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エアロビクス
兄が幼稚園に入った。
当時は専業主婦が保育園を利用できないので、私は母と共に行動した。
母は産後の脂がのった自分を変えたかったらしくエアロビクスに通い出した。
更衣室では幼い私は邪魔になるようで先に着替えた者たちが母に声をかけレッスン室に連れ出される。
その者たちが私を囲み、かわいいねなどと弄ぶ。
この者たちは私を見るとすぐNPCのように決まった言葉を繰り返す
仕方がない、笑顔の一つでも見せてやろう
(*´∀`*)ニコッ
取り巻き「キャー、笑ったぁ!かわいい〜」
全くもって仕方がない(*´Д`)私が可愛く生まれてしまったのも仕方がないと鼻を伸ばしていると
母が更衣室からでてくる。
(・o・)!?
レオタードという名のつるつるテカテカとした紫の衣を纏い、腹部は贅肉を隠そうとする布、脚には肌色のストッキングとレッグウォーマーを着用した今までとは一味違う姿で現れた。
よく見れば他の者たちも色は違えど似たような格好である。
エアロビクスの先生の声かけで体を柔らかくしたのち、音楽がかけられその者たちは、踊り出した。
わんつ、すりふぉ、ふぁいぶしっく、せぶんえぃ!
聞き慣れないイントネーション
母たちは音楽と声に合わせて足を伸ばしたり腕を曲げたり体をくねらせたりしている。
周りの者たちに比べ、母の動きはだいぶぎこちない。
白鳥の群れに紛れ込んだカバの踊りみたいに思えてならない。
レッスン室は母たちの向かい側は鏡張りであり、左を向けば母たちの姿を映し、右を向いても母たちがエアロビクスをしている。
(´゚д゚`)「…」
一体全体私は何をみせられているのだろうか?
休憩タイムが入り、母が私のそばにきて麦茶を飲ませる。私はお菓子を所望する。
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お菓子を貪る私。
休憩タイムが終わると再び母たちは謎の踊りを再開した。
手元におもちゃもなく、程よく腹が膨れ、あくびが出る。
いつまで続くのかわからないが、私がやることは何もなさそうだ。
私は眠りについた( ˘ω˘)スヤァ
数年後、私は小学生になっていた。
母が趣味の活動をするらしく、自室を解放し、他に子どもたち数人と大人も数人やってきた。
そこに今までみたことがない禍々しい紫のオーラのようなものを纏う女性が現れた。
このような人と今まで遭ったことがない。
その女性と目が合い、私は睨みつけられた。
あまりの怖さに泣き出す私。
ぶひっ!ぶひひー!(狼さんだ!狼さんが自宅に侵入した!食べられちゃう!!)
狼さんが母に言う
狼さん「あなたの子、ちょっと変よ」
母「そうなの。うちの子は奇行種なのよ」
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私「!!??」
狼さん「?、!!?」
母の対応に戸惑う狼さん
彼女のかもちだす負のオーラをしなる凪のように躱した母
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はっ(゜o゜)母がエアロビクスをしていたのはこういう時のためだったのか…(違う)
彼女のオーラは最初は禍々しい紫であったが、母や趣味友と関わり、次第に白い害のないオーラに転換していく。
彼女は宗教二世であり、とても苦しんでいた。
そして、彼女の変わりたいという勇気に母たちが一滴の澄んだ水を注いだ。
狼さんだったけれど、後ろにファスナーがついていたのだ。
彼女は母たちと関わることで獣の着ぐるみを脱ぐことができた。
そして、着ぐるみを収納した。
でも時折、狼の着ぐるみを着て、子どもたちを楽しませた
ところで母よ、私は奇行種じゃないよね?
母「そろそろ気づきなさい」
(´・ω・`)はい