ごろしほ

横浜生まれ、横浜育ち。引きこもり。双極性障害を患う。若年性認知症になった母と10歳年上の父について、エッセイにする。家族らぶ♡

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横浜生まれ、横浜育ち。引きこもり。双極性障害を患う。若年性認知症になった母と10歳年上の父について、エッセイにする。家族らぶ♡

最近の記事

呼びかけ

父が、母に呼びかける言葉は、色々だ。 「お母さん」「あなた」 「40年以上、連れ添った連れ合い」 「優秀な人」「真面目な人」 「一生懸命になる人」「頑張り屋さん」 「奥様」「奥さん」「奥方」 「妻」「愛する女房」 「おまえ」「おまえさん」 「ベテラン主婦」「伴侶」 「師匠」「親方」 「シェフ」「メインシェフ」 「ファンの方」「お客様」 「お得意さん」「常連の方」…。 母の呼びかけは、「お父さん」がメインだ。 あとは、「優しい夫」「いい旦那様」。 まれに、「同居人?」。 最

    • 認知症の母、近所のスーパーへ行く

      父の体調がイマイチな日は、母は1人で近所のスーパーへサクサクとお買い物に行く。 一日に、2軒のスーパーに行くことも。 私 「お母さん、たまには、ゆっくりしたら?    動きすぎじゃない?」 母 「だって、足腰弱ったら、トイレに行く                     時、しほやお父さんの手を借りなきゃい    けなくなるでしょ」 母の何気ない言葉にドキッとした。母は、母なりに、これから先の自分のことを考えているのだ。その言葉に、「母らしいな・・・」と思い、胸がいっぱい

      • 認知症の妻と10歳歳上の夫

        病気になった母が、最も信頼し、支えとするのは父だ。 きっかけがあって、母が泣き・怒ることがあっても、今の母には父が必要なのだ。 私は、箸休め的な存在だろうか。「ずっと2人きりも大変だろう」と私は思うし、両親も「たまには誰かいてもいいかな」という感じかな。 父と母を見ていると、「2人の間には入れないな」という時が多々ある。夫婦のあり方を見ている気分だ。 今のところは、そんなに毎日が激しい日常でないから、こんなことを思うのかもしれないけど・・・。 2人を見ていると、「夫婦とは何

        • 認知症の母と2人でお散歩した時の話

          先月の終わり頃に、珍しく母と2人でお買い物兼散歩に行った。  お店までは近く、15分直進して、曲がって5分くらいの道のり。行きはその道で行って、帰りは、裏道を歩いて帰ることにした。 私は、裏通りを普段、全く歩かないので、「お母さん、どっちかな?」と分かれ道がくると母に聞いていた。帰り道は、迷いながら、やっとこすっとこ、お家に近づいて、無事に帰宅。 帰宅した母が、父に話したことがあった。 「なんか歩いている最中に、街並みが実家に戻る道に似ている気がして、実家に帰る気持ちになっ

          ぽっかり抜けた記憶

          ぽっかりと記憶が抜け落ちる、という感じ。 例えば、母が自分で薬をパチッとシートから出し、飲む。 そして、すぐに「私、薬、飲んだかしら?」と言う。ほんの数分前にした自分の行動なのに…。脳で、何が起きているのだろう。 久しぶりに行った歯医者では、先生に治療の説明を受けるも、家に帰ってくると、「なんて言われたかしら…?」となってしまった。 次回からは、「お父さん、来てね」ということになった。 母自身も、「その時は、言われたことを覚えておかなきゃと思っているんだけど、家に帰ると忘れち

          ぽっかり抜けた記憶

          育てる

          母と一緒にいると、「子育て」をしている気持ちになる。子供を産んだこともなければ、育てたこともないのに。 でも、「子育て」ではないはずだからと考えていくと、「親育て」なのだろうか? きっと、その先には、私が育てられている気がするから、「私育て」でもあるのかな? 何かを探していたり、あるいは思い出そうとしている時、まずは見守る。 しばらくして、声をかけ、手伝いが必要そうなら手を貸す。  思い出そうとしている姿を見るのは、こちらも、もどかしくて大変だ。 でも、母が思い出せた時は、

          お父さん

          お母さんは、一日のうち、 何回「お父さん」と言っているだろう。 「ねぇ、お父さん」 「あの…、お父さん」 「お父さん、お父さん」 「ねぇねぇ、お父さん」 「お父さん!」 私は、日に数回、言っているくらい。 お母さんのお父さんを呼ぶ時も、 何かを尋ねたい時だったり、 嬉しくてワクワクした気持ちを 話し始める時だったり、 ちょっとしょんぼりした時だったりと様々だ。 ただ分かることは、 母は、父を信じて頼っていることだ。 これから先、私と母と、 どちらが父を「ねぇ、お父さん」と

          母が、若年性認知症になった

          もの忘れ外来から、帰宅した母の一言。 「60歳の認知症って、早いわね…」 病院からの帰り道、父は無言だったそう。 母が話しかけても、 ほとんど返事をしなかった父は…、 返事ができなかったのだろう。 9年前の春、母が若年性認知症アルツハイマー型と診断された。 母が、61歳の誕生日を迎える数日前のことだ。 これから、過去日記を織り交ぜつつ、 私から見た母、父について、 書いていこうと思う。 認知症の家族となった私は、 18歳からうつ病を経て、 双極性障害を患っている。 基

          母が、若年性認知症になった