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RED HOT VACATION

著:来楽零
お題:《吠舞羅》の夏休み


 川のせせらぎが耳に心地よく届く夜、草薙たちはテントの前で焚き火台を囲んでいた。
 赤熱する炭が組まれた焚き火台の網の上では、草薙がダッチオーブンで炊きあげたパエリアと、丸一本のフランスパンに切り込みを入れ、ベーコン、トマト、タマネギ、オリーブ、チーズを挟み込んでアルミホイルで包み炭火で焼いたホットサンド、スキレットの中でクツクツ煮える、ニンニクのきいたオリーブオイルにたっぷりのエビが浮かぶアヒージョ、八田たちが釣った魚を十束がその場で捌いたイワナやヤマメの塩焼きなどの料理が並んでいる。
「このパン美味いっす! ピザみてぇ!」
 鎌本がホイルの中で良い具合にチーズのとろけたフランスパンをちぎり取り、頬張りながら嬉しげに言った。「冬だったら、丸一本一人でぺろっといっちまうんだけどな~」と惜しそうにぼやく鎌本は、例年の不思議な夏バテによりいつもの恰幅が嘘のようなすらりとした美青年姿だ。
「冬のオメーなんか連れてきたら、こんなオシャレメシ一瞬で消えちまうだろうが!」
「いやー、俺もキャンプでやる料理なんか、肉を焼く! 以上! って感じかと思ってたっす」
「キャンプ料理をちょいと調べてみたら、案外凝れそうやったんでな」
「外でこういう料理をするのも楽しいよねー」
「ミコト。その魚、ミサキに手伝ってもらって私が獲った。美味しい?」
「ああ」
 世間でいうお盆休みの終盤、周防、草薙、十束、アンナ、八田、鎌本の六人は渓流キャンプに来ていた。夏休みだしどこかに行こう、という十束の発案だ。

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2,142字

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K Fan ClanおよびK Fan Clan Nextの小説等コンテンツを再掲したものです。

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