グッドウォッチメンズだいちゃん

濱口竜介監督といつか対談することは夢です。映画を観ること、話すこと、書くことが好きです。たまに撮るときもあります。

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濱口竜介監督といつか対談することは夢です。映画を観ること、話すこと、書くことが好きです。たまに撮るときもあります。

最近の記事

「新婚旅行ハリケーン」の古典性と現代性について

先日公開された、「恐竜日記」に落胆していたところ、妻がお気に入りだという「クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜」を鑑賞したのだが、余りの出来に恐れ入った。 何よりもまず、ちゃんと話が面白い。明快に面白いエンタメ活劇でありながら、現代的なテーマを扱った鋭い批評性も持ち合わせている。 そして、古典映画への敬意がある。映画といえば活劇というイメージが現代よりさらに強かった、特に1930年代~50年代アメリカ映画からの影響を感じた。明快で上質な娯楽作が量産され

    • クレヨンしんちゃん映画にツッコミ不要説

      クレヨンしんちゃん映画(以下クレしん映画)のクオリティは、ツッコミ役の出番の少なさに比例するという説を提唱したい。 国民的アニメであるクレヨンしんちゃんについて、詳細な説明は割愛するが、かなり大雑把に要約する。 ジャンルは、バカバカしいナンセンスコメディで、5歳児の野原しんのすけがしょうもないことを言い周囲を振り回すといったところだろうか。 悪役のネーミング(個人的には天カス学園のふくらはぎむくみ)や、カトウコココノカドーなど、秀逸な言葉遊びを用いたセンスを感じることも

      • L'Arc〜en〜Ciel ARENA TOUR 2024 UNDERGROUNDに行ってきた

        3月16日にマリンメッセ福岡にて開催されたL'Arc〜en〜Cielのライブについて色々と書いていく。 演奏頻度が少なかった曲を重点的に披露していくというコンセプトがある今回の「UNDERGROUND」ツアーは、ちょうど折り返し地点にきたタイミング。 長年活動を続けているラルクは、ファン以外でも知っているヒット曲やライブで鉄板となる定番曲が多くて、どうしても初期の名曲が埋もれてしまう傾向があるので、このコンセプトはファンとして大歓喜だった。 いわゆるお披露目される機会が

        • 『夜明けのすべて』は”声“の映画

          三宅唱の映画は、毎度感覚が研ぎ澄まされて頭が冴える。 どこにでもある街並みがこうも映画的に生まれ変わるのかと驚かされる三宅マジック。 特に暗闇と光の明滅。 信号の色が変わるだけで感動する映画を他に観たことがない。 そして、『ケイコ 目を澄ませて』では音遣いまで進化した。 縄跳びが床に当たる音、ミットとミットがぶつかる音などがリズミカルに刻まれ、いつしか音楽的な響きをもたらす。 目を耳を澄ますことにより、感性を研ぎ澄ますような体験を得られるのが三宅唱の映画だ。 さ

          コムズフェスティバル ジェーン・スーの基調講演に行ってきた

          “アップデート”という単語を見聞きしない日はなくなった。 そう断言したくなるほど、昭和、平成を経て令和モデルへの順応を叫ばれる今日この頃。 私個人の考えとして、そういった時代の変化に抵抗を抱いていないつもりなのですが、理解した気でいることが本当に危ない。 私は男性なので、年齢を重ねたり職場で役職がついたりすることによって、気を抜くと権威の側に傾くリスクは女性よりも大いにあると思っています。 それこそ知らず知らずのうちにハラスメントの加害側に陥ってしまうことも本当にあり

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          【濱口竜介特集】『寝ても覚めても』他者と生きていくことを克明に描いた傑作恋愛映画

          はじめに映画ファンなら誰しも映画観もしくは人生観を根底から覆すような映画に出会ったことがあるのではないだろうか。 5年前、そんな衝撃をもたらし、しばらくその映画のことしか考えられなくなった。 それが何を隠そう『寝ても覚めても』だ。 この記事では例によって、弊ブログ管理人なりの視点でその魅力に迫ってみる。 あらすじそんなわけあるかい!なラブストーリーある日の大阪で写真展に観覧に出かけていた朝子と麦の運命的な出会いからこの作品は始まる。 少年たちの悪戯のために設置された爆竹が破

          【濱口竜介特集】『寝ても覚めても』他者と生きていくことを克明に描いた傑作恋愛映画

          【感激】初のエドワード・ヤン劇場鑑賞『エドワード・ヤンの恋愛時代』から受けた感銘

          個人的に好きな映画監督を3人挙げろと言われたら確実にその一人になる エドワード・ヤン監督。 既に亡くなっていて新作を観る機会は一生叶わない。 自分が映画を好きになったのはここ数年の話なので、 『牯嶺街少年殺人事件 』のリマスター劇場公開には間に合わなかった。 もう一生映画館でエドワード・ヤンを観ることはないのか。 ふとしたときにそんな失望が襲ってくるしがない映画ファンだったが、 『エドワード・ヤンの恋愛時代』をリマスター上映にてついに人生で初めて エドワード・ヤンの作品を映画

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          【驚嘆】傑作ドキュメンタリー『書かれた顔』が暴く現実と虚構の境界

          1.はじめにまたもや4Kリマスター上映にて過去の傑作に出会ってしまいました。坂東玉三郎と歌舞伎の神秘に迫ったダニエル・シュミット監督による『書かれた顔』です。 関東圏などでは3月ごろに上映されていましたが、私の地元の映画館ではついぞ上映されず...。 予告編を見たときから余りの映像美に魅了され、鑑賞したいと思っていたので、意気消沈。 しかし、高知県にて自主上映会を開催しているゴトゴトシネマさんがなんと本作を上映するというニュースが飛び込んできました。 はるばる(と言っても

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          【ジョン・カサヴェテス特集】ラブ・ストリームス アンバランスだが実直な愛について

          1.はじめにどうもグッドウォッチメンズの大ちゃんです。 今回はリバイバル上映で鑑賞した映画のご紹介をいたします。 取り上げるのは特集上映『ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ』から 『ラブ・ストリームス』です。 2.あらすじ3.ジョン・カサヴェテスという作家について なんにせよ本作を取り上げるには、監督と出演を兼ねているジョン・カサヴェテスの話をせざるを得ないでしょう。 娯楽作がメインストリームであった当時のアメリカ映画界で自由な映画作りに取り組み「インデ

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          【映画レビュー】牯嶺街少年殺人事件 闇の中で微かに灯る光について

          1.はじめにどうもグッドウォッチメンズの大ちゃんです。 近年、往年の名作のリマスター上映が続いていて様々な作品との出会い直しや出会いが続いているわけですが、今年は中でもジョン・カサヴェテス特集と『エドワード・ヤンの恋愛時代』(以下恋愛時代)のリバイバル上映があります。 当ブログでも何度か話題に上がるこの2人の映画作家は私としてもお気に入りなので嬉しい限り。 地元のミニシアターでは来月上映される『恋愛時代』に先駆けて『牯嶺街少年殺人事件』を再見。 何度か鑑賞している作品ですが何

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          人生初の観劇『パラサイト』日本を舞台にした結果はいかに...

          どうもグッドウォッチメンズの大ちゃんです。 今回は映画ではなく先日生まれて初めて舞台を鑑賞してきたため、その感想を綴っていこうかと。 とはいえ、まるで映画に関係ないわけではなくというよりめっちゃ映画に関係しているんです。 なにを隠そうアカデミー賞を受賞し日本でも大ヒットを記録した『パラサイト 半地下の家族』の舞台版を観劇してきたという次第です。 いくつかの視点から感想を語っていきます。 1.あらすじ 日本版『パラサイト』の舞台となるのは90年代の関西——。 家内手

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          『ハッピーアワー』の精神的続編?正当な神戸映画『三度目の、正直』

          どうもグッドウォッチメンズの大ちゃんです。 今回紹介する映画は少し前の公開ですが、私の地元の映画館では公開されず、絶望していたところ、U- NEXTにて配信されていたため鑑賞しました。 『三度目の、正直』 監督・脚本 野原位 主演・脚本 川村りら 出演    小林勝行       出村弘美       田辺泰信       謝花喜天       福永祥子       景吉紗都       三浦博之 『ハッピーアワー』や『スパイの妻』の脚本を手掛けた野原位さんの長編監督

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          初めての長編映画 『夜が明ける』を公開しました

          どうもグッドウォッチメンズの大ちゃんです。 以前少し話題に出しましたが、5月12日に無事長編映画 『夜が明ける』を公開いたしました。 企画立ち上げは2年半前、撮影と編集に時間をかけたというよりかかってしまったという方が強いですが、念願の公開で感無量です。 ざっくりお話としては社会人になりたての男が自分の都合だけで人生を送れなくなったときにどういう選択をしていくかみたいな話です。 こういう自主映画なのでお察しかもしれませんが、そこそこに自分の実人生が投影されていたりします。

          初めての長編映画 『夜が明ける』を公開しました

          映画をつくりました

          突然のご報告ですが、映画をつくりました。 一応92分という釈感なので長編作品といえるかと。 脚本に1年、撮影に1年かけたというか、かかってしまったの方が強いですが、みんなで協力して一生懸命つくった作品です。 公開は5月12日(金)でYoutubeで公開します。 予告編と座談会的な動画を貼っておりますので、よければご覧ください。

          【濱口竜介特集第三弾】あらゆる要素が折り重なる名画『ドライブ・マイ・カー』の神髄について

          しばらくご無沙汰していたこの企画を復活させます。 高知県民文化会館で行われた濱口竜介監督特集上映会による、 鑑賞全作品レビューです。 なぜ、ここまで間が空いたかというと、それは怠惰のひとことに尽きます。 自分にとって、『ドライブ・マイ・カー』、また後日に投稿する予定の 『寝ても覚めても』は特別な映画過ぎて、言葉にすることがとても難しいのです。 取り繕ったものになってしまいわないよう、何度も頭で思考を巡らせ何を語ろうか逡巡しておりました。 しかし、そんなこと言っていては書け

          【濱口竜介特集第三弾】あらゆる要素が折り重なる名画『ドライブ・マイ・カー』の神髄について

          【イベントレポート】こちらあみ子上映&トークショー 憧れのあの方とご対面…

          グッドウォッチメンズの大ちゃんです。 先日のスラムダンク応援上映に続き、イベントのレポートを書いていきます。 鑑賞した映画は「こちらあみ子」。 僭越ながら私が昨年鑑賞した新作映画の中で栄えあるベストワンと認める素晴らしい傑作です。 ちなみに、過去動画で話したものはこちら そんな大好きな作品の上映とトークショーが行われるとかぎつけたのは、 アフター6ジャンクションのアーカイブを聞いていたある日。 ぼんやりとトークを聞き流していると、福山駅前シネマモードで森井監督と宇多丸

          【イベントレポート】こちらあみ子上映&トークショー 憧れのあの方とご対面…