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M&A仲介企業の比較(2024年5月)

4/26-4/30に発表された上場企業各社の決算を受けて数字を整理していたので、たまには記事にして残してみます。
個別の銘柄の記事は書いてきたけれど、セクターでまとめた記事は今回が初となります。各社料金体系の違いはあるんですが、それらはここでは割愛して、本記事では業績に関する数値を比較することにフォーカスしています。


1. 業績とKPIの横比較

横比較の観点は、バリュエーション軸として時価総額・PER、P&L軸として売上高成長率や営業利益率・販管費率、業績の見通しを測る上でのKPIをピックアップしています。
KPIはストライクが書いていますけどまさにこれだと思っています。

まとめた結果が以下の表。

売上高の成長率はM&A総研>ストライク>他の2社
粗利率はM&A総研が群を抜いていて、業務のシステム化によるもので他社にはまねできないものだと解説されている。
販管費率に関する留意事項として、キャピは本社移転ありを考慮すべき(前年は18.9%)。M&Aセンターはネットワーク経由での成約件数増加で紹介料率が13.7%と1.3pt増加。

特色として、まずM&Aセンターは小型中心。単価が同程度の他の3社は競合していると思います。
その中でM&A総研がコンサル数の増加とともに高い売上成長率を継続していて、かつ営業利益も高いため、最も高いPERが許容されている。


2. 四半期売上推移

四半期売上推移はなかなか予測が難しくなった。過去には隠れKPIがありましたが、今は機能しないようなので。
以下は2年半の推移ですが、M&AキャピタルがM&A総研とストライクに食われた構図。
M&AキャピタルのPERが4社の中で最も低いのは妥当と言えるでしょう。
M&Aセンターは22.M1-M3の期間で過年度の不正会計があったことを公表。そこから1年間セミナーが開催できないという痛手を負ったものの、売上に関しては結構巻き返している感がある。


3. 成約件数と単価(短期KPI)

短期KPIであり、四半期の売上に直結する成約件数は割と凸凹している。
このため、ふたを開けてみたら期待したほど売り上げがなくて見た目悪くてS安、というようなことがよく起こる印象。

次に単価ですが、表とグラフでまとめてみました。
M&Aキャピタルの単価が大きく、M&Aセンターが小型中心というのが一目瞭然。M&A総研とストライクはその中間です。

M&A1件あたりの単価(単位:百万円)
M&A1件あたりの単価(単位:百万円)

直近2年半の傾向をは以下のような感じ。

  • M&A総研:ほぼ横ばい

  • ストライク:単価が上昇傾向

  • M&Aキャピタル:大型が取れて単価が跳ね上がったところから元の水準に戻るだけでは留まらず、2年前の水準よりも低下している。次の章で説明しますが、今期は大型の件数が伸び悩んでいる(2Q累計で17件→15件)のが要因。説明資料では期ずれを強調している。

  • M&Aセンター:会社の会計年度のくくりでは単価が減少傾向で、上記の件数増加と合わせてみると、小型でもいいから売上が減少しないように頑張っている印象を受ける。

大型案件数の比較

1億円以上の売り上げになる大型の成約案件数は各社が公表している。(M&Aセンターは多分最近になってから)

この大型案件数はストライクが伸びている。 M&Aセンターは比率を見ればわかるように小型案件が中心。 M&Aキャピタルは前年度と比べて減少しているが、そもそもの成約件数自体が減っているのが深刻(22.9期 199件→23.9期 171件(vs 200件計画)。 大型案件も得意とするM&A総研・ストライクの2社とガチガチに競合していると思う。

4. 受託件数の比較(中期KPI)

4.1 新規受託件数

新規受託件数はM&Aキャピ以外の3社が公開していて、ストライクはQonQで低下している。


4.2 受託残

M&Aキャピタルは受託件数(成約に向けて進捗している案件数)と解説しています。
M&Aキャピタルは2年半で全然伸びておらず、M&A総研の伸びが止まらない。ストライクは直近勢いあり。


5. コンサルタント数

成約件数や受託件数などは、やはりコンサルタントの数が増えないとついてこない。人ありきのビジネスなので、優秀な社員のリテンションと有能な社員の採用はKPIとして欠かせないと思う。

M&A総研の伸びが顕著です。魅力あるサラリーを提示しているのに加えて、業績好調によってリテンションも高いのだと思う。

今回の比較は以上です。自分としてもここまで横比較をしたことがなかったので、よい機会になりました。
これを機に3か月ごとに更新して投資判断に生かしていこうと思います。

なお、本記事は数字をたくさん使ってまとめていますが、手打ち多数のため、もし数字の誤りを発見したらご指摘ください。

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本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄への投資を勧誘するものではありません。投資にかかる最終決定はご自身の判断にてお願いいたします。皆様自身の意思決定に基づいて行われた投資により生じた損失等について、当方は一切の責任を負いません。


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