『母親』

古くから付き合いのある、Hの母親のお墓参りを断ったからかもしれない。

Hの家で、一緒の布団に入り寝ている。

Hは起きているが、私はまだ眠くウトウト寝ていた。

Hは何か落ち着かない様子だった。

突然亡くなったHの母親が現れて「あんた達まだ寝てんの?ほれ、支度するから起きて!」と起こされた。

夢の中のHの母親は、若くとても綺麗でハキハキしていた。

私は焦って「あ!おばさんこんにちは!すいません!」と言いながら起きる。

知らない駅からバスのような電車に乗り、知らない駅で降りる。

少し歩くとHの家がある。

「あれ?○○駅から乗って○○駅で降りるとこんなに近いんですね!」と、前を歩くHとHの母親に声をかける。

2人が振り向いて「しー!大きな声で言ったらバレるから!」と怒られた。

大きな商店に入り、Hの誕生日に渡すプレゼントをHの母親が買うというので、私も賛同し、ついでに自分の姉へのプレゼントも探した。

なんでもある。
古いレコードもあれば、海産物も売っていたり、宝飾物が並んでいたり、絵が飾られていたりと、とにかくジャンル問わず色々売っており、ブースごとに分かれていた。

Hの母親が海産物コーナーに並び、蟹と野菜類を買っていたので、横に並んで雲丹をHに買おうとしたら、Hの母親がウニの中身を沢山入れ替えてそれを渡してきた。

私は内心、ヒヤヒヤしながら会計に挑む。

海鮮コーナーで会計をしてくれたおじさんは、何も知らないフリをして会計をしてくれた。

会計後呼び止められ、優しい顔と声で「分かってたけど友達のために持っていきなさい。」と笑顔でお釣りを渡された。

「…すいません。」と謝り、感謝を伝えその場を去る。

Hが入院の準備を終えて2人部屋に入る。

歯の治療らしいが6時間で終わるらしい。
1泊2日の入院だった。

Hの母親と私は、Hのベッド横で話をしていた。

Hの母親「私はこの後、男と遊んでくるけど、keyがいてくれると、寂しさを埋めれるから男は要らないんだよね。いつもkeyが優しく受け入れてくれるから、男に頼る必要が無くてさ。」と言った。

私はベッドに突っ伏したような状態で、Hの母親を見上げながら涙が止まらない。

その言葉は、H自身の胸の内を、Hの母親が私に伝えているようだった。

Hの母親は少し笑顔で、私の頭を優しく撫でてくれた。

何かにすがらなきゃ生きていけない現状と、私という存在で帳消しになる天秤で、釣り合いが取れている状態だった事に、申し訳なく感じた。

Hの母親が男に会うため、もう病院を出ると言うので、Hを励ましながら、また逢うために本を2冊借りる。

病室を出ようとした時、私の母と姉が迎えに来ていた。

私の母は、1度だけHの母親とスーパーで偶然会い、とてもはしゃぐHの母親のことをよく覚えていた。

Hの母親が、私の母の元へ飛んできて嬉しそうに手を取る。

私の母が照れ笑いしながら、ゆったりと話しかけていた。

私は懐かしい光景をまた夢の中で見ている。

目が醒めると5:17分。

軽い頭痛が襲ってきている。

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