vol.07 Happy Obon Holiday! ブルックリン・ブリッジ、天理市、中国の田園生活
2020/08/13 配信記事
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お盆休みの真っ只中。夫婦揃って会社勤めではない私たちには連休という感覚もなく、今年は実家にも帰れないし、お盆という実感もないまま、時間がすぎている。そもそも2020年は、色んなことに実感がないまま時間だけがすぎていく気がする。みなさん、三密だけには気をつけて、良いお盆休みを。
by Mariko
🎧 Podcast New Release
【#19】高野山、天理市、ムスリム建築まで。宗教と都市の関係を改めて考えてみた
👉https://bit.ly/3abus40
先日奈良に訪れた際、天理市と、天理教の存在を恥ずかしながら初めて知った。天理市は、「宗教文化都市」として1954年に発足。現在では奈良で4番目に大きい街として、着実に発展を遂げている。無宗教者の私たちは、宗教と都市文化や建築様式の関係について、深く考えるということを、これまであまりしたことがなかった。近々、天理市をフィールドワークしながら、都市の構造や建築物について、詳しくリサーチしてみたい。そんなことをざっくばらんにおしゃべりしてみた。
👀 Good News of the Week
ブルックリン・ブリッジが生まれ変わる!?国際的デザインコンペ開催
ニューヨークのランドマークのひとつ、ブルックリン・ブリッジ。コロナウイルス感染症以前から、毎日何千人もの歩行者や自転車が行き交い、遊歩道がぎゅうぎゅうになってしまうといった課題を抱えていた。そこでニューヨーク市は、都市デザインを行う非営利団体ヴァン・エイレンと共に、市民から新しい橋のデザインアイデアを募るコンペ”Reimagining Brooklyn Bridge”を開催した。6名のファイナリストが選ばれ、彼らの提案はWebサイトで公表されている。ヴァン・エイレンはこれまでも、ニューヨークのゴミ箱のリデザインをコンペ形式で行うなど、市民のクリエイティビティをうまく集約させ、しっかりとそれを行政と共にまちにインストールしている。彼らのような中間機関の創造性がこれからの都市にはますます必要になってくるだろう。
女性建築家を描いたドキュメンタリー「City Dreamer」
Joseph Hillel監督によるドキュメンタリー作品「City Dreamer」が発表された。4人の女性建築家(Phyllis Lambert、 Denise Scott Brown、 Cornelia Oberlander、 Blanche Lemco van Ginkel)に焦点をあてた作品で、まだ日本語字幕はないようだが、都市・建築好きとしては絶対にチェックしたい内容となっている。著名な建築家は、圧倒的に(白人)男性が多い。だからこそ、4人のバイタリティ溢れる女性建築家の奮闘と生涯が描かれた本作品は、新鮮だし、勇気をもらえる。「建築って女性の仕事だと思ったのに、建築学校に入ったら男性ばっかりで。この男たちは、こんなところで何をしてるんだ、と思ったね。」普段はあまり意識しないかもしれないが、改めて、都市や建築業界に根付く男性主義を、ユーモアたっぷりに皮肉ってみたい。
👭 Our Urban Diary
信じるよりどころが、あるということ by Yukako
今回、ポッドキャストで宗教と都市について考えてみた。そういえば、ちょうど昨年、友人に都内のある場所に連れていってもらった。そこは、主に統合失調症の人が通う場所で、おしゃべりしたり、ご飯を食べたり、詩を書いたり、寝たりと、彼らの居場所になっている場所だった。そこに来ているある男性と話していた時、彼が天理市の教団組織について話しをし始めた。統合失調症の症状として、幻覚が聞こえたり、妄想が現実世界に出現して感じられたりするようなのだが、彼は、日々その教団のトップから叱咤激励されていると話す。寝ている最中も声が降りてきたり、外を歩いてる時もいきなり床を揺らしたり、苦労が絶えないようなのだが、その存在が自分を生きながらえさせていると嬉しそうに語るのだ。その表情がなんとも印象的で、幸福な表情だったのを、今でも鮮明に覚えている。彼にとっては、教団は自分を見守っていてくれる存在であり、現実を生きるための拠り所になっているのだ。信じるよりどころが、あるということ。自分にとってのそれは何なのだろうと、考えてみたくなった。
中国の超有名vlogger・李子柒(リー・ズーチー)の理想的な田園生活 by Mariko
中国の伝統的な田舎暮らしを動画で発信する「李子柒(li ziqi)」のYouTubeチャネルを友人から教えてもらってから、毎日2時間は寝る時間を削って観るほど、どハマりしている。圧倒的に美しい四川省の山村で、高齢の祖母と二人暮らしの彼女は、料理はもちろん、畑仕事から土木工事、染色、服飾まで全てなんでも手作りしてしまう。例えば、麦を種から育て、収穫して粉にし、それを調理して食卓に載せるまでや、コットンを育て、収穫して布団を作るまでの過程を、15分程度の動画で一気に見ることができる。私のような都市が大好きな人間でも、「理想の田舎暮らし」に心酔してしまいそうになるのは、やはり李子柒のマジックだ。結局理想郷は、田舎にあるのだろうか。彼女の究極の自給自足生活を見ていると、消費をベースに成り立つ都市生活への限界を感じてしまいもする。田舎=生産、都市=消費、という既存の規範に対するパラダイムシフトはいつ起きるのか。そんなことを考えている。
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石川由佳子 / アーバン・プロジェクト・ディレクター(WEB/instagram)
杉田真理子 / 編集者・リサーチャー(WEB/instagram)