ケトルベルの特性を考える
こんにちは!
先日書いたケトルベルの記事がXで思いの外反響があったため、変な誤解を生んでしまってはいけないと思い、今回の記事を書くに至りました。
今回はAI先生のお力を借り、ケトルベルトレーニングのエビデンスであったり、バーベルトレーニングとの比較などを調べました。
■山口のケトルベルに対する考え
まずは変な誤解というのは
『ケトルベル万能なんじゃね!?』
っと勘違いしてしまうことです。
ケトルベルが日本に上陸したときに、私も思いましたよ。
『これ一個あれば全て賄えるんじゃね!?』
実際、万能感を謳うような売り込み方だった記憶があります。もちろん捉え方次第ですが。
2007年くらいからはお客様に提供するパーソナルトレーニングにも取り入れていました。
死ぬほどケトルベルをやり込んだわけではないので、あくまで山口個人の私見ですがケトルベルの特徴としては
・動きの自由度が高い
・自由度を利用してのモビリティエクササイズは秀逸
・筋力向上にはあまり適していない
・スイングに代表されるように、バリスティックな動作を比較的簡単に習得できる
・なんとなくやると強くなりそう…
・ロシアンパワーな雰囲気
・ヒョードルがやっていた
ざっくり挙げましたがこんな所かと思います(最後の3つは私の感想です)
特に筋力向上に関してはバーベルトレーニングの方がはるかに効果的だと考えています。
理由も至ってシンプルで高重量のケトルベルがないことと、バーベルと比較して漸進性過負荷がやりにくいからです。
もちろんケトルベルの特徴を活かして、様々なフィジカル要素を向上させることは可能ですが、こと筋力という柔術において重要な要素においてはバーベルトレーニングに軍配が上がるでしょう。
ただこれもあくまでのも私の経験と知識から導き出した推論なので、実際はどうなのかをAI先生に論文ベースで教えてもらいました。
■ケトルベルのトレーニング効果
1.筋力向上
2本のメタアナリシス(複数の独立した研究結果を統合・分析する手法。信頼性の高い結論を導くことができます。)によると、筋力向上には強いエビデンスがありトレーニング経験者の方がより大きな筋力向上があったそうでです。
まぁこれは経験者の方が、しっかり追い込めるというのも関係ありそうな気はしますが。
1-1:効果が確認された主要エクササイズ
・ツーハンドスイング
セット数:3-5セット
反復回数:15-20回
レスト:60-90秒
・シングルアームプレス
セット数:3-4セット
反復回数:8-12回
レスト:90-120秒
・ゴブレットスクワット
セット数:3-5セット
反復回数:10-15回
レスト:90-120秒
だそうです。
ケトルベルで筋力向上を狙っている方は、この辺をしっかりやり込んでみるのも良さそうですね。
2.運動パフォーマンス全般への好影響
これはケトルベルの動作の自由度の高さからきてるかもしれませんね。
3.心肺機能
こちらは高強度インターバルトレーニングとしての効果や最大酸素摂取量の向上、心拍数や血圧への好影響が確認されたそうです。
■バーベルとケトルベルの筋力向上効果の比較
1.バーベルの優位性
最大筋力の向上は15-30%の差異があり、特に1RMの向上に顕著な差が出たようです。
特に下半身の最大筋力向上に優位差が出たようです。
2.ケトルベルの優位性
運動連鎖を活かした力発揮やバランス能力の同時向上、より実践的な筋力発揮といった機能的筋力の向上がバーベルトレーニングよりも優位性があるようです。
また、バリスティック運動による爆発的パワーの向上もケトルベルの優位性だそうです。
■AI先生の総括
最大筋力向上:バーベル>ケトルベル
筋パワー向上:ケトルベル>バーベル
機能的筋力:ケトルベル>バーベル
■山口の所感
AI先生も頑張ってくれましたが所詮AI!まだまだやな!!ってのが私の所感です。
まぁ私の質問の仕方が悪かったのかなとは思いますが、筋パワー向上こそバーベルトレーニングの領域です。
恐らくAI先生がまとめてくれた論文の中には、バーベルでのリフティング種目を取り入れたものが無かったのでしょう。
そして機能的筋力のフワッとした感じ。
これは多分論文ベースではないでしょう笑
機能的筋力ってなによ?
数値化できないものを比較しても意味はないでしょうに。
■山口が考えるケトルベルの良さ
・肩関節の安定
ケトルベルで行うプレスは、動作時に肩関節の外転・外旋を伴わなくても行えるので、バーベルやダンベルと比較して肩に負担無く行うことができます。
ケトルベルなら痛み無くプレス動作ができるという人も少なくはないでしょう。
またケトルベルの形状上、肩関節の内旋筋(肩甲下筋)が常に働きながらのプレス動作になるため肩関節が安定したポジションで動作を行えます。
・体幹制御能力の向上
ダンベルやバーベルでも行えないことはないのですが、ケトルベルの方が多方向へ動かすことができ様々な方向に負荷をかけることが可能です。
静的な体幹制御能力がプランクならば、ケトルベルの体幹種目は動的な体幹制御能力となります。
・モビリティ(可動性)の向上
こちらもケトルベルの形状と重さを活かしてのモビリティエクササイズが非常に秀逸です。
特に肩関節の可動域向上にはかなり役立ちます。
まとめ
こうして考えるとケトルベルの良さはその形から来ているものがほとんどですね。
まぁ当たり前っちゃ当たり前ですが。
どんなトレーニングツールにしても、それだけで全てを補うことは難しいです。
ケトルベルもバーベルもピラティスマシンも。
大事なのは何を使うのかではなく、それらツールの特性を見極めトレーニングシステムにどの様に導入するかだと思います。
Aさんにとってケトルベルはモビリティ向上、Bさんにとってはケトルベルはストレングス(筋力)向上といった具合にその人の身体の状態次第でいかようにも変わります。
なんか最後脱線してしまいましたが、この記事が少しでもお役に立ったら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
山口