進化を止めない最高峰の銭湯サウナ・松本湯の知られざる一面。
仲間とともに作り上げる!知名度を上げるための取り組みとは?
ー いきなりですが、人気になるまでどのような取り組みをされてきたのですか?
きっかけは、施設の改装までに知名度を上げようとしていた時に出会った2人の仲間です。
1人目は、アウフギーサーのレジェンド ゆうさん。たまたま知り合いから紹介してもらい、アウフギースを受けてみたところ衝撃を受けました。
「なんて気持ちいいんだ。これはうちでやった方がいいね」と。ゆうさんはファン層を掴んでいて、松本湯でイベントをやるという噂を聞きつけた人たちがたくさん来てくれて、松本湯が一気に人気になりました。
2人目は、蒸しゴリくんです。昔から松本湯の屋上で何かしたいなと思っていて、何十人にも相談していたんですが、アイデアが浮かばなかったんです。そんな時に蒸しゴリくんと出会い、屋上を見てもらったところ
「完璧です。テントサウナ持ってくるので、屋上も使ってイベントやりましょう」と言ってくれました。
最初はピンと来なかったんですが、屋上で試しにやってみたらめちゃめちゃ気持ちよかったんです。露天風呂がなくて、外気浴ができないうちにぴったりでした。お客さんの間でも絶大な人気があったみたいで、毎回予約は数分で完売していました。
ー 知名度を上げながら、どのように施設を改修していったのですか?
改装まであと半年となった時のこと。見た目はシンプルでいいから、ボロボロになっていた配管系を含めて、設備を一から変えたいと思っていたんです。
「銭湯は掃除に始まり掃除に終わる」と言われるほど、掃除が徹底しているので、掃除が楽になる作りのために、設計士と何度も話し合いました。
ちょうどその頃『サ道』でサウナブームが来ていたことに注目しました。そこで、300から400のサウナ施設に行って、何が求められているのか徹底的に調べました。松本湯は一般公衆浴場ですが、サウナ施設にも負けないものを作ろうと決意しました。
他の施設で面白いものがあれば取り入れつつ、サウナ室、水風呂、休憩室の3つはこだわり抜いて作りました。
まずは、サウナ室。
蒸しゴリくんと一緒に座面の高さや天上の高さゼロベースで考えました。一般的なサウナ室は自然吸気・排気なんですが、うちは強制で吸って空気を対流させています。
座面のボナサウナからの対流、フィンランド式サウナの熱源、そして石や壁からの輻射熱。お客さんに喜んでもらえるサウナ室のために、全て緻密に計算しました。
続いて、水風呂。
改修前から、水風呂が冷たすぎて入れないという人がいたので、細かい微泡を入れてぬるい水風呂も作ったんです。そうすれば、深く冷たい水風呂を楽しんだ後にも入れますし、お風呂目当てで来てくれたお客さんにも楽しんでもらえるかなと。
最後に、畳の休憩所。
元々椅子を置いて休憩所にしようと思っていたんですが、いざ椅子を置いてみると、なんとうまく入らなかったんです。
椅子が入らないこのスペースをどうしようとめちゃくちゃ焦ったのですが、
「そういえば外気浴、スーパー銭湯で露天風呂で畳を引いているな。畳を入れれば、休憩できるし、椅子もいらないな」とひらめきました。
畳では外気浴ができないから、リアルな空気を送ろうとスカイスパのアイデアを取り入れました。スカイスパには、休憩所の上部にホースが繋がっていて、葉っぱのから空気を出す装置があるんです。風がそーっと当たるようにすれば、気持ちよく休憩できるなと。
実はここの畳を気に入ってくれているファンが多いんです。畳を置いて正解でしたね。椅子置いたら満足度下がっていたなと(笑)。
お客さんに喜んでもらうため、楽しでもらうためにいろんな施設をぐるぐる回っています。
「他の施設はこうしているんだ!これはいつか松本湯に取り入れよう!」
というストックが頭の中にあるからこそ、リニューアルで大きく進化できたのかもしれませんね。
迎えたオープン当日。繰り返す改善の日々。
それから、口コミやクラウドファンディングなどで順調に知名度を上げることができました。
迎えたオープン当日。
笑い話でよく言うことなんですが、オープン20分前に設計士と店の前に行ったら1人しかお客さんがいなくて、ゾワーっとして死ぬかと思いました(笑)。うちってそんな人気なかったんだと。
心配になってもう一度、オープン直前に店に行ったら道に溢れるくらいにたくさんいて、再びゾワーっと(笑)。言葉にすると同じなのですが、先ほどとは違う感覚でした。
先頭にいた仲間から「半年間待っていたよ!」と言われたことは、思い出すだけで涙が溢れますね。
オープン初日を無事に終えることができたのですが、全国から来てくれるサウナ好きに満足してもらうには、オペレーションは家族だけだと回せなないなと気づきました。
開店してから1ヶ月は試行錯誤でした。
自発的にお客さんが話してくれたので、その声を大切にして湿度や温度を微調整を繰り返しました。お客さんの声が一番なので。
お客さんは「十分気持ちいい」と答えてくれて、私も自分で作ったんだからそりゃそうだと思うのですが、常に向上心を持って
「うちに足りないものって何ですかね」「もっとあったらいいなと思うものって何ですか」
と聞いていました。悪いところってなかなか言ってくれないので。
オートロウリュで水を出している時間も1秒単位で動かせるので、初めは7秒でしたが、今は9秒です。3段目にじっとくる熱がくるベストな時間を見つけました。
「なるほど、そんなことがあったのか」というものがあればどんどん取り入れています。
「本当に気持ちよかった。また来ます」の声を聞くために頑張っています。
こういった話は、他の銭湯オーナーの間で情報交換をしています。お客さんが多い施設は最新の設備にも敏感なので、お互いに取り組みを共有することによってサウナ界、銭湯業界全体の発展に繋がっていると思います。
施設の運営って裏方の世界ですが、お客さんが「今日なんか違ったね」と言ってもらえると嬉しいですね。小さい変化も見逃さず、見ている人は見ているんだなと。
勝手に辞表を提出!?急展開を受け入れてたどり着いた今。
ー 松本元伸さんは3代目だと思うのですが、元々継ぐことが決まっていたんですか?
実は全く継ぐ気はなかったんです。新卒でフランス料理の食材を扱う商社で営業を2年弱やっていました。
親父がその商社の社長と仲が良かったのですが、知らないうちに社長に私の辞表を出したらしく、会社を辞めるという話になったんです。急展開すぎて驚いたんですが、辞表が既に受理されていたので受け入れるしかないなと。
親父としては、番頭が腰を痛めたから来週から入ってほしかったみたいですが、人の人生を勝手に決めるなと大喧嘩になり、当時は全く口も聞かなかったです(笑)。
松本湯で働くようになって10年くらいは裏側の掃除を担当していた。正直あまりやる気なく働いていましたね。
そんなある日。親父に急に呼ばれて、代表をやってくれと言われました。「やるなら一才口出ししないで自分の意思でやらせてくれ」
と伝え、了承しました。
まずは、回収する前に、借金を返済しないといけなかったのでデイサービスを午前中に入れたり、なんとか売上を上げようとしました。
そんなある日のこと、昔から会いたかった有名な施設の方々と話す機会があり、仲間に入れてもらえたんです。みなさん、施設について本当によく考えている。だから人気なんだなと。ここで他には負けない銭湯作りたいという思いが強くなり、いろんな取り組みをするようになり、そこから一気に面白みが出てきたんです。
3代目として、潰れずに何とか生き残るためにどうすればいいかと考えてきました。ゆうさん、蒸しゴリくん、うまくいいスタッフに恵まれて、今の松本湯があるんです。
サウナを楽しむ人たちへのメッセージ
それぞれの施設には個性があるから、いろんなところを回ってほしいです。そうすると、サウナや水風呂などの好き嫌いがわかると思います。
いろいろ回った上で「やっぱり松本湯がいいな」と思い出してまた来てくれると嬉しいです。松本湯が、みなさんにとって5本の指に入る施設になればいいなと思います。
松本湯
サウナ入浴:1回 1000円(入浴料500円+サウナ500円)※バスタオル付き
定休日:木曜
アクセス:Google マップ
JR総武線 東中野駅:東口出口左側階段より徒歩8分
地下鉄東西線 落合駅:小滝橋方面3番出口より徒歩3分
西武新宿線 下落合駅:南口より徒歩8分
公式ホームページとSNSは、こちら。
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