミ、顔面を狙ったりもします。
ただ、この部位は、威力を実感しにくいかもしれません。
特に、柔らかい胴体を狙うくらいだったら、拳打の方が適しています。
ちょうど、掌打・掌底打ちは、ボクサーグローブをはめた拳打に似ているのです。
皮膚やカワの柔らかいクッションで、頭部の丈夫な骨に接触し、手の骨から伝わる内部からの勢いによって、脳に大きな衝撃を与えていくのです。
これが生身の拳なら、硬い骨を当てるだけです。
当然、手を痛めるでしょう。
くらった相手は、意識が朦朧とし、土台がクラクラになると思います。
アゴや耳以外を狙う掌打・掌底打ちは、複数の人間で訓練しないと、修得はかなり困難です。
なぜなら、実際、威力を実感した技でないと、使い物にならないからです。
痛くて効きそうな技だと、自分で納得しないと、自信をもって護身技を打てません。
特に、アッパーカットでない掌打は、軌道がアッパー上ではなく、上から下に叩きつけるように放つのが基本です。
当たってから押すというよりは、叩いてねじり込む感覚が正しいと思います。
その分、スイングする動作で技を見切られてしまうかもしれません。
頭のてっぺんに掌打をくわえても、インパクトがうまく伝わるとは限りません。
専門の指導者から手ほどきを受けないと、身につけるのは難しいです。
そのため、護身術で掌打・掌底打ちを放つときは、有効とされる打撃部位を限定して使うべきです。
押して放つ掌打の場合、相撲の張り手と同じ原理です。
力士の場合、超重量級ですので、突進から放たれる張り手は、ものすごい破壊力を生みだします。
脂肪で太っているかのように見えますが、力士は筋肉の塊なのです。
隙はでかいですが、当たれば、吹き飛ばされるでしょう。