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その問いに、答えられるようになりたかった/水晶体に映る記憶vol.51
早起きしたかった朝だった。
二度寝をしてしまった結果、
空が白み始めた6時に布団から出た。
電気ストーブをつけ、お湯を沸かし、お香に火をつけるまではコンタクトをつけずとも体が動く。
昨晩のうちに紙にデカデカと
「やることリスト」を書いたおかげで、
寝ぼけていた脳みそが切り替わる。
6時からの2時間、私は時間を取り戻すように作業をしていた。こんなにも集中したのは久しぶりだった。それから家を出て駅に向かう20分の道中は、いつもより空が明るく思えた。
通勤ラッシュに揉まれながらも、ぼーっと手元のスマホを見て、いつのまにか集合時間の10分前に現場に着く。
こんなに余裕をもって到着することはないから、今日はいい日になりそうだな、とフワッと思っていた。
今日は、楽しみにしていた、私の空間デザインの師匠との定期ミーティングの日だった。
先週のnoteにも書いたが、私はもう空間デザインの勉強をとことんやろうと決めた。
すでにあるいくつかの建築の本、師匠におすすめしてもらった空間デザインの教科書、それらを読み漁る日々。
ない知識が少しずつ埋まっていく。その微量すぎる一歩が、道を選んだのだな、という実感を持たせてくれる。
今日の打ち合わせで、
師匠がこんな質問をくれた。
「ひかりちゃんは、どんな空間が作りたいの?」
おそらく1ヶ月前は、この質問に答えられなかったと思う。
でも、今日は答えられた。
「私は多分、病院やクリニックとかじゃなくて、そこにくる手前の人に、サードプレイスとしての空間を作りたいんだなぁって。
しんどい、って言えない人とか、診断まで受けてない人。そういう人がどこにいくんだろって考えた時、普通にカフェとか、スーパーとかなんです。普通の生活を送っているように見える。でも、顔には出してないだけなんです。だから、普通の場所こそ空間デザインが必要で。カフェとか、市役所とか、ふらっと立ち寄るところに、その人を思いやるデザインを作りたいなって」
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