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『69% unplugged』 Holograf
『アンプラグドこそバンドの力量が問われる。』
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「フォーク風情がナンボのもんじゃい!」
その昔。
1990年当時、アマチュア界隈ではあまりスラッシュメタルバンドが無かった頃・・・
友人と結成したスラッシュメタルバンドでイキり切っていた私は、イベントなどで対バンするJポップバンドやフォークシンガーを、眼中に入れていない傾向にあった。
大音量で掻き鳴らし、ファストナンバーで吠えまくる私に、蹴散らせないものは無いと思っていたあの頃・・・
しかし、スラッシュメタルバンドが解散を迎えると、『自分一人』で活動する事の過酷さを知る事になる。
それはアコースティックギター1本で路上に立ち、身をもって分かった事・・・
『アンプラグドは甘くない』と云う現実だ。
スピーカーから出る、どデカい音で有無も言わせず自主張出来たエレクトリック・セットと違い、誤魔化しなど一切通用しない弾き語りスタイルは本当に難しい。
難し過ぎる。
そう。弾き語りとは『自分一人で全ての世界を創り出せる音楽家』の事を云うのだ。
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『69% unplugged』 Holograf 1996年
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前回紹介したルーマニアのバンド『Holograf』が発表したアンプラグドLIVEアルバムだ。
これが実に上手い!!
確かなテクニックより生まれ出た、グルーヴ感溢れるそのサウンドは、東欧から連想される云わば『ロック後進国』という固定観念をブチ壊すに値する、まさに素晴らしいもの。
ブルージーでありながら、時折りメタリックなシャウトを披露してくれるリードシンガー・ダンビットマンの実力の高さは、ロック=英語という図式など無用の素晴らしさ。
しかし本当に演奏もコーラス巧い。
80年代〜90年代とブルガリア、ソ連、東ドイツ、ポーランド、北朝鮮、オランダなどの国々を、ひたすらツアーして周っていただけの事はある。
それはジプシーの血がそうさせるのか。
そうか。そこにこそアコースティック的な資質があるのだと、書きながら改めて気が付いた月の綺麗な夜・・・
(此方のCDは、以前カケハシレコードさんより購入させて頂いたものです。)