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デザイナー(ストーリテラー)とは何ができる人なのか
「ペルソナとかカスタマージャーニーとかソリューション案だしとかだいたいわかった。自分でもできる。ところでプロのデザイナーは何をしてくれるのか?」
先日講師をやったデザイン思考の研修で参加者からの質問である。この質問に「デザイナー」という肩書きを持っている人がどう答えるかは実に興味深いのだが、ここでは私の答えを書く。
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デザイン思考の研修では、左の「このステップを踏んでいけば、すごいものができますよ!」というスタンスで説明する。これは「部活動の体験入部に来てくれた人向けの素振りの説明」。つまりわかりやすく、一見誰でもできるような気がする。しかしこれをいくらやっても試合で勝つことはできない。
困ったことにこれを真に受けている「デザイナー」がたくさん存在している。
人の信仰にケチをつけるのは大人の態度ではない。しかし事実は尊重しなければならない。左のやり方は間違っている。ある人の名言を改変しつつ引用すれば
「もともとデザインをできる人なら、左のステップでもいい成果を出せる」
では現実世界はどうなっているのか?
私は右の図のようだと考えている。ペルソナ、ジャーニー、インタビューを「行う」だけなら誰でも少し練習をすればできる。しかしそれらと「まともな」ストーリー/仮説/How might we?/機会領域(以下「ゴール」と称する)の間には深くて長い谷が存在している。
デザイナーとはこの谷を飛び越えることができる人のこと。「デザインができない人」は要望を言い、感想を述べ、断片的なアイディアを口にはする。しかしそれを跳躍した先のゴールを作り上げることができない。これは散々デザイン思考の研修をやってたくさんの人を観察した結果なので間違いない。これがデザイナーの最低条件。その上で
設定されたゴールのFeasibilityが「がんばればできそう」と言えるほど存在しており、それが実現できた際のインパクトが大である。これを作ることができるのが「良いデザイナー」さらにそれを他の人に納得してもらえる説明ができることも必要。「なんだかわかんないけど、これでいいんじゃない?」で許されるのは天才アーティスト。
以下上野氏のTweetを引用する。
デザイナーの逆推論=アブダクションラインのイメージ。デザイナーは抽象から段階的に選択をして最終的な具象に到達するのではない。一気に尤もらしい具象を掴み、そこから最初の抽象へとリバースエンジニアリングのパスを通す。形が先にあり、ロジックは後から見出されるのである。 pic.twitter.com/nnnUaAEonR
— Manabu Ueno (@manabuueno) July 13, 2019
ここで「一気にもっともらしい具象を掴み」と上野氏が言っているのが私が言う「ジャンプして谷を越える」こと、「後から見出されるロジック」が他者への説明に必要なこと。
つまり
デザイナー/ストーリーテラーに必要性な合理性とは、論理を積み上げていった先に結論があるのではなく、跳躍した先の結論に合理性が見出せる、という逆の順番にあるものなのだ。
ではその「良いゴール」はどうやったら作ることができるのか?長い答えは
短い答えは「日頃からインプットと考える訓練を怠らない」という「当たり前だがほとどの人がやらないこと」
以上が私の結論。現在の課題は「どうやったらそれを”自称”デザイナーに理解させ、本当のデザイナーに成長する手助けができるか」。