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愛聴盤(17)ブラームスのクラリネット五重奏曲 ライスター&ウィーンSQ

クラシック音楽に40年以上心酔してきました。

若い頃と比べて、好みもかなり変わりましたが、普遍的な魅力を称えるブラームスに対する敬愛は、更に深まるばかりです。

今回取り上げる、ブラームス作曲のクラリネット五重奏曲(作品115)のレコードは、ベルリン・フィルのクラリネット奏者カール・ライスターとウィーン・フィルのメンバーによる録音です。カメラータ東京によって、1981年12月に、ウィーンにあるテルデック社のスタジオで録音されたもの。プロデューサーは井阪紘氏です。

ジャケット裏面の、井阪氏の「プロデューサー・ノート」によれば、この時のライスター氏は、このスタジオの音響に、かなり満足したらしく、ご機嫌だったようです。確かに、全曲にわたって、実に伸び伸びと吹いています。ウィーン四重奏団との息もピッタリで、録音の優秀さも相まって、各楽器のバランスも良好。アンサンブルを楽しむ名奏者たちの息遣いが聞こえてきそうです。

弦楽セクションは、ウィーンの音色が満開。ヴェルナー・ヒンクのヴァイオリンの品格、レップのチェロの豊かさなど、鄙びた美しさと深みのあるウィーンの弦と、澱みのないライスターの音色が、絶妙なバランスでブレンドしています。

カール・ライスターは、この曲を、違う四重奏団と何回も録音しています。その全てを聴いたわけではありませんが、私には、この演奏が最良に思えます。全体的にしなやかで、音楽の流れが自然なのです。所有盤がアナログ・レコードであることも、その魅力を後押ししているのかもしれません。

1980年代に、私はこの新品レコードを、たった1,500円で手に入れました。全四楽章が一枚に収められているので、第三楽章、第四楽章のB面はたった13分半。贅沢なカッティングです。レコードは、外周よりも内周の方が音が悪くなるため、このレコードのように、無理に詰め込まず、余裕をもってカッティングしてある方が音質に有利です。

長くクラシック音楽に親しんでいると、過去に手に入れた音盤が、ちょっとしたお宝に化けていることがあります。これは、私の心を掴んで離さないレコードコレクションの中の一枚です。

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