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未来の目

この話を読む人は「もし自分が同じ能力だったら」と考えながら読んで欲しい。もしかしたら似た様な場面があるかもしれない。その時になって悩むのもいいだろう。ただもし時間が無かったら、少しでも長く居たいならここで考えて置いて損は無いだろう。それでは行ってらっしゃい。

僕にはある能力がある。「3分先の未来が見える能力」だ。一見便利な能力だと思うだろう。「競馬で一発」、「告白したらどんな反応をするか分かる」、「人を助けれる」こういう事を思うだろう。違う。そんなにいい能力じゃ無い。………いや。時にはいい能力かもしれない。だってあんな時だったら………

美奈「ちょっと大丈夫?具合悪いならそこで休む?」

そう言ってくれたのは幼馴染であり恋人な美奈。小さい頃から家が隣だった僕達。僕達の両親はお互い夜遅くまで帰って来なかった。そのせいか、僕達はいつも一緒だった。遊ぶ時も、下校する時も、寝る時も。

空「大丈夫。ちょっとふらついただけだから。」

美奈「全然大丈夫じゃ無いじゃん!!ほらそこで休憩するよ。」

そう言って手を引っ張ってくれる美奈。僕が彼女を恋愛的に好きになった時も同じだった。

約2年前………

生徒A「だ•か•ら。少ないって言ってんだろ!!」

生徒B「お前俺達のこと舐めてる?いいか。10万持って来いって言ってるの。じゅ•う•ま•ん。」

生徒C「てかコイツあの西松さん(美奈)と幼馴染だってよ。」

生徒D「こんな奴が学校一の美女と幼馴染とかおかしいだろ笑」

生徒B「きっと親の関係だろ。コイツの親はまぁまぁ稼いでいるしな。あんなに綺麗な西松さんと幼馴染なのはそれ以外ありえない。」

生徒E「それもそうだな笑」

生徒A「お前らそんな事は後でいい。まずはコイツの処分だ。金も持って来れない奴にはしっかり制裁を与えないとな」

そう言って生徒Aは拳を俺の腹にめり込ませた。俺は痛みに悶絶しながら倒れた。

空「待って……くれ。明日に…は。……明日には必ず持って来…るか…ら。」

そう言った直後俺は強烈な蹴りを顔面に喰らった。すかさず腹にも蹴り。そして手の指を踏みつけられながらアイツらはこう言った。

生徒A「お前は社会のゴミなんだよ。せいぜい俺達のおもちゃになってろよ。」

生徒C「その通りお前は俺達のストレス発散器具なんだよ。」

その直後また蹴りを喰らい、アイツらのおもちゃとなった。その後アイツらが満足して去った後下校してると……

美奈「空〜!!一緒に帰ろ〜。」

そう言いながら後ろから美奈が近付いて来た。当時僕は全ての人が怖かった。美奈は例外であったが、僕と関わっていたら今度は美奈がされるかもしれない。そう思った僕は

空「ごめん。今日予定あってまた今度。さよなら」

そう言って僕は逃げた。美奈のことを振り返らずにひたすら走った。最後美奈が何かを言っていたがそれでも僕は走った。そういう事をしていくうちに美奈と関わる事が無くなって来た。そしてある日僕は屋上に呼ばれていた。勿論アイツらだ。

生徒B「ちゃんと来てるな。」

生徒A「今日はこれまでで一番最高な日になるぞ。なんてったってお前の命日だからな。」

そう言ったアイツらはひとまず僕をボコボコにした。そして一通り済むと生徒Cがスマホで取り始めた。

生徒A「じゃあ。お前の最後だ。」

そう言って生徒Aはフェンスを指さした。そして続けてこう言った。

生徒A「ここから落ちて死ね。」

生徒C「お前の最後にはぴったりだな笑」

アイツらが笑っていたその時。屋上の扉が開かれた。そしてその扉を開けたのは美奈だった。

美奈「空?なんでそこに居るn…………その身体は何?まさか貴方達がやったの!!」

そう言って怒る美奈。ここに来るを予想してなかったアイツらは固まっていた。それを見逃さずに美奈は俺の手を引き走った。アイツらが追って来るかと思ったが、美奈に怒られたことがショックだったのか追って来る気配は無かった。これが美奈を恋愛的に好きだと思った瞬間だった。その後美奈に泣きながら説教をされ、美奈の友達が報告したのかアイツらは停学処分となった。

そして現在…………

美奈「どう?少しは落ち着いた?」

心配そうな顔を近づけながら見てくる美奈。僕は「幸せだな」と思った。

空「だいぶ落ち着いたよ。それより折角のお出掛けなのにごめんね。」

美奈「全然大丈夫だよ。逆に無理言ってごめんね?ってもう12時!!一度店を出てくのもあれだから、ここでお昼食べる?」

空「そうだねここでお昼にしようか。」

そう言って僕達はパスタを頼みお昼を済ませた。その後買い物等をし、帰路に付いている僕達。

美奈「今日はありがとう空。お陰で買いたい物も買えたし楽しかったよ。」

空「美奈が楽しくて良かったよ。また来ようn……うっ。」
美奈と喋っていると突然視界が変わった。そして次視界が戻るとそこには、歩道を一緒に歩いている美奈と僕。その直後暴走したトラックが目の前で突っ込んで来る。これは未来視だ。

僕は虐めを受け始めた頃からこの未来視が見える様になった。見れるタイミングはそれぞれ。例えば虐められてた時、授業の時、高校の合格発表の時、美奈に告白する前の時、下校する時等様々だ。そして決まって3分前。つまり3分後には僕はトラックに轢かれてるのだ。

僕は必死に考える。実はこの未来視の後10分程度現実世界とリンクしない時間がある。きっとこの時間は未来を見た後軽く考える為のものなのだろう。そんな事よりも美奈だ。このままだと。僕は死ぬ。美奈とも一生会えない。ならば最後はどんな話をするかだ。楽しかった思い出?今も好きかどうか?死んだ後はどんな所だと思う?どんな話をするかどうかもまとまらず、時間が来た。

美奈「ちょっと大丈夫?またふらついてたけど?」

空「うん大丈夫。それよりさもうちょっと近寄ってくれない?」

美奈「え。うん。分かったけど近寄ってどうするn」

その直後僕は美奈にキスをした。美奈は突然の事で理解出来ず固まり、その数秒後顔を赤らめながら離れた。

美奈「ちょ………なんで急に。その……キスなんか。」

空「うん?キスがしたくなっただけだよ。」

美奈「だとしても急にするのは駄目。心構えも出来て無かったし。」

空「アハハ。可愛いかったよ美奈の恥ずかしそうな顔。」

美奈「もう怒」

はぁ〜。やっぱり死にたくないな。こんなやり取りを最と美奈としたかったな。でもそろそろ時間だ。だから僕は最後に口を開く。

愛してるよ美奈

その直後僕の目の前には暴走したトラックが居た



最後に僕の能力をもう少し詳しく説明しよう。僕の能力は

3分先の未来が見える能力

だ。これは知っているだろう。しかし、他の人の作品の能力とは違う。それは………

何をしても未来は変わらない

って事だ。他の人の作品の能力だと、


現在
⬇️
本来の行動
⬇️
見た未来

になる。つまり未来を変える為に

現在
⬇️
違う行動
⬇️
違う未来

という事をすれば違う未来になる。だがこの能力は……

現在
⬇️
未来を見た後にする行動
⬇️
見た未来

なのだ。つまりどんなに変な行動をしても見た未来にしかならない。文字どうりの能力なのだ。だからこそ「僕トラックが追突してくる未来」を見た時に回避する事を考えずに残りの時間をどうするかを考えたのだ。

fin


どうもゴロクマです。今回は短編小説を書いてみました。私ゴロクマとしては良い作品だと思っております。最後明確な結末をしっかり書くかどうか悩みましたが、ハッピーエンド、バットエンドかは読者の皆様に委ねる事にしました。理由としましては分からない方が面白いと思ったからです。後閉じ方が思い浮かばなかったのもあります。

是非貴方の考えた結末をコメントしてみてください。後イイねもよろしくお願いします。

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