『フライングアローは何処へ?』(ソロ活動初期に思い馳せる)
ふと思った。
もしマイケル・シェンカーがUFO脱退後に組んだ、ソロ活動初期のメンバー・・・
ビリー・シーンとデニー・カーマッシとデビューしていたら・・・
きっとマイケルを取り巻く環境は全然違うものとなり、プレッシャーも軽減されていたのではなかろうか?
1st期はモ・フォスターにサイモン・フィリップスとリズム隊がセッションという事もあり、気負いも少なかった筈だが、いかんせんその後が豪華過ぎた。
コージー・パウエルの参加だ。
ゲイリーもクリスも堅実な仕事ぶりでマイケルをナイスサポートしているが、コージーとポール・レイモンドは違う。
『我が前に出る』ミュージシャンだ。
当然の様に脱退に至る訳だが、いかんせんファンは以前のメンバーとの『最高のサウンド』を知ってしまっている。
その『最高のサウンド』は『伝説』となり『基準値』となり、そして最後には『呪い』となる。
ハードルを超えんが為にマイケルはプレッシャーと戦い続け、やがてその苦しみから逃れる為に『現実逃避に走ってしまう』のだ。
もしこれがビリー・シーンとデニー・カーマッシだったら・・・
マイケル・シェンカーに比べ、当時は圧倒的に知名度が低かった2人。
だがテクニック的にはロック界最高峰の2人だ。
ここにゲイリーが合流したとしても、業界内では『マイケル・シェンカーが組んだ新バンド』意外の要素にメディアが食い付く事もなく、純粋に新バンドとしてアナウンスされたのではなかろうか?
知名度は低くてもテクニックに覚えのある2人にミュージシャンとしてのプライドを刺激され、マイケルも集中して作品作りに没頭したであろうに・・・
しかし現実とは実に残酷なものだ。
自分の名前を看板にしたバンドを守るべく、絶え間なく襲いくるプレッシャーから逃れる為に、マイケルは迷走を続ける。
『神』というメディアが付けた呪いを背にして・・・