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放浪旅あいまい記憶日記 その5

<<< 放浪旅を決断したタオ島 >>> 

1985年 

タオ島はタイの南部で、本土から3つ並んだ一番遠いい島だ。

初めての旅で一番近くて大きな島であるサムイ島にきて

2度目のタイで2番目の島パンガン島まできた。

タイに来てから2ヶ月が過ぎた。その先にあるタオ島に行きたいという気持ちは日に日に増していた。

サムイ島からパンガン島も最初来た時は、観光船はなく、地元漁師の船で渡った。 当時いたサムイ島のメナムビーチからパンガン島は見える距離だ。精々1時間くらいで最短のビーチに着く。めちゃくちゃ揺れたけど。ついたパンガン島のトンタパン ビーチは、まだバンガローもない(サムイから連れてきてくれたノイが、新しいバンガローを作っている最中)ホワイトサンドの楽園のような場所で ノイは生えているパイナップルを鉈で切ってご馳走してくれた。        暑くて乾いた喉に獲れたてのジューシーでよく熟れてるそれは、俺の生涯で食べたもっとも美味しいパイナップルだろう。

パンガン島からタオ島にいくのは簡単ではなかった。まず観光船がない。それから遠いい。インターネットも携帯もない時代だ、いつタオ島行きの漁師の船が出るのかは、旅行者やレストランで情報を仕入れる。あっちこっちで情報を集めていると港の町にある角のレストランに聞けばわかるらしい。             早速レストランに聞きに行くと

「明日タオ島行きの船が出るからお昼に、このレストランに来て待っていろ」

と言われ、次の日そこへいくが何時間経っても何の音沙汰もなく、船目当ての旅行者が10人強は居る。3時間ぐらいしたら、一人のタイ人が現れ

「今日は出ないから、明日また来い」

そこにいたもの全員の落胆の声が、旧タイ式のちょっと中華も混じったような建築様式の古いレストランによく響いた。

次の日、また待てど暮らせどなんもない。こんなときはイライラしても始まらないという事は、旅の間に身についた自衛手段だ。案の定伝言が届いた

「今日はない、明日だ」

翌日、そのレストランに行くと、タオ島目当ての旅行者は、初めの半分ぐらいに減っていた。まあふるいに掛けられてるのだろうと思いつつ、3日も同じ目的で待っている者たちは妙な親近感を感じながら、いろいろな会話で盛り上がっているので、待っているのもそれほど苦ではない。

「船が出るぞ!」

「オー!!!」

歓喜の声が上がった。ついに出航の時が来た

軽い足取りで桟橋に向かうと

「そっちじゃない!こっちだ」と案内人

言われた方向に行くとビーチに小さな屋根付きの漁船が一隻止まっていた。屋根の下には大勢の家族と物資で満載で、空いてるのは舳先のみ。4人座るといっぱいいっぱいという感じだ。

その状態の船を見て半分の旅行者はタオ行きを断念した。結局4人の旅行者が船に乗り込んだ。

この時を3日間も待っていたのだ。大いなる期待を胸にいざ出航した。

が、、、

お、遅い。絶対に積載オーバーしてるこの漁船は人が歩く速度より遅い

まあいいか、とにかくタオ島に行けるのだ

何もない広い海を、ひたすら走る。日差しは、まさに刺すようで、限界はとっくに過ぎていたけど3時間ちかくも船に揺られて島に見えた時は、日焼けで痛くなった肩の存在も少しは薄らいだ。

だんだんと島に近づいてくると、最初に目に入ったのは湾の入り口の岬に          長くそそり立つ斜めに傾いた岩の上に、大きな丸い石がバランスよくのっている            20メーター以上はあるだろう、その横に並ぶように横に大きい岩が横たわっている。

地元民が、『男岩』『女岩』と呼ぶその大きな岩の前を横切り、広い湾へと入っていく。まだ奥のビーチは遠いい。ヤシの木と長いビーチ。住んだエメラルドグリーンの海は、パンガン島よりも大きな岩が多く、なだらかに広がったその湾の砂浜は、今まで見た中で最も美しいビーチだ。

だんだんと、楽園のような砂浜に近づいてくると、そこに小柄な男が座り込んで何かをしている。上半身裸で白い肌に刺青が入ってる。頭はスキンヘッドで、何やらぶつぶつ言いながら木の棒で砂を掘っているのだ。船が到着しても男は一心に浜を掘っている。

何時間もかかって、いや船を待った時間を入れれば何日間もかかってやっと辿り着いた夢の地への最初の遭遇は、なんとも奇妙で想像を超えた出来事だった。

この美しいビーチには、全くふさわしくない光景だ。

突然「おーっ!」と叫びながら大柄で、またもやスキンヘッドの白人の大柄な女が向こうから全速力でやってきた。まるで、女版ターザンのようだ

「タオ島へ、よーこそー!」

180cmはあろうかというその女は、でかく元気のある声と満面の笑顔で新参者を向かい入れてくれた。

「私はリンダ、あいつはマイク」

「一緒に来たんだけど、最近頭がいかれたんだよね」とリンダは苦笑した。そう言いながらの荷物を船からおろすのを手伝う彼女に

「ここなんていうビーチ?」と尋ねた。

「ビッグブッダ ビーチよ。後ろ見てごらん」と言われて

後ろを振り向いて、俺は思わず息を飲んだ

ー  つづく

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次回は振り向いて見た、一生忘れられない光景と、タオ島で自然と楽器でシンクロしたお話です。

<<< 仏の鎮座するタオの島 >>>

です。

読んでくれてあれがとう!!おヒマな時に続きも読んでね!

幸あれ!!!

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