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放浪旅あいまい記憶日記 その7

<<<<ブッダの頭から虹が出た!>>>>


ウッドドラムで雨とのガチ共演は、1時間ぐらいはやっただろうか 

もうそれさえあやふやだ。気持ちよすぎて時間の感覚など無くなった

何しろ時計というものを持っていないし全てが体感なのだ。

これが俺の音楽の根源となる出来事になったのは間違ない。         

それからというもの大雨が止まらなくなる。リンダが「へい。ゴロー。雨止めてくれ」と言うがあいにく止め方はわからない。1週間も表に出れず、みんな食堂にたまり、それぞれ時間を潰しているとタラポーンの内縁の旦那ノックが

「でかいニシキヘビ捕まえた!」と興奮気味に現れた

雨が続いてニシキヘビが現れ鶏を食べたので、2度目に現れたところを捕まえたらしい。2mはある大物だ。

みんな暇を持て余していたので、ビッグニュースに沸いた

その晩はニシキヘビのカレーがでた。まあ肉は骨っぽく味はカレー味だった。

その蛇の皮は市場で高く売れるらしい。ワシントン条約なんてノックには

なにそれ状態だろう。    

「なあ、ノック。その皮少しくれないか」と聞くと     

「何に使うんだ」とノック

「あの拾った木の筒に貼ってドラム作りたいんだ」と言うと

「いいねー。あとで上の家に取りに来いよ」と言ってくれた。

そのニシキヘビの皮を貼ったドラムを叩くと、晴れていても雲行きが怪しくなり雨が降る不思議なドラムができた。

翌日、長かった雨もやみ、どんよりした曇り空の下を、俺は長雨で体も鈍っていたので散歩に出ることにした。雨は止んだが、まだ風は強い。バンガローのある岩場からトイレを横切り、砂利道を10mも歩けば食堂がある。

ほとんどがバンブーとヤシの葉を藁葺きのように編んだヤシの葉屋根で作られてる食堂を通り過ぎて白浜を5分ほど歩き内陸に入ると

ちょっと開けた沼地のような場所に出る。ここは普段、水牛達が泥の中に寝っ転がっている。水牛達の溜まり場だ。

が、大雨の後のせいか水牛は全くいない。代わりにあっちこっちに水牛の黒い『うんこ』の塊が、直径30cmはあろうかというでかさで、饅頭のように転がっている。しかし、いつも見慣れてる『うんこ』とは様子が違うのだ。

何だろう。だんだん近ずいて行くと

「きのこだ!!」

黒いでかい水牛の『うんこ』の上に沢山の『きのこ』がでている!

それが沢山ある水牛の『うんこ』の上に。もう沢山生えているのだ!!

何とも言えない不思議な光景は、まるで不思議の国のアリスのようで、その広場をしばらく歩き、島のメインの道に入って行くと、両側はたかーいココナッツの木だ。その木が強い風のためすごく揺れている。そして結構な頻度で硬くて重いココナッツの実が、地面に叩きつく。その音は

「バコーン」と、近ければ足下からの振動が分かるほどだ。

先ほどのきのこの森を抜けた時、どうもきのこの胞子を吸ったのか       近くにいる水牛が、別の水牛に話しかけているのが分かる。          と言うかいつもはそんなこと気にもしないのだが               この時は、妙に親近感が湧いた。 

やはり水牛のウンコの上に生えていたキノコのほうしを吸い込んだのだろう。あれだけ生えていたら間違いない。

などと思いながら水牛の会話に挟まれ、散歩をして戻ってくると何人かが岩の上にいて話をしていた。iPhoneなんてない時代だ。よく話をしたもんだ。     

俺も加わり、そう言えば、先日散歩していたら水晶を拾ったと言う話をになった。タオ島は水晶が取れる島なのだ。

「あのブッダの頭の中は、水晶で埋まっていると思うんだよね」と言った。

すると今まで曇ってどんよりしていたのだが

厚い雲に切れ目が入って、太陽の光が差し込んだ。光はビッグブッダを照らし

ビッグブッダがどんよりした中で

キラキラっと輝いた

次の瞬間

頭から虹が!

「おーーー!」歓声が上がった。

この湾の稜線はビッグブッダを王冠にたとえて、まるで人魚が横たわっているようにみえるのだが、その横たわった人魚の上をブッダの頭を始点に大きな虹が、しかも二重の虹がかかったのだ。 

後から知ったのだが、この日はタイでのブッダの誕生日だった。

この光景を見て、俺はもうすぐ期間の切れる一年オープンの旅券を捨てて    旅を続ける覚悟を決めた。

うんこキノコの胞子を吸っていたからかもしれない。

一眼レフの結構いいカメラを持って旅していた。偶然にもこの場面でカメラを  持っていて、この光景を写真に収めることができた。

そしてカメラも売ることを決めたのだ。

ここから先の光景は、自分の心に焼き付けていくために。

そして旅を続けるために。

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この写真がその時撮った一枚。この光景が旅を続ける覚悟を決めたのだ

のちに、ネパールでトレッキング中に立ち寄ったチベッタン キャンプで、たまたま出た虹を眺めていたら、隣にいたチベット人が   

「ジャー!」と叫んだ。

「えっ。レインボーのことジャーっていうの」と聞くとそうだと答える

「シャー」はジャマイカのラスタの神様のことだ。

タオ島のタオはタイ語で亀のことだが

『タオでブッダからジャーが出た』

俺の行く先が祝福されていると勘違いしてもしょうがないよな。

ー つづく

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次回は <<<一匹の蚊で生死をさまよう>>>

デング熱にかかって幽体離脱したお話。おヒマな時に読んでね。

幸あれ!!

ー「喜捨」の意味は功徳を積むため、金銭や物品を寺社や困っている人に差し出すこと。ー あなたの喜捨に感謝いたします。