見出し画像

マーサ・グレアムに学ぶ、体と心の対話

身体:身体と心の対話 - ボディランゲージの重要性と自己表現


みなさん、こんにちは。ゼロシフトです。
ゼロシフトでは「社会に左右されない自分軸の確立とコミュニケーション」をテーマに、マインドフルネスや占い、科学、心理学の視点から、様々な人物のお話や取り入れやすいワークを紹介しています。

本日は「身体と心」にちなんだお話です。

私たちの身体は、言葉以上に多くのことを語ります。表情、姿勢、ジェスチャー、そして声のトーンなど、私たちは常に非言語的なメッセージを発しています。今回は、ボディランゲージの重要性と、身体を通じて感情や思考を理解する方法について探ってみましょう。そして、この分野で革新的な研究を行ったマーサ・グレアム(Martha Graham)の人生と作品から、身体表現の力を学びます。

ボディランゲージの重要性

ボディランゲージは、コミュニケーションにおいて非常に重要な役割を果たしています。研究によると、対面コミュニケーションの93%が非言語的なものだとされています。つまり、私たちが言葉で伝える内容は、全体のメッセージのわずか7%に過ぎないのです。

ボディランゲージは以下のような重要な機能を持っています:

  1. 感情の表現:言葉では表現しきれない感情を伝えます。

  2. 真意の伝達:言葉と一致しない場合、本当の気持ちを示すことがあります。

  3. 関係性の構築:親密さや距離感を示し、人間関係を形成します。

  4. 説得力の向上:言葉と一致したボディランゲージは、メッセージの信頼性を高めます。

マーサ・グレアム:身体表現の革命者

ここで、20世紀を代表するダンサーであり振付家であるマーサ・グレアム(1894-1991)に注目してみましょう。グレアムは、現代舞踊の創始者の一人として知られ、身体表現の可能性を大きく広げた人物です。

グレアムは1894年、ペンシルベニア州アレゲーニーで生まれました。彼女の父親は精神科医で、人間の行動や感情に深い関心を持っていました。この環境が、後のグレアムの芸術に大きな影響を与えることになります。

グレアムが初めてダンスに出会ったのは、20歳のときでした。当時としては遅いスタートでしたが、彼女はすぐにダンスに没頭し、その可能性に魅了されました。

グレアムは従来のバレエの形式に満足せず、人間の感情や内面を直接的に表現できる新しいダンス技法を模索しました。彼女は、呼吸と重力を基本とした独自の技法を開発し、それは「コントラクション(収縮)とリリース(解放)」として知られるようになりました。

グレアムの作品は、しばしば神話や歴史的テーマを扱いながら、人間の内面的な葛藤や感情を表現しています。例えば、「アパラチアの春」(1944年)は、アメリカの開拓者精神を描きながら、人間の希望と恐怖、喜びと苦悩を表現しています。

グレアムの革新的なアプローチは、ダンスの世界だけでなく、演劇や映画にも大きな影響を与えました。彼女のスタジオからは、多くの著名なダンサーや振付家が育ち、その影響は今日まで続いています。

グレアムの人生は、自己表現の探求そのものでした。彼女は96歳で亡くなるまで創作活動を続け、最後まで新しい表現方法を模索し続けました。

身体を通じて感情や思考を理解する

マーサ・グレアムの例からも分かるように、身体は私たちの内面を映し出す鏡のようなものです。では、どのように身体を通じて自分や他者の感情や思考を理解することができるでしょうか。

  1. 姿勢に注目する:
    姿勢は、その人の心理状態を反映します。例えば、背筋を伸ばした姿勢は自信を、うつむいた姿勢は落ち込んだ気分を示すことがあります。

  2. 表情を観察する:
    顔の表情は、感情を最も直接的に表すものです。微妙な表情の変化にも注意を払いましょう。

  3. ジェスチャーを読み取る:
    手や腕の動きは、言葉では表現されていない思考や感情を示すことがあります。

  4. 声のトーンに耳を傾ける:
    声の高さ、速さ、大きさなどは、感情状態を反映します。

  5. 身体の緊張や弛緩を感じる:
    身体の特定の部分の緊張は、ストレスや不安を示すことがあります。

最新の研究:ボディランゲージと感情理解

ジョージア州立大学の心理学者チェイダ・オズサルカン氏らによる最新の研究では、言語や文化の違いを超えた普遍的な非言語コミュニケーションシステムの存在が示唆されています。この研究では、英語とトルコ語を母語とする3歳から12歳の子どもたち100人を対象に、言葉を使わずにジェスチャーのみで行動を描写してもらいました。

結果、言語や文化の違いにかかわらず、子どもたちは非常に似たジェスチャーのパターンを示しました。これは、私たち人間が共通の非言語コミュニケーションシステムを持っている可能性を示唆しています。

この研究は、私たちが思っている以上に、身体を通じた感情や思考の表現が普遍的であることを示しています。つまり、言葉の壁を超えて、身体表現を通じて相互理解を深められる可能性があるのです。

実践:身体を通じた自己理解と表現

マーサ・グレアムの教えと最新の研究成果を踏まえ、以下のような実践を通じて、身体を通じた自己理解と表現を深めることができます:

  1. ボディスキャン瞑想:
    身体の各部分に意識を向け、そこにある感覚や感情に気づきます。これにより、身体に蓄積されたストレスや感情を認識し、解放することができます。

  2. 即興ダンス:
    音楽に合わせて自由に身体を動かします。動きを通じて、言葉にできない感情や思いを表現してみましょう。

  3. ミラーリング:
    パートナーと向かい合い、お互いの動きを鏡のように真似します。これにより、他者の感情や意図をより深く理解する能力が養われます。

  4. 感情の身体化:
    様々な感情(喜び、悲しみ、怒りなど)を、言葉を使わず身体で表現してみます。これにより、感情と身体の関係性をより深く理解できます。

  5. 日常の動きの観察:
    日常生活の中で、自分や他人の姿勢、ジェスチャー、表情などを意識的に観察します。これにより、非言語コミュニケーションへの感度が高まります。

結論:身体と心の対話を深める

マーサ・グレアムは、「身体は決して嘘をつかない」と言いました。私たちの身体は、常に私たちの内面の真実を表現しているのです。ボディランゲージを理解し、身体を通じて感情や思考を表現することは、自己理解を深め、他者とのコミュニケーションを豊かにする強力なツールとなります。

今日から、自分の身体に少し多くの注意を向けてみてください。姿勢、呼吸、身体の緊張や弛緩に意識を向けることで、自分の感情や思考のパターンに気づくかもしれません。そして、他者のボディランゲージにも注目してみましょう。言葉以上に多くのことを伝えているかもしれません。

身体と心の対話を深めることで、私たちはより豊かな自己表現と、より深い人間関係を築くことができるでしょう。マーサ・グレアムの生涯の探求と、最新の科学研究が示すように、私たちの身体には無限の表現の可能性が秘められているのです。その可能性を探求し、活かしていくことが、真の「自分軸の確立とコミュニケーション」につながるのではないでしょうか。


いいなと思ったら応援しよう!