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地伝#11 ◾️1996年 ネイキッドアーツ

ウォーキンストアは大阪と京都で10店舗ほどに増えて勢いに乗っていた。渋谷に出店が決まったと聞いて、迷う事なく行きたいと手を挙げた。あっさりと任命されて4月には引越しをする予定になっていた。

アメ村三角公園前の地下にあるNeedlesというライブハウスでウォーキンストアのイベントをすることになった。出演者を考えている時にPヴァインの石山さんがネイキッドアーツが良いよ、とお勧めしてくれて呼ぶことにした。

ネイキッドアーツはいくつかの音源を発表していてフルアルバムが期待されている大事な時期だった。


キングギドラ、ペイジャー、ライムスター。東京のラップグループを関西に招いてきたが、例外なく皆アーティストの振る舞いをしていた。少々雑な言い方だが、気取っているのだ。
こちらはギャラを支払って憧れのアーティストをゲストに招いている。向こうからしても期待に応えるためカッコ良くなければいけないとか、ブランディングであったりとか考えていたのかもしれない。


そしてネイキッドアーツ。新大阪駅で初めて顔を合わせた時には他のアーティスト同様のオーラを感じた。が、しかし。

心斎橋まで移動中の車内の会話。ちょうど何かで前歯が欠けてしまったトンクさんに対して「せっかく大阪に呼んでくれたのに恥ずかしい」と格好を付けたいサスさんが文句を言う。文句を言われて笑うたびに欠けた前歯が見えるトンクさん。怒るサスさん。


リハのため夕方ごろ会場に到着した。入れ替わりでやっていた前のイベントが撤収作業をしている。ケータリングの唐揚げかなんかを摘み食いするトンクさん。みっともないからやめろと怒るサスさん。


関西に来た他のラッパー達とは違う親しみやすさを僕は感じていた。

サスさんは今年の春ごろに渋谷でアパレルショップを開店するらしい。僕もその頃には東京に引越しをしているので顔出しますね、と話していた。

この時の縁で、数年後に僕はネイキッドアーツの方々と一緒にサスさんのお店GROPE IN THE DARKで働いていたのだった。


・豆知識
ネイキッドアーツの名曲「浸透」のビデオにはリュウゾウが映っているので当時の強烈な存在感を確認してほしい。残り20秒あたりにソロで抜かれている。リュウゾウに続いて、後に僕が籍を置くことになる走馬党のQと山田マンが映るのも感慨深い。



※追記

さっそくサスさんからコメントを頂いた。

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