不均衡な福利厚生
著:宮沢龍生
お題:セプター4の健康診断
セプター4の重要性を警察庁や総務省、財務省などの国の諸機関は熟知していた。なにしろ他にストレインによる異能犯罪を取り締まれるアビリティを持った組織が存在しないのだ。
火事や泥棒、急病人が発生すればそれに対処するための訓練を受けた消防隊員、警官、救急隊員などの公務員が日本全国に万の単位で存在する。
しかし、ひとたびストレインが問題を起こせば、首都に存在するセプター4が出張してきて解決するしか適切な術がない。異能犯罪に対しては異能者でしか対処するのが難しいとはいえ、これはかなり問題のある体制である。だから、国の機関はセプター4の意義と重要性は強く認めていた。
しかし、一方で対ストレイン絡みの案件ならばほとんど超法規的処置で活動が出来る点やそれを可能にしている政財界のドンとも言える國常路大覚の露骨なまでの後ろ盾、そして時に関係省庁の長官クラスも平然と無視する室長なる人を食ったネーミングの役職の若造によってずっと面白くない気分を味わってきたのは事実である。
それはこんな嫌がらせのような予算編成にも現れていた。
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K Fan ClanおよびK Fan Clan Nextの小説等コンテンツを再掲したものです。
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