見出し画像

欧州流仕事スタイルを体験!オーストリア転職初日のリアル

海外転職を機に、4月初めに家族とともにオーストラリアへ転居した。しかし、この時点ではまだ正式には前の会社に在籍しており、有給休暇を消化中だった。新しい会社との契約は5月からで、4月の1ヶ月間は「アルバイト」という形で給料をもらい、先行して現地入りしていたことになる。

そんな中、いよいよ新しい会社に初出社する日がやってきた。この1ヶ月間はアルバイト社員という立場だったため、ビザなどの公的手続きを進めつつ導入トレーニングを受ける期間となった。人事部から会社概要や配属部署について説明を受けた。日本のような細かいカリキュラムはなく、ただ会社の概要説明があるだけだった。その後、配属部署へ移動することになり、部署の責任者が迎えに来てくれた。その部署のオフィスは本社とは離れた場所にあり、タクシーで移動することになった。会社が専属のタクシー会社と契約しており、部署のオフィスと本社の間はいつもタクシーで行き来していた。日本なら定期便のバスが運行していそうだが、こちらでは都度必要に応じてタクシーを呼んで移動するのが合理的だと感じた。

オフィスは3階建てで古かったが、手入れが行き届いており快適だった。部屋は複数の小部屋に分かれており、管理職は個室を使用していたが、私は4人部屋だった。しかし、20畳ほどの広さに大きなデスクが4台配置されており、非常にゆったりした空間だった。同じ部屋の同僚も同じ部署に所属していたが、それぞれ別のプロジェクトを担当していた。私はまだアルバイト扱いでプロジェクトを持っていなかったため、先輩社員であるメンターのプロジェクトに参加し、OJT(On the Job Training)で仕事を学ぶことになった。日本ならまず座学から始まりそうだが、ここでは実務がすぐに始まった。

朝は非常に早く、早い人は7時前に出社していた。遅くても8時までには全員が仕事を始めている。そして16時になると、9割以上の社員が退社する。それ以降に仕事をしていると、掃除スタッフに「まだいたの?」と言われるほどだった。そういえば、掃除は外部業者が毎日行っていた。日本では自分たちでゴミ捨てをしていたことを思い出した。特に金曜日は退社時間が早く、ランチ後には完全に週末モードになり、15時にはほぼ全員が退社していた。欧州の会社は退社時間が早いとは聞いていたが、ここまで早いとは思っていなかった。

その代わり、仕事中の集中力は非常に高い。プロジェクト業務が全体の99%を占め、定例のミーティング以外の雑務はほとんどない。皆が自分の仕事に集中し、PCで作業したり、メンバーと議論したり、電話で打ち合わせをしたりして、非常に効率的に業務を進めていた。日本の会社で同じような仕事をしていたが、内容は全く違った。日本では、朝は大量のメール処理に追われ、日中は発言機会がほとんどない会議に参加させられ、定時後にようやく自分の仕事を始められるが、部下の対応に追われて結局は深夜帰宅という日々だった。土日の休日出勤でしかまともに自分の仕事ができないという状態と比べると、オーストリアは180度異なる環境であった。

こちらでは、1日7.5時間の定時勤務でも十分仕事が進み、充実感が得られた。16時半には帰宅でき、夏場は9時半頃まで明るいので、帰宅後も家族との時間がたっぷりある。子どもとサッカーをしたり、家族で買い物に行ったりすることもできた。家族全員で夕食を楽しみながら、息子に学校の出来事を聞く。この充実した仕事環境とワーク・ライフ・バランスの良さを考えると、日本を離れてはるばるオーストリアまでやって来た甲斐があったと感じる。妻も息子も、毎日私とゆっくり夕食を囲めることに喜んでいるようだった。しかし、しばらくすると「パパ、遅い!」と言われるようになった。なぜなら、息子の学校は昼の13時に終わっていたからだ。オーストリアの小学校は、もっと早い時間に終わるのだった(笑)。

こうして、長年憧れていた欧州での仕事が無事スタートしたのだった。 
(続く)