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企業分析#05_ITメディア[2148] 21年3月期第3四半期決算

2021/1/28に発表された決算資料から、セグメント別四半期ごとの業績をまとめてみたので記事にしてみます。そのデータは第2章にあります。


1. 業績サマリー

第2四半期決算発表時に続いて、通期の業績予想の上方修正がありました。

顧客企業のマーケティング活動においてオンラインシフトが進み、それが一過性のものではなくニューノーマルとして定常化している。4Qにおいても好調継続を見込むなど、強気のコメントが見て取れます。

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続いて決算説明資料からのハイライト。売上の伸びに対して営業利益の伸びが大きいです。

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2. セグメント別四半期ごとの業績

リードジェンとメディア広告という2つの事業があるわけですが、決算説明資料には累計しかなく、それぞれの四半期ごとの成長率が書かれていないので、計算してみました。この記事の目玉部分です。

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3Qの売上は、リードジェンが前年同期比141%、メディア広告も同119%と、ほぼ1Q、2Qの数字と同じということがわかりました。好調継続です。


3. 今後の成長性について個人的見解

3-1. デジタルイベントの成長

サマリーにも出てきますが、リードジェン事業の中のデジタルイベント(バーチャル展示会など)が売上に貢献していて、3Qの説明資料によると4倍の成長に迫る勢いだそうです。

展示会場で人を集めて行う大規模なイベントが制限される中で、オンラインでのセミナやイベントはニーズがあります。出張せずに参加できるので遠方から参加できる点も魅力的なようです。

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この領域を強化していこうとしている姿勢が伺え、2020年12月には博報堂のグループ会社と本格的に連携を開始したと発表がありました。


そして、4Qにはまた大規模なイベントを実施するそうです。

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決算短信から定性情報を集めると以下の通り。

【20年3月期4Q】展示会やセミナー等をオンラインで実現するバーチャルイベントソリューションの売上収益が増加しました。
特に第4四半期は、新型コロナウイルスの影響下で、オンラインソリューションの積極的な提案を図ったことで売上収益が大きく伸長しました。
【1Q】バーチャルイベントソリューション関連の売上収益が急拡大しており、新たな成長軸として注力しております。
【2Q】9月に開催したバーチャル展示会「ITmedia Virtual EXPO 2020 秋」は、過去最大の規模となり、デジタルイベント関連の売上収益拡大に貢献しました。
【3Q】拡大するデジタルイベント市場でのさらなる成長を図るため、株式会社博報堂プロダクツとデジタルイベント事業領域における事業連携を開始しました。

IT業界に限らず製薬、金融、官公庁といった領域から問合せ・受注が来ているようで、また独立事業部体制への移行を進めているそう。なかなか期待できる領域だと思い、注目しています。


3-2. 高い成長率はいつまで続く?

この1年の成長をコロナ禍における一時的なものと見るか、コロナがきっかけとなったデジタルシフト元年とみるかで意見が分かれそうなところですが、この会社の場合、私は後者とみています。

理由の1つは会社資料にあるようにテクノロジー市場の盛況。大きなところではDXの進行、時事的なテーマとしてもリモートワークやIoT, 5G関連などが活況です。

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もう1つの理由は上記スライドの右にある通り、顧客企業のマーケティング活動のデジタルシフト。

リードジェン事業の成長率は、さすがに現在の140%前後をピークに落ちていくと思いますが、ITメディアの顧客企業のマーケティング活動が完全にコロナ前の状態に戻ることはないだろうと、一会社員として感じているからです。

職種は違いますが、私はコロナが収まっていた昨年の夏・秋ごろにおいてもクライアントとの会議はすべてオンラインで済ませました。こちらも向こうも暗黙の了解で会議=ビデオ会議、で話をトントンと進めていました。オンラインでできてしまうんだから、わざわざ先方のオフィスに商談で赴く必要ないじゃない、という流れは定着すると思うのです。その他のマーケ活動でいうと、会場を借りて実施していたセミナーも、ちゃちゃっとウェビナーで済ませています。

見て触ってみないとわからないようなハードウェアの商談の場合は、最終段階でface to faceの打合せがあるでしょうが、大部分はオンラインの商談で済むはずです。

問題は、伸びしろがどこまであるのか?

成長には影響していませんが、KPIとして①リードジェンの会員数の頭打ちや、②運営メディアのPV数の伸び悩みなど気になる点もあります。

①については、母数は頭打ちでも顧客がITメディアをちゃんと使い出した(デジタルシフト)ことで、成長が継続しているんだと思います。なので100~110万人で止まっても私は別にいいかと、思っています。もはやKPIじゃなくなりますね。

②はPV数の逓減を広告単価上昇施策で補ったと動画で説明があったので、今のところ問題ないと思いました。

しかしながら、社会環境の変化や、競合環境の変化など、いつ成長の鈍化が起きるかについては未知数なので、周辺最新情報の収集や、決算で四半期ごとの成長率を追跡することで見極めるつもりです。

以上、ITメディアの分析記事でした。個別銘柄の分析は、気が向いた時に記事にしていきますが、また読んでみたいと思った方は、是非💗ボタンのクリックをお願いいたします。スキの数が次の記事へのモチベーションになります。

なお、今回の記事は決算資料に加えて、以下の説明動画を参考にしました。


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本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を勧誘するものではありません。投資にかかる最終決定はご自身の判断にてお願いいたします。皆様自身の意思決定に基づいて行われた投資により生じた損失等について、当方は一切の責任を負いません。





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