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言葉の花束を。

何回この画面をひらいては、
言葉にあらわせなくて、
閉じたっけな。

今日は久しぶりに、
わたしの上に言葉が翔んでいる

3月7日早朝、父が亡くなった

食道がんで、
発見した時には、
ステージ4、組織に浸潤していた

だけどそこから、
1年7ヶ月父は、
最期まで父らしく、
自我を保って、
大好きな母に抱きしめられて
微笑んでるように眠りについた

文字にしたら
数行なのに、
その分かってからの、
日常がいきなり変わり、
時間が尊くてこわくて。

その日がきて、
たくさんの方々から、
父を偲んでいただき話をきいた

そんな中で兄が自ら発したのだ

「俺は言葉が足りなさ過ぎてたな」

わたしは、
「その分うるさい奴が私でしょうよ」

気づいてたよ

ずっとずっと知っていた

3交代で疲れた日も、
日曜日になれば、
外に連れ出してくれた

行き先は、
釣り、野球観戦、バッティングセンター、
登山、スキー場。

全部、兄が行きたい場所

父なりに、
3交代で無理をさせているから、
兄を子どもに戻らせる時間

楽しくないけど
ついて行ってたよ

わたしは、分かりやすく、
頭を撫でられたら、
笑っていたら、
父が一番喜ぶとわかってたよ。

そんなにスカスカじゃない

わたしも兄がいないと、
もちろん駄目だったから、
感謝を口にしなかった分、
毎日、毎日、
飽きもせずに喧嘩して。

だけど、
兄が家を出たとき、
父を激しく罵倒して、
一番傷つく言葉を放って。

すれ違ったまんまで、
もっと話せていたなら、
違ったんだと気づいたのだな

そういうところだ

散々ジタバタして、
バカまっしぐらな私を、
どんだけ、バカほど可愛いと、
愛されてきたくせにと言われても、
全然響かなかった

無傷

そっちが、
筋金入りの大バカと思ってたから

ただ、大人になって喧嘩してもね。

黙った兄に、
言いたくなかったけど、
なんか、言いたくなかったけど。

「これから先、自分がどれだけ愛されて、大事に想われてきたかを思い知ればいい。バカだったなともがき苦しむがよろし。」

ちょっと睨む兄

「いいじゃん。今から愛情をプレゼントされていく毎日なんて、最高やんか。」

その日から、
兄は弔問してくださる方々に、
自ら父がどんな人だったかを、
教えてくださいと言っては聞いて、
泣いて。

弔問してくださる方が、
後半になるほど、
昔からの父との縁がある方々が、
遥々ときてくれた

前半はわたしも一緒に話せた
割と直近の友人で、
近しかったから。

後半は足が向かなくなった

母と兄に任せればいい

みんなが言うのだ
兄に父の面影をみて、
立派に育った兄をみて、
良かったと。

良かったの理由は、
父と関わりが深いひとほど知る、
消えない出来事があったから。

父は離婚して、
現在の母と再婚した。
わたしが、
小学校3年、兄は中学になる時

長い間、産みの母は亡くなったと、
そう聞いて、空を見上げては、
語りかけていた私に、
青天の霹靂がおきたのは、
働きだしてから。

他人に指摘されるくらい、
もしかしてを言える程に、
産みの母と瓜二つなこの顔。

父にそれをいわれた日に、
確かめたら、20歳になったら、
いや、もう少し、もう少しと、
先延ばしたせいで最悪な形で知る

産みの母は存命していて、
わたしの誕生を待ちわびることなく、
消そうとしたのを、
頼みこんで、或いは代償を払って、
産んでもらったのだ

わたしの母子手帳をみたら、
白紙だらけで、受診日が出産日。

いわゆる未受診妊婦

だけど、あまりうる程に、
ちゃんと愛されてきたからか、
ショックよりは、
よく10ヵ月いさせてくれたなぁで。

よっぽどの条件のもとで、
何かと引き換えがなければ、
そんな事はしない人だったらしい

とにかく酷かった

誰に聞いても、
本当に酷かったでまとまる

そんな人と同じ顔で、
忌み嫌われた顔だとも知らずに、
その片鱗をみせる欠片のわたしが、
偲んで下さる方々の前にでれない

記憶を甦らせるだろうから

父の最期にふさわしくない顔は、
伏せとくに限る。

兄がちゃんと面影をもち、
母を支えて笑っている

成長したようにみえて、
成長してないのだ

小さなまんまのわたしが、
顔を覆ってうずくまって、
拗ねちまっている

だから言いたくなかった

兄がこれから、
どれだけのプレゼントを受け取るか、
羨ましいったらありゃしない。

私ときたら肝心、要でずっこけて

亡くなって1時間もして、
着信だらけのスマホをみて、
LINEをみて、なにがなんだか。

ただ、父が天晴れすぎたから

本の隙間に挟んだ、
へそくりで結婚記念日には、
毎年かわりに母に薔薇を届ける

それを果たして、
来年も果たして、
託されただけだと思っていた

だけど時間がすこし経ち、
挟んであった本を、
よくよく見て、涙が止まらなくなった

書棚は、ほとんどが、
大沢さんの本だったけれど、
この本のカバーだけは違っていた

光沢があり、
太陽にかざしたら、
虹色に輝いて。

鏡にうつる顔が、
忌み嫌われた誰かの顔で、
大嫌いになっていたから。

本の内容はまた違うとしても、
タイトルが虹色に輝いて、
煌めくそれに私は、
へそくりを挟んだ理由も、
わたしがこれを持つ未来も、
託していってたのだな。

小粋なことを…

私の顔は、
わたしの顔だ。

虹色に輝いて、
何色にだってなれる。

勝手にそう受け取ったけど、
正解だと信じるぞ

もう覆わずに、
背負わずに、
ただ日々を大切にする

言葉を放ちすぎて、
わたしもすれ違ってたんだなぁ。


まぁまぁ、この顔もいいか
こんな小粋なプレゼントがきたから。

参りました、天晴れ。


このnoteを花束にかえて

ありがとう


※読んでくれた方、ありがとうございます。