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議員として、人と動物のためにできること。

2022年4月23日 都内

今日は、埼玉県三郷(みさと)市の市議会議員、「佐々木おさむ」さんにお時間をいただいて、議員さんから見た動物の愛護や福祉についてお話を聞いてきました。

<佐々木修さんのご活動についてはこちらから>
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一緒に話を聞かせてもらったメンバーは、もはや最近恒例となってきたコミュニティ「Seaton(シートン)」の2人。人間社会と動物の生命倫理や距離感を、複合多面的に勉強するゆるい少数精鋭コミュニティです。


「一人でも、ぼくみたいなのがいてもいいんじゃないか。」


お聞きしたお話の詳細は下記で紹介しますが、個人的な感想として最初に挙げたいのは、「市議の存在を初めて実感した」ということです。
佐々木さんは、ラフないでたちで颯爽と現れ、最初からずっと、すごい気さくに接してくださり、ものすごく話しやすい方でした。
相手が「議員」さんなので、最初は肩に力が入っていた自分も、気づけば笑いながら話を聞かせてもらっていて。
それでいて、ご自身の政治家としての軸がぶれないように、常に謙虚に、驕らずに、という姿勢をすごく感じました。

でもあれ、作ってるんじゃなくて、きっとご人格なんだと思います。

正直、一部の有名な国会議員でもなければ、「議員さんって何してるのか」なんていうことはあんまり関心を抱かれにくいというか、みんななかなか知る機会もないと思います。
「どうせ自分の声なんて届かないし、出会うこともない人だよね」と思うのも当然なのかも。

だから思わず、聞いてみちゃったんですが。
「うん。だから、ぼくみたいなのが一人はいてもいいんじゃないかって思うんですよね(笑)」とのことでした。

(笑)

でも本当にこれはそうなんだろうと思います。
市議会議員さんは、市民の代表さんなわけだけど、別に特別な人間というわけじゃない。家族や友達がいて、趣味嗜好があって、喜怒哀楽があって、人間臭くて。市議会議員さんも一人の市民だ。
でも、そうやって等身大に接するとができるからこそ、市民のリアルな声がちゃんと行政に届く。

丁寧な、等身大のコミュニケーションが、丁寧な住みやすい街を作る。
きっと、三郷市にとってはそんな人なんだろうな、と思いました。


「動物のことやってる議員さん」。

佐々木さんが公私ともに取り組む問題である、動物の社会課題というものは、実質人間の問題なんだけれども、やっぱり、まだなかなか「票」には結び付きづらいテーマです。

佐々木さんはもちろん動物以外のテーマでもご尽力されている議員さんだけれども、やっぱり動物の部分は少数派だからこそ目立つみたいで、「佐々木さん?ああ、動物のことやってる市議会議員さんでしょ。」と言われることもチラホラとのこと。

でもこれってすごいことだと思うんですよね。
先に述べたように、市議会議員が何をやってるのかなんてほとんどの人は知らないと思うし、そもそも名前ですら、選挙の時に「ああそんな人いたなそういえば」くらいに思い出すだけで。

でもこうして、いろんな人から「ああ、佐々木さんね」といわれるのは、ちゃんと軸とテーマがあって、発信を続けているからだと思うんです。これって、素晴らしいことですよね。

政策とご実績のまとめ(2021年4月の選挙前当時のもの)


|動物のお話

さてそれでは、お聞きしてきた話を簡単にまとめていこうと思います。
ちゃんとアウトプットすることがせめてもの恩返しだから。

①統一地方選挙へ向けて、
 議員さんと動物のテーマで対話しよう。

2023年には、4年周期で行われる、「統一地方総選挙(※)」があります。これは、各自治体の動物と人への向き合い方が改めて問われるタイミングだし、選挙期間というのは、議員さんとお話しするチャンスでもあります。

だから、この1年間で現職の議員さんはもちろん、議員に立候補する方々にそういった質問を寄せてみるのは非常に有意義な活動になるとのこと!

統一地方選挙って?
地方公共団体の首長や議員の選挙日を可能な範囲で全国的に統一して行う選挙。選挙作業にあたる職員の人件費などの経費を節減すると同時に、地方選挙への有権者の関心を高め、投票率を引き上げるねらいがある。

コトバンク 日本大百科全書

これは非常に良い情報でした。
私たち「Seaton」の大きなコンセプトである「複合性や多角性」のためには、多様なステークホルダーとの対話が不可欠です。今年のSetonの活動は、行政サイドとの対話をどんどん増やしていきたいと思います。

②行政の視点から見るTNRのメリット

議員になる前からずっとされてきたというTNR活動(※)。
TNRについては是非がありますが、野生でもなく、人間社会の近しいところの屋外で生きる動物には、必要な措置だと僕は思っています。

そしてこのTNRは、猫だけでなく、人間側にもメリットがたくさんあります。佐々木さんによれば、TNRによって効果的に猫の数を減らしていくことができれば、住民の方々の生活環境も向上するし、人間と猫の間のトラブルも減ります。
また、野外の猫の数が減れば、当然ロードキルのような悲しい事故も起こりにくくなります。殺処分よりはるかに大きい数がロードキルでなくなっていることを考えれば、これは非常に大きな貢献です。

それに、ロードキルによって亡くなった遺体は、遺体処理の専門業者さんに外部委託という形で、予算がついているそうです。そして予算の原資になっているのはもちろん、「税金」です。
TNRを続けることで、そういった遺体処理費用を浮かせることができ、生まれた余裕を、市の別の問題に向けることができるようにもなります。

「不幸になる命を減らすためにも、様々な観点からも、他自治体にも取り入れてほしい施策です」と佐々木さん。

ぼくの原体験はまさしくロードキルに遭った仔猫を埋葬したことだったので、これは非常に考えさせられるお話で。
これまで、ロードキルに遭った子をたくさん埋葬してきたけれど、思わず彼らのことを思い出してしまいました。遺体処理について、特に印象深かったのは、自分で埋葬ができないタイミングだったために泣く泣く保健所に電話して回収してもらった、高校の近くで死んでいたあの白猫のこと。

彼らに少しでも報いたい。
そのための決意が改まったお話でした。

③「未就学児の数」≒「犬の登録の数」(人口の5%相当)という事実

三郷市では、人口の約5%に当たる未就学児(0~5歳)の人口と、市に登録されている飼い犬の数が、なんとほぼイコール。
しかもこれ、犬だけです。
猫についてはもう未知数。野外にいることや、繁殖力を考えると犬より多いかもしれない。
でも、それくらいの数や割合を占める犬猫についてはなかなか議論されにくいんです。これってきっと問題ですよね。
犬や猫の問題というのは、動物たちの中でだけ起きている問題ではなく、人間社会との摩擦で起きている問題なので、行政としても、もっとこの数字の現実感に向き合い取り組んでいく必要があるなと思いました。


④独居高齢者の孤独死とペットの問題。
 大切なのは「仕組み」と「事前の連携」!

平均寿命が延びて、核家族化と人口の都市一極化が進み、個人と地域コミュニティの精神的繋がりや相互扶助がもろくなってきていることが問題視されている今日の社会では、独居の高齢者が孤独死してしまうケースは今後どんどん増えていくことが懸念されます。

しかも、そういった方はなかなかコミュニケーションをとることも苦手としてしまう方が多く、特に孤立しがち。
その孤独の穴が、ペットによって埋められていることもしばしばです。

しかし、残されたペットはどうなるのでしょうか。
1匹ならまだしも、多くの数を抱え込んでしまっていたら?
多頭飼育崩壊や、逸走による新しい地域の問題を生み出してしまう要因にもなりますし、何より動物たちが哀れです。


大切なのは「予防」と「連携する仕組み作り」です」
佐々木さんはそう言います。
独居高齢者の方の実態を把握しているのはケアスタッフや、ケースワーカーヘルパー民生委員地域の方などであり、その福祉向上は行政の福祉課が管轄するため、こういったステークホルダーの方々と事前に連携し、コミュニケーションを取っておく必要があります。事前の連携によって、悲劇を予防することはできるのです。

また、行政側の福祉課と環境課の横の連携も非常に重要になってきます。
縦割りを超えて、市としての責任を果たしていくためにも、他管轄を越えた連携が必要です。

そして、「保護動物を飼う」ことだけが保護活動ではないということ。高齢の方が「可哀想だから」と保護犬・保護猫の里親に志願したり、野良猫を拾ってきたりすることもあるそう。
しかし、失礼な言い方になってしまいますが、本当にその子たちを最後まで飼うことはできるのでしょうか。善意で始まったことでも、結果が悲劇なら元も子もありません。

「飼わないこと」。
それもまた、立派な保護の選択肢なのです。

⑤同行避難は、ペットを飼っていない人にこそ知ってほしいこと。

ペットの同行避難については、飼い主として知っておくべき情報がたくさんあります。飼い主さんは、もちろん自分の地域のルールや、日ごろからできる備え(身元の表示、しつけや備品の準備など)が必要でしょう。

しかし、佐々木さんは、その啓蒙活動は「ペットを飼育していない人」にこそより大きなインパクトを持つのではないかと考えていました。

飼っていない。でも有事の際は無関係ではいられない。
だからこそ、それがどんなものなのかをイメージしてもらい、心に備えを作ってもらうことが、重要なのではないかと。

これには思わず「ん~~!なるほど!!」と言ってしまいました。
そもそも、飼っていない人の方が多いはずなんです。避難先で、「こんなの聞いてないぞ!!」となってしまう方がいるのも無理はない。
だからこそ、その具体的な避難の内容について事前に伝え、備えとして認識を持っていてもらうことがトラブルの削減につながっていくのです。

※ちなみに、川越市はこんな感じ。


終わりに

これまでに、いろんな個人の活動家や、民間団体や、行政の担当課にお話を聞いてきましたが、「議員さん」という立場で尽力されている方とお話ができたのは、これが初でした。

佐々木さんが用いた表現で印象深かったものに「議員はツールだから」というものがあります。
これは変な意味はなく、市民は議員を問題解決のために手段として考えてほしいし、議員は自分のその立場をちゃんと活用していくことが大切だ、という意味です。

以上により、感想を一言でいうならば、「動物云々に関係なく、こんな風に議員としてのご自分をとらえている方を応援したい」ということです。

なんというか、本当に頭が下がりました。
汚職やら、問題発言やら、居眠りやら、そういった負の側面がどうしてもスキャンダルになりがちですが、中にはこんなにも責任感と情熱を持って、真摯に向き合っている方もいるということ。

意見は様々ですが、自分はこんな方に自分の住む地域を牽引していってほしいと思います。

人間と、動物がともに住みやすい社会を作っていけることを願って。
自分も、自分に何ができるのかを考え、模索し続けようと思います。

撮影の時だけマスクを外しています。


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