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XTech Ventures 手嶋氏 x グッズ CPO 福山: 参画に至るまでの経緯や B2B マーケットプレイスへの展望

グッズの投資家でもある XTech Ventures の手嶋氏が、取締役 CPO に就任した福山氏にインタビュー。参画に至るまでの経緯や B2B マーケットプレイスへの展望について対談しました。

これまでのキャリアについて

手嶋: お久しぶりです。goooods (以下、グッズと表記) の取締役に就任おめでとうございます。タイミングとしてはまさにレバレッジをきかせていくタイミングでの入社という感じですかね。

福山: ありがとうございます、これまでは株主として陰ながら応援させていただいてたのですが、資金調達してこれから大きくグロースさせていくというフェイズで本格的にジョインさせていただくことになりました。とてもワクワクしてます。

手嶋: 福山さんとは、かつて、マイケル福ちゃんっていう謎の Twitter アカウントの人として最初は認知した気がしてます。当時は CARTUNE というコミュニティサービスをやってて、メルカリに M&A しましたよね。
コミュニティみたいな、いわゆるよりインターネットらしいC向けサービスみたいなのをずっとつくり続けて、メルカリにM&Aされてっていうストーリーはよく知っています。その流れの中でいくと、メルカリで何をやっていたのかはあまり世間の方は知らないのかもしれませんが、言える範囲でいうと、どういうことをやられてたんですか?

福山: メルカリグループでは、M&A以降は子会社として、自動車パーツ売買文脈で CARTUNE とメルカリのシナジー構築に挑戦しました。1年くらいやっていくなかで外のサービスからではインパクトが限定的だよねとなり、メルカリ本体の組織の中に入っていってメルカリ自体のプロダクト開発に携わりました。
複数のスクラムチームで構成されるクロスファンクショナルな開発組織のヘッドやったり、広告事業やプロダクト周りの役員などをやらせていただきました。

手嶋: いわゆるネットコミュニティサービスをゼロイチでたちあげてきたっていう文脈とは少し違う仕事だったんですかね。

福山: 組織課題や方向性について向き合ったりするのがメインで、自分でなにかつくるというよりも、なにかを閉じることや機能を減らすようなことが多かったですね。なので、正直なところ、サービスのつくり手としては何も残せなかったという悔しさと申し訳なさもありますが、マーケットプレイスの強さとその魅力については多く学びました。

マーケットプレイスの醍醐味

手嶋: グッズが取り組む卸売領域は、メルカリとは異質な事業だと思いますが、マーケットプレイスという文脈では共通する部分もあるのでしょうか?

福山: 売り手と買い手の相互作用のデザインは、メルカリと同様に重要だと思います。
メルカリでは早い段階から強い流動性(売れる確率や速度)が生まれていました。マーケ施策や検索順位の見せ方なども色々要因はありますが、自分の観点では、商品へのコメントがみんなにも見えるという仕様がかなり秀逸だったなと思っています。
ふつうにつくったら、売り手と買い手のクローズドチャットみたいな仕様もありそうじゃないですか。でも、価格に関するコメントなどがみんなに見えることで他の買い手にも売り手自身にも広く影響をあたえている。取引成立のキーである「価格」がすばやくかつ柔軟に決まっていく流れをつくっているなと。

手嶋: 値下げなどがフリマの流動性や売れやすさをつくるという観点がある一方で、B2B の卸におけるポイントはどうでしょうか?

福山: 卸の場合、いかに早く売りさばくかという視点ではなく、ブランドとバイヤーの間で信頼関係を構築し、長期的な取引を目指すことが重要だと思います。単発の取引よりも、長期的な取引をつくっていくためのプロセスに様々なポイントがあるのだと思います。取引先ごとに卸価格を調整する「掛率」という商習慣もそのひとつです。
卸売のマーケットプレイスは、取引前に売り手と買い手のやりとりが発生しやすいという点では、小売のB2Cよりも C2C のほうが近いと感じています。B2B とはいえ、売り手と買い手がどう出会い、どう信頼関係を築いていくかっていうコミュニティ的な側面もあり、売り手と買い手の相互作用のデザインが重要だと思います。自分の見え方としてはそう思ってる感じですかね。

手嶋: あとは、メルカリが初期にネットワーク効果が普通のサービス10倍ぐらい効いていた。その秘訣としては、1人ユーザー獲得したら売り手にも買い手にもなる可能性がある。要するに両取りという構造が強いんだということなんですけど、B2B のマーケットプレイスであるグッズにおいては、こういうネットワーク効果についてはいかがでしょう?

福山: ブランド側がマーケットプレイス外の既存取引先をグッズに招待して、受発注を集約化していくことでネットワーク効果が生まれています。また、役割の重なりという観点では、C2Cとは違い、ブランドと小売店・飲食店とでは役割が明確に分かれますが、オーガニックなチョコレートを作るブランドがオーガニックカフェを運営していたり、クラフトビールの醸造所がビアバーを経営し、他の醸造所の商品を仕入れるようなケースもあります。隣接するジャンルの売り手と買い手が集まっていくことで高いネットワーク効果がつくられると感じています。

手嶋: グッズがあるからこそそういうことが促進されてくみたいなことがあると面白いですよね。

福山: はい、ブランドがそういう小売店や飲食店を運営するきっかけをつくれたりすると面白いと思ったりします。他にも、髪を切ってもらいながらもクラフトビールが飲める床屋とかも流行っているようで、接客としてモノを提供していくような多様化も広がっていくのではないかなと。

手嶋: 今っぽいですよね。なるほどそういう意味だと、単なる物をたまに買ったり売ったりする以上の場にグッズっていうのはなり得る感じなんですかね、ビジョン的には。

福山: 規模が大きくなっていくと、卸先が重なる隣接するブランド同士がタイアップしたりすることもあるのかなって思います。フード&ビバレッジのブランド同士がコラボ商品を企画してお互いの取引先に卸していくとか。取引が便利にできる場所というだけではなく、一種のビジネスマッチングの場ととらえると、共創プラットフォーム的な側面もでてくるのかもしれませんね。

手嶋: ネット卸サービスは従来の先輩企業もいくつかあるとは思うんですけど、そういう意味だと少し違った思想でサービスづくりに取り組めそうって感じですかね

福山: インスタを中心にメーカーや小売や飲食店自身のネット人格が存在しているなかで、サービスの設計として、外部 SNS との連携だったりの要素を入れていくみたいなのはあったりするのかなとは思いますね。サービス内でお互いをよく知ることが取引関係を継続するうえで重要でしょうし。

グッズの CPO として

手嶋: 二度の起業と M&A の経験がある福山さんは、そういう意味だといろいろ人生の選択肢があったと思います。取締役CPOとしてグッズに入社する経緯ってどんなものだったのでしょうか?

福山: 創業時からずっと誘い続けてくれた菅野さんと、この物語の最果てまで付き合おうと思ったんです。実は、菅野さんとは人生の節目節目で縁があります。
学生時代にたまたま知り合い、新卒で入った会社もたまたま同じ、彼が FIVE を創業したときは自分は動画投稿コミュニティの MixChannel (現:ミクチャ) をやっていたので、会社として出資させてもらって動画広告商品のたちあげを一緒にやったり、FIVE も自分も同じ時期に M&A を経験していたり、たまたま家も近くて自宅近くのサウナによくいったり、と、20年弱の間でけっこうな接点がある。こんな縁もなかなかないよなって。
つまるところ、何をやるかよりも誰とどうやるかみたいなとこの方が自分的には重要だなって思いました。

手嶋: 今回 CPO ってことで入られてますけどどんなことをやっていこうって感じですか?

福山: グッズには専任のプロダクトマネージャーがいなかったので、ハイレベルなプロダクトビジョンなどを描きつつも、まずは一人目のプロダクトマネージャーとして機能開発やグロースの推進に力を入れていきます。いわゆるロット割引や送料無料設定など卸の受注において必要な機能もまだ完全に揃っているわけではないので、新規取引やリピート取引を円滑にする機能の設計と拡充に取り組んでいきたいです。

手嶋: B2B領域では、長期的に取り組むことも大切ですよね。

福山: B2B 領域の心構えみたいなものはありますね。モノづくりの基本としては B 向けも C 向けも違いはないと思いますが、C向けサービスのような分かりやすい短期グロースに着目するよりも、たしかな指標をしっかりと積み上げていくことを意識していきたいです。卸は特性上リピート取引がメインとなるので、リピート転換率や継続率周辺にこだわってやっていくのだろうなと思っています。

手嶋: SaaS の先駆者たちが大きな功績を残したおかげで、やはり長期で積み上がってくものに時間をかけようっていう世の中になってきてるかなって気はしますね。

福山: はい、また、長期で取り組む上でメンバーのインセンティブ設計もやはり重要かなと思っていて、その点グッズは SO プールも大きく確保されているから、これから JOIN する人も事業成長と事業貢献をダイレクトに自分ごとに感じることもできるんじゃないかなと思います。

手嶋: 採用を強化していく感じですか?どういう人が合いそうですかね?

福山: 引き続き、CTO の松本さんと共に、強いプロダクト&エンジニアリング組織をつくっていきたいです。特に、自分と一緒に密に取り組んでくださるソフトウェアエンジニアやプロダクトデザイナーを募集しています。
先程の B2B の心構えもそうですが、長期的に使われるものを作りたいって志向の方と一緒に働くことができたらうれしいです。あと、自分はサービス上のコミュニケーションやインタラクションを構造的にとらえたりするのが好きなんで、ユーザー同士のコミュニケーションを設計したりそういうのが好きな方とも一緒に働けたらいいなって思ったりします。

手嶋: なるほど、グッズでのご活躍をたのしみにしてます!

プロフィール

XTech Ventures 株式会社 代表パートナー 手嶋 浩己
1976年生まれ。1999年一橋大学商学部卒業後、博報堂に入社し、戦略プランナーとして6年間勤務。2006年インタースパイア(現ユナイテッド)入社、取締役に就任。その後、2度の経営統合を行い、2012年ユナイテッド取締役に就任、新規事業立ち上げや創業期メルカリへの投資実行等を担当。2018年同社退任した後、Gunosy社外取締役を経て、LayerX取締役に就任(現任)。平行してXTech Venturesを創業し、代表パートナーに就任(現任)。

goooods 株式会社 取締役 CPO 福山 誠

早稲田大学大学院を修了後、2009年にグーグル株式会社に入社。2011年にシンクランチ株式会社を創業し、ランチマッチングサービス「ソーシャルランチ」を立ち上げる。2012年にはM&Aを経て株式会社DONUTSのグループに入り、2013年にショート動画コミュニティアプリ「MixChannel (現: ミクチャ)」を立ち上げる。2016年にはマイケル株式会社を設立し、車好きに特化したコミュニティアプリ「CARTUNE」をたちあげる。2018年に株式会社メルカリによるM&Aを経て同社グループに参画し、子会社代表およびメルカリ本体のプロダクト開発、新規事業やプロダクト領域の役員として従事。2024年、グッズの取締役 CPO に就任。


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