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漫画ネイティブじゃない40代女子がお届けするマンガ初心者によるマンガ初心者のためのマンガ指南書〈無料記事です!〉

わたしは漫画を読んでこなかった。

漫画よりも小説が好きだったし、そもそも漫画に興味がなかった。
妹はよく漫画を読んでいた。当時妹が読んでいたのは「らんま1/2」とか「BASARA」とか「天使なんかじゃない」とか。わたしも貸してもらって少しは読んだりしてた。それなりに楽しかったけど、それ以上興味を持つこともなかった。

それが実はわたしの隠れたコンプレックスになっていたと気づいたのは最近のこと。

完全に偏見だけど、漫画を読んでいる人は「ユーモアがあっておおらかで面白い人」のような気がしていた。

漫画を読む人だけが見える特別な世界があって、漫画を読む人だけに通ずる特別な合言葉みたいなものがある気がしてうらやましかった。小説しか読まないわたしはなんて生真面目で面白みのない人間なんだろう、そう思って自分を恥じた。

それはそのまま母から言われていた言葉でもあった。
わたしは真面目すぎるし融通が効かない面白みのない人間。かたや妹はユーモアがあって面白くておおらかで愛されキャラ。そんな妹に対する嫉妬にも似た憧れが、なぜかそのまんま漫画にも向けられていた。




そんなわたしが漫画と出会い直したのは42歳のとき、夫と死別した直後だった。

わたしはあまりの衝撃に「夫の死」以外のことを考えられなくなっていた。
夫の死にまつわる激しい感情(恐怖、怒り、哀しみ、憎しみ)があたまの中を占拠していて気が狂いそうだった。
考えたくなくても、それらは否応なしにあたまの中に現れてはわたしの心をかき乱した。

あのころのわたしはそれらの感情に寄り添って味わい尽くすなんてそんな悠長なことは言っていられなかった。そんな余裕はどこにもなかった。そんなことをしたら死んでしまう。それほど極限状態だった。

あのときのわたしにできたことは、それらの感情から少しでも逃げること。
逃げて逃げて、時間を稼ぐ。
逃げながら体制を立て直す必要があった。

そんなとき、大切な友人からある一冊の漫画が届いた。

わたしはそれを夢中になって読んだ。
読んでいるときには、夫が死んだことを忘れていられた。

わたしは漫画に救われた。
わたしは漫画に夢中になった。

わたしの遅れてきた漫画青春時代が幕を開けたのだった。


それから思いつくままに漫画を読み漁った。
最初は「スラムダンク」を読んだのだったか。それから「ちはやふる」とかいろいろ思いつくまま、手当たり次第に読んでいった。

あのころの記憶は曖昧だから、読んだ漫画もおおかたは忘れてしまっている。
それでもその中の何冊かは、いまもわたしの中の大切な場所にそっと息づいて、わたしを温かく支えてくれている。


幼いころから漫画とともに生きてきた人を漫画ネイティブと呼ぶならば、わたしは完全に遅れてきた人、漫画イミグラントだ。
そんな漫画ネイティブではないわたしが大人になって出会った漫画たちを、40代女子の漫画イミグラントならではの視点で今日はご紹介していこうと思う。




まず最初にご紹介したいのがこちら。

ダルちゃん1ー2

断捨離しまくっているわたしが、これだけは絶対に手放さないと決めている大切な本。

蔦屋書店で立ち読みして人目も憚らず号泣してそのまま1−2巻まとめて買って帰った。

発達障害グレーのわたしには本当に沁みる。
あぁ、わたしもこうやって普通の人に擬態してなんとか生きてきたんだよな。

この記事を書くにあたって久しぶりに読み返してみたら、以前読んだときよりもさらに深いところに沁み入るものがあった。こんなにもわたしに必要なメッセージが散りばめられているなんて。以前はちゃんと感じとれていたのだろうか?なんて思いながらまた号泣した。

絶望と苦しみだらけのこの世界において懸命に生きている人に捧ぐ、優しさと希望あふれる作品。


異国日記1ー11

これは言わずもがな。さいきん映画化されたのでご存じの方も多いはず。

不器用な女流作家と親を突然亡くした哀しみを抱えた無邪気な女子高生が同居する話。

もうこれは漫画でなはない。漫画を超えた漫画。
そして同時に、漫画だからこそできる表現に唸る。小説であれば言葉を尽くして説明するところを、たった一コマの絵ですべてを魅せてしまう。その表現力に脱帽する。心打たれる作品。


わたしたちは無痛恋愛がしたいー鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさんー1〜

〈鍵垢女子〉のみなみは、ほぼフォロワーのいない鍵垢でだけ本音をつぶやく女子。顔はいいけど屑な男〈星屑男子〉にいいように扱われている。そんなみなみがフェミニストの男性と出会う。
途中で時間が一気に10年経過して、大人になったみなみの周りには結婚、子育てにまつわるDV問題などもでてきて目が離せない。

女子として生活するうえで、落とし穴のように潜んでいる葛藤や憤りをフェミニズムの視点から鋭く射抜く作品。

溜飲が下がるいう表現がぴったりのカタルシスを味わえる。
そうそう、それが言いたかった!って思わず膝を打つ作品。


ニュートーキョーカモフラージュアワー1〜

何人かの大人の恋愛を主人公の視点を変えてオムニバス形式で描く。大人の恋愛をしている人におすすめ。
女子の冷めた本音が気持ちいい。
絵も上手いし服装もおしゃれで洗練されていて見ていて楽しい。


AV女優ちゃん1ー6

これは単なるAV業界の暴露本もしくは元AV女優峰なゆか氏の自伝的漫画だと思うこと勿れ。

これは立派なフェミニズム的問題作。ハンパな覚悟で読むと自爆する。

かなり衝撃だけどわたしは深く心に残った。いろんな問題が詰め込まれていて(特に後半)一言でいえば「しんどい」、でも読んでよかったと思える作品。


凪のお暇1〜

こちらもドラマ化されているのでご存じの方も多いはず。

主人公の凪ちゃんが「いい子ちゃん」を卒業し、毒親の支配から自由になって、自分らしく生きる様を描く成長物語。

ハートフルだけど、どこかに毒も潜んでる、そこがいい。凪ちゃんの節約料理も楽しい。





〜ここからはほっこりしたい人向けの漫画のご紹介です〜



スキップとローファー1〜

田舎から出てきたまじめで純粋な女子高生と東京育ちのおしゃれイケメン男子高生の学園純愛物語。

だけど安心してください。
40代女子もめっちゃ楽しめる!

ゲラゲラ笑って、ときにキュンとして、ほっこり涙ぐんで。情緒が忙しい笑
夢中になって読める作品です。


きのう何食べた?1〜

こちらの言わずもがな。シロさんとケンジのほっこりした日常。

中年男性BLだけど際どいシーンは一切なし。かわりにお料理のシーンがたくさんで読んでるとお料理したくなる。あと弁護士なのにめっちゃ節約してるところが親近感わく。ほんでケンジが健気でかわいい。あんな女になりたいよ。

直接的な表現は一切ないのにふたりがお互いを想いやって大切に日常を紡ぐ様が描かれている。愛溢れる作品


メタモルフォーゼの縁側1ー5

女子高生とおばあちゃんがBLを通して交流する物語り。
芦田愛菜ちゃん主演の映画もあるけど、わたしは断然マンガ派。
夢を追う不器用な女子高生と好奇心旺盛な未亡人のおばあちゃんとの心温まるやりとりにほっこりする。ラストもすき


町田くんの世界1−7 (いま11/21まで無料で読めます!)

町田くんは高校生で子だくさん家庭の長男。
自覚のないナチュラルな紳士っぷりで、みんなのハートをギュンギュン温める!生来の人たらし笑

本当に本当にどこまでも善良で優しい世界。
ほっこりしたいときに断然オススメ
ちなみに今(11/21まで)Amazonで無料で読めます!
町田くん!!!


女の園の星1〜

お友達がプレゼントしてくれて、わたしの漫画の扉を開いてくれた一冊。

女子校の教師、星先生とその生徒たちの日常。

絶妙な間と独特の世界観でクスリと笑える。
なんだか癖になるおもしろさ。余韻もいい。


カラオケ行こ!

ファミレス行こ。

同じく和山やまさんの作品。
変声期の合唱クラブの男子中学生とヤクザとの異文化交流。

もうね、狂児がね、最高なんよ!!!!
ぜひ読んでみてください。


クジマ歌えば家ほろろ

ロシアから体長180センチの新種の鳥が越冬してきて、内気な男子中学生と一緒に暮らす物語。日本食を嗜んだり、ロシア料理を作ってくれたり、家族や近所の人と交流したり、クスッと笑えてほっこり温まる作品。




〜ここからはオムニバス〜
さらっと読みたい方へ向けて



家が好きな人

この本を本屋さんで見つけて、ものすごく惹かれて購入したのを覚えている。
いま読み返してみてその理由がわかった。この本には「好き」と「安心」が詰め込まれている。自分の部屋を好きなものでいっぱいにして、ほかほかに温めて、とっておきのごはんを食べたり、毛布にくるまって大好きな本を読んだりする。
それは当時のわたしがいちばん取り戻したいものだった。一人暮らしをする女の子の夢がいっぱいに詰め込まれている。わたしも実家を出るとき、こんな暮らしをすることを夢見ていた、そんな憧れを思い出させてくれる。この本を読んであのころの気持ちを思い出して、いまあらためて部屋作りしている。めっちゃ楽しい。


四十九日のお終いに

淡いBLあり、BLじゃないのもあり。ふわっと心の奥があったかくなるような物語が詰まった作品。


うみべのストーブ

もうこれは短編小説だよね。秀逸です。
「海の底から」が特にすき



以上、漫画ネイティブじゃない40代女子がお届けするマンガ初心者によるマンガ初心者のためのマンガ指南書でした!

漫画ネイティブじゃない大人女子でも楽しめるラインナップになっております。
小説ももちろん素晴らしいのだけど、漫画はなにより気楽にサラッと読めるのがいいんだよね。

とくに心が疲れているときには、漫画を読む時間が癒しになり栄養になったりする。

もしも気になるものがあったらぜひ読んでみてね〜!




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