『駅』
縁を切った幼なじみと改札に向かいながら、帰路に着こうとしていた。
彼女は券売機で切符を買い、そのまま先に行ってしまった。
私は3段ある階段の真ん中で、50円玉を落とし拾う。
顔を上げると彼女の姿はどこにもない。
同じ方向だから右へ曲がったんだろう…
改札を入ると、向かい側の改札口に学生の団体がびっしり並んでおり、各色に分かれていた。
頭からつま先まで各色事に整列し、皆ニコニコしている。
先頭は先生。
学生達を色ごとに整列させて、スタートを切る前の緊張感が伝わる。
学生達はにこやかに笑いながら大合唱をしており「ロップ・イン・チャ・ハレルヤ〜」と楽しい音程、心地良い子供達の歌声、明るく朗らかで、響き渡る幸せの大合唱をしていた。
「やばい…何百人いるんだろう?こっち来るよね?なんかのパレード?いや修学旅行生っぽいな?なんだろう?なんの集団だろう?」
そんな事を頭の中で考えているうちにスタートが切られ色の渦が向かってくる。
あっという間に、ピンクの列が左昇りエスカレーターを埋めつくしていく。
黄色の列は、右奥昇りエスカレーターへ。
青の列は、右手昇りエスカレーター。
緑の列は左奥昇りエスカレーターをどんどん昇って行く。
何色あるのか分からないが「インサイドヘッド」のように感情と色がリンクしてるようにも感じたが、赤色や黒色は見当たらなかった。
辛うじて紫色はあったような気もしなくない。
空港も、色の子供達にジャックされ、屋上ではあちこちに座るグレーの学生達が、あらゆるものを使って音を鳴らし大合唱をしている。
あのちゃんもいる。
夜空に拡がる、優しくて可愛い歌声達。
「ロップインチャハレルヤって、なんだろう?ロップ、イン、チャイルド、ハレルヤ…ロップってなんだろう?」
当てはまる英語が自分の中に無く、考える。
歌声が遠のく。
大合唱にエコーがかかっている。
心地良い子供達のはしゃぐような歌声。
目を開けると暗い室内。
携帯を見るとAM5:31分。
頭の中、大合唱が響き渡る。
何か分からないけど、幸せな夢だった気がする。