K SIDE:PURPLE 07
著:鈴木鈴
秋が過ぎて、冬が来た。
その頃になると、紫の天分とは『目』の確かさだということに長谷は気づきはじめていた。百の言葉を費やすよりも、一の行動を見せたほうがはるかに飲み込みが早い。型どおりの稽古ではなく、実戦方式の立ち会い稽古に切り替えると、紫の剣は日を追うごとに冴えていくようになった。
『当てず』の手加減ができていたのは、最初の2週間だけのことだ。全霊をぶつけるようにして長谷に挑みかかり、稽古が終わる頃には立つこともままならないほど消耗する。そんな毎日を繰り返