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MSC/ASC認証マークをめぐる水産業のサステナブルの実態を探ってみた!

このnoteのポイント
・MSC/ASC認証を取得している商品であっても消費者理解が同時に進まないと売上につながらない場合もあり、生産者としては厳しい状況
・MSC/ASC認証は日本の小規模漁業にはマッチしない認証制度の可能性がある
・MSC/ASC認証は、漁獲段階だけでなく、流通段階でも厳しいチェックが入るため最終商品に認証マークが付くには多くのハードルがある
・海外ではスーパーの独自の認証や、段階的な認証制度もある
・認証を持っていなくてもサステナブルな取り組みを行う行業関係者は多くいるため、生産ストーリーを届ける・知ることが大切

こんにちは! Good Tideチームメンバーこんにちは! Good Tideチームメンバーの山下(@yamashiitaa)です。

以前、エシカルな認証マークについての記事をアップしましたが、実はこちら、Good Tideチームでnoteを始めてから2番目に多く閲覧されている記事になっています!沢山の閲覧ありがとうございます!

こちらの記事を書いていた際に、実際に認証マークを取得する業種の方々にお話をうかがってみたいな、と思っていたところ、弊社メンバーの知り合いで食品販売会社で就業されていて、且つ水産物をメインに扱っている方がいらっしゃると聞き、Zoomではありますが、MSC/ASC認証のことや水産業周りのサステナブルについてお話を伺いました。今回の記事ではお伺いした内容をおまとめしてご紹介します!(※お伺いした方の許可はいただいておりますが本名NGとのことで、「たこさん」と記事内では呼ばせていただきます。)

「実際MSC/ASC認証ってどうなの?」「日本の水産業って今どうなっているの?」という疑問をお持ちの方は、水産業に関わる方の生の声をこちらの記事にたっぷり詰め込んでおりますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

MSC/ASC認証とは?
「海のエコラベル」とも呼ばれる「MSC認証」は、その製品に使われている水産物が、海洋環境や水産資源に配慮した持続可能な漁業によって獲られたことを示しています。
もう一つの水産エコラベルが「ASC認証」。こちらは責任ある養殖によって生産された水産物であることを示しています。
MSCはMarine Stewardship Coucil(海洋管理協議会)の頭文字、
ASCはAquaculture Stewardship Council(水産養殖管理協議会)の頭文字をとったものです。

MSC/ASC認証がついている水産物は売れるのか?認証マークがついていても売れない現状

山下:本日はどうぞよろしくお願いいたします!環境に配慮した食品を買いたいと思った際に認証を取得しているかを見ることが多いのですが、実際販売されている実感としてはいかがでしょうか?

たこさん:答えとしては認証が付くことによって売れるわけではない、というところが率直なところ。マークの取得・維持には当然費用がかかるので、マークが付くことで値段が上がることもあり、売上は同じ商品のマークなしの場合よりも減ってしまいます。ただし、顧客アンケートの定性調査では、認証が付いた環境に配慮した商品を買いたいという声もあるので、意識はあるが購入に繋がっていないというのが現状でしょう。そのためエコかどうかだけを推すのではなく、商品の魅力をきちんと伝えて、その上で売れた商品が実は環境にも配慮されているという売り方の方がいいと感じています。

MSC認証/ASC認証は日本の漁業に適していない?

山下:そうなんですね…!ありがとうございます。最近は認証も有名になっていることがあり盛り上がりを見せているのかと思っていましたが、現実はそうとも限らないのですね。認証マークの付いた生産物って、そこまでスーパーなどで多くは見かけないなと思うのですが、実際日本の認証マークの取得はどんな状況なのでしょうか?

たこさん:MSC/ASC認証はヨーロッパでできた認証のため、規模の大きい漁業形式であれば採算が合うのですが、小規模な業者が多い日本の水産業には正直合っていません。なぜなら認証マークを取得するためには、専門の外部コンサルタントに監査を依頼しなければならないため、1,000万円以上の費用が掛かることもあるためです。自治体によっては認証取得のための補助金を提供するところもありますが、日本で安定して認証が取れているのは北海道のホタテくらいです。北海道の漁業は、マーケット的な魅力もあって設備規模が大きい業者も多いため、認証の取得と維持のための予算を確保できる業者もあります。

山下:そうだったんですね!それだと確かに、認証の付いた生産物が沢山スーパーに並ぶというのは難しいですね…。認証の取得の際に、他に障壁となることってあるのでしょうか?

たこさん:商品の認証を取得するとき、水産物の漁獲段階だけではなく、その後の流通段階でも認証を受ける必要があります。さらに、認証を取得するために流通ラインを分けるなど、認証の維持費がかかったりと流通段階でのハードルが高い現状があり、流通段階で認証が取れていないから認証マークを付けることができない業者もいます。また、原料は認証を取っているけれど、間の業者が認証を取っていないため最終商品には認証が付かないというケースもあります。

段階的な認証や、認証以外のやり方をしてみるという考え方もある

山下:なるほど…。全ての流通段階での認証が必要なんですね。それは確かにハードルが高く感じられます。何かもう少し、生産者にとって優しい認証などもあれば良いのかなとも思いますが、そのあたりいかがでしょうか?

たこさん:いきなり100%達成しようとすると確かに難しいです。例えばアメリカのWalmartは、自社で段階的な認証を作っています。国際的な認証マークは取れなくても自社でしっかりと判断し認証を設けることは消費者にとっても買い物の一つの指標になるのではと考えています。
国内ではイオンさんが、「フィッシュバトン」という取り組みで、サスティナブルシーフードをアピールする売り場を設置されています。

認証以外のやり方としては、生産の現地に足を運んでそこで見た情報をちゃんと伝えることも効果のある取り組みだと思います。生産者がどういった方法で環境に配慮した漁業を行っているのが、生産者の思いや取り組みを伝える手札を増やして発信すれば、マークはついていないけれど、持続可能な漁業のために貢献しているということは伝えられます。例えば、シジミの漁獲方法としてくま手の間をちょうど稚貝を取らないような隙間に改良して使用したり、ボートの速度が上がると取れすぎてしまうため、速度を落とすこともあるそうです。そういうストーリーの方がイメージがわくので、認証より伝わるのかなとも思っています。

生産者のストーリーを知ることができる新しい手法とは?

山下:生産者さんのお話を聞いてみたいと思いつつ、どうやったら聞けるのだろう?とイメージが難しい部分もあるのですが、オススメのメディアなどはありますか?

たこさん:最近では、Yahoo!Japanが運営しているGyoppy!という漁業専門メディアに注目しています。「海の豊かさを守ろう」というSDGsのゴール14と共通するスローガンで、日本各地の漁業関係者のN=1の声を大切に伝えていく内容となっています。

山下:各地のユニークな取り組みが掲載されていて面白いですね~!最近ではClubhouseでたべチョクさんが農家さんと一緒に配信されていたりもしますね。

たこさん:そうですね、ラフな発信でも嘘をつかないということを担保すれば、粗さは許容されるのかなと思っています。良いコンテンツに無理やりしようとせず、ありのままの声の方が面白かったりしますし。BGMとか編集とか、期待値がないところにお金をかけなくてもいいかなと(笑)

たこさん:他にも音楽配信サービスのSpotifyでポッドキャストを運営している農家さんもいらっしゃいます。こちらの方は、映画やアニメ、本の中での農業の表現の仕方の特徴や、リアルと違うところなど、面白く解説してくれています。

山下:タイトルが、『ゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズの「やくそう」考察』や『映画「ミッドサマー」と焼畑農業』など、すごく気になります(笑)エンタメを通して農業を身近に感じられるのも、良い視点ですね。

最後に

山下:本日はお話しありがとうございました!Good Tideチームとしては、SDGsというテーマで活動しながらも現場の声をお伺いすることが少なかったので、生の声をお伺いできてとても勉強になりました!

たこさん:もっともっと漁業には色んなマーケティング視点が入ってくると良いと思っていて、D2C的に何十億稼ぐ農家さんも出てきたらすごいでしょうし、ITやデザイン×一次産業は爆発力のあるコンテンツになりうると思っています。今度、漁業体験でもぜひ行きましょう!

山下:ぜひ参加させてください!楽しみにしています!読者の皆様にとっても、今回のお話しが今後のお買い物の際の選ぶきっかけになったり、生産者さんの声を聞いてみたい!と思うきっかけになっていたら幸いです!たこさん、本日はありがとうございました!

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