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令和5年夏、熱狂甲子園塾!(その2)

今大会目立ったもの(昔目立たなかったもの)

ガッツポーズ

ワンプレーごとに選手がガッツポーズをする。
これを、どうとらえたらよいのか。
会心の一打を放った瞬間、ピンチを切り抜けた瞬間。
プレーに集中し、出せた結果に、思いが爆発する。
勝敗がつくのは、まだずっと先なのに。
もしかすると、今の選手たちは、
勝敗よりも大事なヒットやアウトを積み重ねているのかもしれない。
一瞬に真剣だからこそ、冷静だからこそ、
いいプレーができる。
自分たちのナイスプレーに、抑えていた情熱がはじけ飛ぶ。
なかには、結果を追い越しかねないようなものもあった。
ある一塁手が捕球と同時に右手でつくった特大のガッツポーズは、
グラブを持つ左手の意識が消えて落球が心配になるほどだった。

ヘッドスライディング

9回だけでなく、毎回毎回、一塁へのヘッドスライディング。
これを、どうとらえたらよいのか。
ガッツポーズと同じく、思いがあふれるのはわかる。
祈るような心境なのかもしれない。
昔から走り抜けたほうが早いという説もある。
君は、走り抜けるより早い自信があるのか。
そんなに慣れているのか。
観ているほうは、怪我をしないか、ただハラハラする。

9回の涙

9回の攻撃中に泣いている選手が多くなった。
これを、どうとらえたらよいのか。
点差が小さくても泣いている。
ノーアウトでも泣いている。
まだ逆転は十分可能なはずなのに。
仲間を信じているはずなのに。
8回まであれほど頑張って、9回が来たらもうダメなのかい?
一生懸命だったからこそ、終わりを覚悟して思いが先走るのだろうか。
ここまでの道のりを無意識に思い出してこらえきれなくなるのだろうか。
今大会は、そういう涙を特にたくさん見た気がする。
それだけに、花巻東の佐々木麟太郎君が、9回は9人目のバッターだというのに最初から打つ準備をして待ち、実際に打席が回ったときには感激した。
彼は、一塁に倒れるように滑り込み、最後の打者になった。
それは不格好だったが、美しかった。
試合後の彼の涙が忘れられない。

笑顔

プレー中の選手の笑顔が明らかに増えた。
笑顔をモットーとしているチームも多い。
これを、どうとらえたらよいのか。
彼らは、都道府県大会で負けなかったチームだ。
勝ち負けには、執着していたはず。
しかし、甲子園にやって来て、この瞬間を楽しんでいる。
楽しむから勝てるのだろうか。
それとも、甲子園出場でもう目的を達したというのだろうか。
もしかしたら、勝利至上主義なんてもう昔のものなのかもしれない。

長髪

髪型を自由にし、長髪でプレーするチームが増えた。
これを、どうとらえたらよいのか。
私は、自分が運動部に属していた経験はない。
今は、風紀検査に熱心ではない、よくない教師である。
髪型なんぞどうでもよいと思っている。
その私からすると、選手の長髪には何とも思わない。
ただ、汗をかくと面倒ではないかと思うだけである。
それなのに、世間では脱・丸刈りが大いに話題になった。
それだけ、丸刈りが根強い常識だったということなのだろう。
長髪かどうかなんて、本来は余計なお世話である。
だが、一方で、教育とは余計なお世話をするものでもある。
丸刈りはさわやかで、野球にかける純粋な心の現れと言われたら、
それをあえて否定する教育者はいないのではないか。
今後は、強制をしないチームが増えるのだろう。
しかし、丸刈りで団結するチームを否定する理由はないし、
それに好感を持つ人もたくさんい続けるだろう。
もし、髪型は個人の意思に任せ、統一すべきものでないというのが正しいなら、その根本の理由は何だろうか。

慶應

慶應義塾高校の勝ち上がりにより、慶應現象とでも呼ぶものが現れた。
これを、どうとらえたらよいのか。
問題が大きいので、回を改めて論じる。


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