投げ技を封じる手はじき 手首関節の根元を押しだすはずし技
超近接距離で、不注意にも、相手に首や肩をつかまれると、手足のように脱出をはかることが困難になります。
相当なタフネスを誇る大きい男なら、投げ飛ばされる恐れがあります。
筋肉質な肉体で強い圧力をもつ相手なら、ホールドされて逃げることができません。
しかも、相手が、ここまで、打撃技を1発も放っていないため、こちらから打撃技を放てば、正当防衛上、不利になる可能性があります。
図1
ちょうど、上の図1のような状況です。
体格差が違いすぎて、容易に反抗することができません。
そんなとき、使えるのが、皮膚にねじりこんだ手のグリップ付近ではなく、可動する手首関節の根元近くを押しだす手はじきです。
狙う部位が手首関節なのは、肘や肩関節を押した場合、手首や肘、肩を曲げることで、せっかく与えた衝撃を吸収される恐れがあるからです。
指の部分を無理やりはずそうとしても、10本全ての指をいっぺんにとることは困難です。
仮にできたとしても、はがす力が相手の指ごとにバラバラになり、勢いを分散されてしまいます。
そのため、急所であるリストの部分を圧迫しながら、体にこびりついた手を引きはがしていきます。
両手でつかまれた場合、同じタイミングで力を加え、腕をふき飛ばしていきます。
投げ技を封じるはじき方は、下記の図2のようになります。
図2
具体的な放ち方は、アッパーの打撃手順に似ています。
腰を深く落とし、膝を曲げることで、両足のバネをつくりだします。
そして、大地を蹴りだす要領で、上方向へとはねあがり、その勢いを両手に伝えていきます。
そこから、手首の急所を、掌底の部分で押すようにはじきます。
このように、いきなり急なインパクトを受けることで、暴行者に一瞬の隙が発生します。
そこから、後方に大きくステップし、緊急回避することで、危険な間合いから離れたり、逃げの動作につなげていきます。
しかし、このシチュエーションは、足の踏みつけや、金的への膝蹴り、首への手刀打ちなどの打撃技の方が容易に対抗できるのです。
なので、実のところ、暴行者のつかみがかりが乱暴で痛みの生じるものであれば、打撃もやむを得ず使うしかないでしょう。
微妙な判断となりますが、正当防衛が成り立つかもしれません。
逆に、相手も同様のはずし技を使ってきた場合、投げ技は使いにくくなります。
これは、関節技についても同様です。
従って、突きつめていけば、打撃戦へといきつきます。
そうなれば、隙がないスピーディーな攻防技術をもつ護身者が、その場を回避することができるのです。