大人として、女性としての身だしなみ、模索中の話_3(過去の振り返り-高校時代-)

先に述べたとおり、中学時代の事は思い出すのもしんどいくらいで、あまり書きたくない。そして恐ろしい程野暮ったい。

中学時代は割とそうだと思うけど、中学生は校則の問題でそこまでお洒落できない。私の少し上の世代にあたる「コギャル」の影響を受けた目立つグループの子達はセーラー服をベルトで捲ってミスニカにし、そしてルーズソックスを履いていた。(ただし校則違反なので、先生方に注意されていたけど。)
一方で校則で許される範囲内で、スカート丈や制服の着方を工夫している子も一定数いた。可愛い子は前者も後者にも分布していたけど、個人的には制約はある中で工夫する後者の女の子達を素敵だと思った記憶がある。

私はというと、それはそれは野暮ったかった。

ショートカットで男の子のようだった。ショートカットはともかく、まずかったのは襟足と首の後ろの生え際をバリカンで剃っていたのだ。それじゃ女子もへったくれもない。いま思えば容姿にコンプレックスを持っていた事を気にして、もう女子を捨てたと思いたいと思って防衛していた気もする。


女子としても人間としても自尊心を一番失っていて、
早く高校に上がりたかった。そしてなんとか高校に入学した。

さて高校は、というと相変わらず地味な子として通っていた。
ただ不幸中の幸いは容姿について、心ない罵声を浴びせられる機会が減った事、そして部活を中心に友達として受け入れてもらった事だった。決してキラキラしていない自分を受け入れて貰った事で、自分に対するどす黒い感情を多少は緩和できたと思う。
友達ができ交流を深める内に、皆の服(特に制服の着方)や振る舞いを
観察するようになった。

私が通っていた県立高校は、県内中から生徒が集まってくるマンモス校だった。そのせいか派手な子はしっかりギャルだし、個性的な子は鞄や靴下、靴、髪型で個性を出していた。金髪にしたり、網タイツを履いていた強者もいた。


またきれいに制服を着こなしている子もいれば、私のような地味な子もいる。一言で言うといろんな子がいた。
男性陣も当時流行っていた腰パンを真似る人もいれば、普通に着る人、
地味にリュックを背負って通う子もいた。

ファッションに明るい子は、私服参加のイベントでは当時流行っていたブランドを着てた子も多かった。私が知っているだけでも、ビームス、ヒステリックグラマー、オリーブデオリーブ、セシルマクビーなど。
私は部活をやっており、通学に時間がかかっており、ほとんどバイトできなかったのでお金がなく、地元の大きめのスーパーにある安い洋服のお店や、たまに柏市にある安い洋服屋で必死に服を探して着ていた。

1つよく覚えている事がある。
関西地方への修学旅行の行きの新幹線の中で起きた話だ。
私がいたグループは4人でクラスでも大人しい子のグループに該当したが、各人の部活やオタク気質はお互い尊重できていたので、グループ内での行動はほぼ心配していなかった。そのため行きの新幹線の中でも
トランプをしたりおしゃべりをして楽しく過ごしていた。


ふと後ろの座席から話しかける声が聞こえた。
声の主はクラスの中でも、ギャル寄りの目立つグループにいる女の子だった。
彼女は、私と同じグループにいた女の子が持参していたショップの紙袋を見て、面白そうにこんな風に言った。


「セシル(セシルマクビー)で何買ったの?」


セシルマクビーはギャル向けのブランドで、発言主の彼女も御用達のブランドだった。質問された彼女は、ビジュアル系バンドのファンでありながら、ギャル向けのブランドにも惹かれている子で、綺麗にアイメイクをしていた。彼女はバイトをしていた。恐らくセシルマクビーの服(または小物)は自分のバイト代で買ったのだと思う。


その場は買ったものを答えただけで終わった。


質問した方の彼女は、自席に戻った後、同じグループの子に買った物を話し、グループ内で笑いが起きた。どうやら彼女達の中ではその話は終わったようだ。

一方、言われた方の彼女は新幹線を降りた後に怒っていた。
「何か馬鹿にされた気分になった。」
そんな趣旨のことを言っていた事は覚えている。

ギャル側の子の方は「自分が好きなブランドで何を買ったのだろう?」という好奇心で聞いたつもりだったのかもしれない。
でも質問された彼女も、そしてすぐ近くにいた私も、単なる好奇心で聞いていると思えなかった。質問した彼女のその表情は「同じファッションを好む人に対する」親しみではなく、ギャルグループにいる自分と、地味なグループにいる彼女を比較した感情からの発言だったように思えた。悪く言えば「序列意識」に起因した発言。

今、自分がその事を思い出しても、嫌な気分になるのに、質問された彼女はもっと嫌な気持ちだったのだろうと想像がつく。
自分が好きなものを、否定されるのはキツいことだ。
ましてや自分で働いて得たお金で好きな物を買っているなら尚更だ。


あなたは地味なんだからこのブランドを買うなんてお門違いだというなら、ふざけるな、と言いたい。似合うかどうかはそのブランドの服が似合うか似合わないかで判断すればいい。人の性質で序列で判断される筋合いは無いと思う。

※念のため書くと派手なギャルの子でも優しかったり、オタク風な子や地味な子と普通に話す子もちゃんといた。なのでギャルを敵視している事はないです。

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そういう環境で生活していく中で、「世の中には派手な人も地味な人もいる。
それはそれでいいのだ、自分でもいいのだ。」と思えてきた。
ただ一方で、「可愛い子やお洒落な方がやっぱり生きやすい、選ばれやすい」と
いう事もわかってきた。

自分の自尊心を回復させる一方で、自分の容姿やセンスがイマイチであるという事実を突きつけられて落ち込む事を繰り返す。そうしている中で、高校の3年間はあっという間に過ぎ、必死の大学受験を経て都内の大学に進学することになった。


中学、高校と制約が少なくなっていく中で私は更に惑っていくことになる。

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