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【二社対談・前編】顧客の幸せを第一に ーーロイヤルオートサービスが描く未来の情報管理エコシステム構築をGoofyがサポートーー

「申し訳ありませんが、今はこの車の購入をお薦めできません」

中古車販売店の営業担当から、このような言葉を聞いたことはあるでしょうか。長野県内を中心に中古車販売事業を展開する株式会社ロイヤルオートサービスの執行役員マーケティング本部長CMOである奥野彰(おくの あきら)さんは、営業担当時代にこう言って顧客を帰したことが何度もあったと言います。

「お客様が『欲しい』と言う車であっても、その方の生活スタイルや移動の目的を考えると、違う車をお勧めしたほうが良い場合があります。最終的な判断はお客様に委ねますが、私たちは『買って損をしてほしくない』という思いを第一に考えています」

この「顧客の幸せを第一に考える」という理念を全社的な仕組みとして実現するため、同社は大きな変革に乗り出しました。その変革のパートナーとして選ばれたのが、SFA/CRM構築のスペシャリスト集団として日夜向き合っている私たち、株式会社Goofyでした。
変革の裏側を、奥野様と株式会社Goofyの山本恭平(やまもと きょうへい)との対談にてお届けします。

ーー聞き手・執筆:株式会社Goofy 広報担当 柴田佳奈(しばた かな)

奥野彰 / 株式会社ロイヤルオートサービス 執行役員マーケティング本部長CMO

自動車業界で30年以上のキャリアを持ち、販売部長として売上向上や営業力強化を実現。その後、コロナ禍に対応すべく立ち上げたマーケティング本部を率い、企業全体のデジタル化を推進。特にWeb集客体制の構築に注力し、短期間でWeb経由の集客を倍増させる成果を達成。変化する市場環境においても確かな成果を上げる実績を持つ。
最新のホスピタリティロジックやマーケティング理論を活用した実践的なアプローチが強み。デジタルマーケティングの分野で新規顧客獲得やリピーター増加を通じ、企業の成長に貢献している。現場経験と最新理論を融合した戦略で、現代のビジネス課題を的確に捉え、実行力を持って成果に結びつけている。

山本恭平 / 株式会社Goofy 代表取締役-founder

順天堂大学卒業後、リクルートG、Medley、hubbleにて一貫して営業責任者を経験。その後SFA/CRMを活用した営業体制の構築に価値を感じ、2019年に株式会社Goofyを設立。累計実績250社のSFA/CRMの構築運用、コンサルティング実績を元に企業における本質的なシステム導入及び運用サービスを提供。

「ロイヤルオートサービスの描く絵姿の実現に貢献したい」という想いが両社の強く結びついたきっかけ

ーー奥野さんと弊社代表の山本、ひいてはロイヤルオートサービス様とGoofyが知り合ったきっかけをお聞かせください。

山本:ロイヤルオートサービス様は、セールスフォースの改修という形で2023年1月からご支援しております。元々導入されていたセールスフォースの活用状況に懸念があり、弊社にお声掛けいただいたのがきっかけです。また今年の1月に株式会社リブ・コンサルティングと弊社が経営統合しました際に、同社モビリティ事業部の登川さんからも「以前よりロイヤルオートサービス様とはやり取りがある」と伺いまして、3者で対談しましょうという流れになって今日に至ります。

奥野さん:そうでしたね。もう2年近く続いてますね。

山本:他社で言う「グランドデザインといった表現をするプロジェクト」の絵姿が素晴らしいと感じ、成功のためにぜひともお力添えしたいと思ったんですよね。だから足しげく長野に通いました。

お客様と営業マンの関わり合いが淡泊な状況を変える

山本:当時ロイヤルオートサービス様は、中古車を仕入れて販売し、かつ点検や車検の窓口も別で持っている状況だったと思います。そのため点検・車検にだけ来る人もいれば、車の下取り依頼だけで来る人や車を買うだけの人もいる。このような顧客をカーディーラーは車を軸にして管理することが多いのですが、奥野さんは顧客軸で管理したいと話されていました。その構想を実現するためにSalesforceを入れようと考えたんですよね?

奥野さん:そうですね。

山本:しかし、車軸で管理していた情報を顧客軸で管理するように企業内で統合していくのはコンサルチックな能力が必要となる、難しい作業だと思います。弊社の前にロイヤルオートサービス様が依頼していた会社は、スモールに始めるストーリーで部分的には作り込みをしたそうですが、顧客を管理するシステムとしては使える状態になっていなかった。そこで奥野さんから直してほしいと弊社にご依頼してくださったのが最初のきっかけでしたよね?

奥野さん:そうです。弊社にはカーディーラーやメーカーなどの資本が入っていません。そのためデジタル化の話が出てきた際、カーディーラーやメーカーなどからデジタル化に必要な最新の情報を得られず、業務はアナログなままでした。

そんな中、数年前に弊社の代表がアメリカのテスラの工場視察に行きました。そのときに感じたのが「自動車の販売した後の顧客との関わり方を変えていく必要がある」ということだったそうです。弊社は車を販売しても利益はほとんどなく、アフターサービスで利益を上げていくのが基本です。しかし将来的に、一度購入したら水やオイルなどを使わないランニングコストの低い車が普及するでしょう。そうなれば、顧客との接点が減り利益にも影響が出る可能性があります。

また弊社の営業マンは一人当たり年間で数百人のお客様に車を販売するので、お客様一人ひとりのお顔を覚えることは難しいという実情もあります。しかも販売とアフターサービスを分業で行っているので、営業マンがお客様のことをずっと頭の中だけで記憶し続けるのは現実的ではありません。

ーーお客様を管理するツールやシステムは間違いなく必要ですよね。

奥野さん:車を販売したお客様と営業マンが次に会うことはないケースもあります。本来、何百万円もする商品を買ってもらったお客様とその場限りの付き合いというのはあまりにも淡泊ではないかと私自身思っており、この状況を変えたいという思いがありました。

山本:奥野さんの原体験がデジタル化推進に踏み切ったきっかけだったんですね。新車販売の場合、お客様一人ずつに担当者をつけるのが一般的です。一方、中古車販売では担当者をつけず、販売したらお客様との関係はそこで終了になるケースが多いと思います。もし奥野さんが考えているように中古車販売でも顧客と長く関わり続ける取り組みをするとしたら、それ自体が他社とは大きく異なる試みですよね。

奥野さん:そうかもしれませんね。一般のカーディーラーの販売台数と比べて私たち量販店の販売台数ははるかに多いので、アナログで顧客管理をするのは限界があります。だからデジタル化が必要だと感じました。

自分たちの力で管理・カスタマイズできる顧客管理システムを効率よく作るツールとしてSalesforceを選択

ーーロイヤルオートサービス様が顧客管理をデジタル化するためのツールとしてSalesforceを選んだ理由は何でしたか?

奥野さん:実は最初、Salesforce以外のツールでも良いと思っていたんです。すでに使っていたツールも一応はあったので、新たに導入するのではなくそれを提供してくれている会社にシステム化をお願いすれば良かったのではないかと。

しかし弊社としては、ただ顧客管理システムを組んで自動化してもらうのではなく、そのシステムを自分たちで管理し、必要に応じてカスタマイズできるようにしたいと思っていました。要するに、先の見えない未来を進むに当たって、誰かにシステムを組んでもらってその人たちに依存するのではなく、状況の変化に応じて自分たちでシステムを変えられるようにしたかったのです。

そこで一から作ることにしたのですが、私たちはシステム開発の専門家ではありません。効率的に作るのはコスト面を考えると難しいでしょう。そのためカスタマイズ性の高いシステムを自分たちで作れるツールとしてSalesforceを選びました。

100%自力でSalesforceを使ってシステムを組もうとすると、できることが多すぎていつまでも完了しません。どれが自社に必要な機能で、どうすれば効率的にシステム構築できるかサポートしてもらうべく、Goofy様に導入を支援してもらうことにしました。

山本:奥野さんの意思決定があったことで、プロジェクトとしてSalesforceの再構築がキックしました。今でも覚えてるのですが、ロイヤルオートサービス様の社内で奥野さん以外にデジタル化の重要性やSalesforceの使い方などの話がわかる方は、奥野さんより20歳くらい若い方2人くらいだったんです。他にも大勢の従業員さんがいるのに、重要性を理解してくれる方は本当に一部だけでした。

しかしその一部の中に役員の奥野さんがいてくださったことで企業全体でデジタル化を重視してくださいましたし、プロジェクトとして推進できたと思っています。だからこそ私たちも「絶対に成功させたい」とエンジンがかかりましたね。

ーー社内の状況を理解している奥野さんが、お客様とのつながりが希薄であることに課題意識を持っていたからこそ顧客管理のデジタル化という変化に踏み切れたのですね。

真の課題は「アナログ業務をデジタル化するプロセスそのものを変えること」

ーー山本さんから見て、ロイヤルオートサービス様が抱えていた課題は何でしたか?

山本:実際に奥野さんはじめロイヤルオートサービス様の方々と話して一番難しいと感じたことは、アナログのまま行っている業務をデジタル化する、そのプロセス自体を変えることでした。

Salesforceを導入して、例えばエクセルで管理しているデータをSalesforceに移したり、営業の方が記入している日報をSalesforceで入力してもらったりすること自体はそう難しくはありません。ただ、Salesforceを導入して奥野さんが思い描いているエコシステムを実現するためには、ホワイトボードに付箋を貼って管理していた顧客情報や、店頭に来た人に記載してもらった用紙をまとめたブリーフケース内の情報も残し、Salesforce内に入れていく必要があります。既存の情報のSalesforceへの移行およびSalesforceを活用した管理体制の構築、これが最も難しいことだと感じました。

ーーつまり、単にSalesforceを導入するだけでなく、アナログ業務のデジタル化も一緒になって進めたということですね?

山本:はい。それから弊社とロイヤルオートサービス様、特に奥野さんとで課題に感じているポイントが一致していたことも大きかったと思っています。他のカーディーラーや中古車販売の会社、そのパートナーである開発会社に話を聞くと、アナログからデジタルへの移行自体に課題意識を持っていないことがよくあります。そのため、ただ要件を書き出して、それらの解決にSalesforceのどの機能を使うかだけ決めて導入しがちです。そうすると使い始めたら思ったように扱えず、結局Salesforceを使わなくなってしまうんですよね。

ーー本当によくあるパターンですよね。そのような事態を避けられたのは、Goofyとロイヤルオートサービス様とで一緒になって最初に問題を洗い出し、息が揃った状態で進められたことが大きな理由でしょうか?

山本:そうだと思っています。

Goofyの自信を持って提案してくれる姿勢を信頼

奥野さん:弊社の既存データの移行について、そのままSalesforceに入れれば良いだろうと思っていたものがありまして、その線引きは山本さんと議論した部分でしたね。山本さんは自分の意見を曲げませんし、私も自分から引かないほうなので、かなり議論しました(笑)しかしそれがGoofy様に依頼を決めた一番の理由でもあります。他の企業にも依頼を検討していたのですが、山本さんのように強い意思で提案してくれるところはありませんでした。「こうするべきです」と言い切ってくれたんです。

山本:そんなに言い切ってました?(笑)

奥野さん:言い切ってました(笑)だからこそ私も山本さんやGoofy様という企業を信頼できたのは間違いありません。この人たちと一緒にシステムを作り上げていけば、たとえ時間はかかったとしても良いものができあがるだろうと思いました。

山本:DXにおいて、最初に大きな絵姿を描くことはとても重要です!一方で大きな絵を描くが故に、システムの統合など大きなモノに目線を奪われ、デジタル化やDXのもっとも重要なポイントとなる行動変容やオペレーションの変革の部分が見落とされるケースが非常に多いです。

しかしロイヤルオートサービス様は「エコシステムを作る」という大きなプロジェクトを構想しつつ、足元の部分にもしっかり着手する姿勢でした。この両立ができている点が素晴らしいと思います。加えて取締役である奥野さんが現場の状況や昨今のデジタル化の動きについて詳しいのも、デジタル化を進める上で理想的な状況だったといえます。

(前編以上)

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