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『fata morgana』 BAALBEK
『音楽を楽しむのにルールは不要だ。』
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かなり前の話だ。
私が部屋でジェフ・ベックの『BLOW BY BLOW』アルバムを聴いていると、遊びに来た後輩が部屋に入るなり、こう宣った。
「なんスかこれ?スーパーのBGMっスか?」
次の瞬間、私による解説と説教が長時間に渡り始まった訳だが、もしやと思ってマハヴィシュヌ・オーケストラを聴かせたら、やっぱり同じ反応が。(最早君にはビリー・コブハムもナーラダ・マイケル・ウォルデンも関係ないのかよw?!)
当時は『引き出しが少な過ぎ。』とか『感性ゼロかよ。』とネタにしたものだが、よくよく考えてみればそれはそれで正解なのだろう。
音楽に『こう聴かなければならない』なんてルールは不要だものね。
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『fata morgana』BAALBEK 2000年
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アルゼンチンのJAZZ ROCK、プログレッシヴ、フュージョン・バンド『BAALBEK』のアルバムだ。
兎角日本のフュージョンというと、軽めのイージーリスニング的なものか、TVやゲームなどでよく耳にするドライブ感に溢れたものなどをイメージしがちだが、海外ではもっとハードな『ジャンルレス』的なものが多い様に感じる。
例えばドリーム・シアターやシニックなどの、所謂『プログメタル』系のバンドから影響を受けている後発のバンドが多くみられ、皆、高度なテクニックを駆使し『脳内でイメージする音世界の構築』に情熱を傾けている。
そんなバンドのファンもまた自由な楽しみ方を心得ており、『メタルかフュージョンかプログレか?』なんて細かなジャンルの鎖に囚われず、心から堪能しているのが実にいい。
音楽に『こう聴かなければならない』なんてルールは不要だものね。
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アルゼンチンの『BAALBEK』はサックスプレイヤーが在籍している事により、また更に面白い音像を生み出す事に成功している。
それはまさにRUSHやDream theaterで、サックスがメインで大活躍している様な面白さだ。
と。ふと、ここで気が付いた。
現在の日本に於いて若手超絶技巧フュージョンの代表格バンドと言われる[DEZOLVE]と、アプローチが非常に似ているのである。
そうか。やっぱり文化って面白い。
国や人種、年代が違っていても『職人的気質』は変わらないものなのだ。
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「なんスかこれ?スーパーのBGMっスか?」
アルゼンチンのJAZZ ROCKバンド
『BAALBEK』のアルバムを聴かせたら、きっと君はこう言うだろう。
でもいいのさ。
音楽に『こう聴かなければならない』なんてルールは不要だものね。