桜と嘘つきたち
著:宮沢龍生
セプター4は比較的、物堅い集団である。“秩序”という概念が彼らの中核にドスンと存在していて、青い制服に誇りを与えている。他のクランの中には割と王に対してフランクな態度を許容しているところもあるが、青のクランは違う。
友達みたいな感覚の白銀のクラン、不良集団のボスがそのまま王になったような赤のクランなどと異なり、青の王、宗像礼司はかなり明確に己の立ち位置を他のクランズマンたちと隔てていた。
それは平常時のごく何気ないやり取りから緊急時の戦闘における抜刀のかけ声まで終始一貫していた。
よい意味での階級意識が彼らには存在していたのだ。
黄金のクランほど絶対的ではないが、青のクランでも宗像に対して気安く接する者などいない。皆、常に一定以上の敬意と遠慮でもって宗像と会話を交わしていた。
また宗像にはそうした対応をされるに相応しい貫禄と風格があった。持って生まれたものなのか、後天的に育てたものなのか、あるいはその両方か。
その若さに似つかわしくない王者としての威厳が確かに彼には備わっていたのである。
しかし、そんな彼でもたまに砕けた態度を推奨する時があった。
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