永遠のテンポエムチャイルドクリスマス編その3
新幹線の中で
十詞子は
妖精に
どのようにして
悟とのきっかけを作るかを
相談しました。
十詞子:
ところで妖精さん
初対面の悟さんと
どんな風に会うのよ
教えて
うまく出来るかしら、、、
目薬の時も
死にそうだったのよ
二度とあんなこと出来ないわ
妖精:
それは大丈夫
私は妖精よ
魔法でちょいちょいとすればいいのよ
十詞子:
どうするの
妖精:
悟の持っている本を
私が魔法で落とすから
十詞子はその本につまずいてこけるの
すこし怪我をするほうが
いいかもしれないね
十詞子:
痛そうね
でも思いっきりやって
でも救急車が来ないくらいでお願い
痛いのは我慢するわ
悟ると会えるのなら
命だって惜しくは無いわ
妖精:
分かっているけど
死んだら会えないよ
十詞子:
ところで
妖精って
天使ではないよね
妖精って
湖の妖精とか
山の妖精とか言うでしょう
あなたは何の妖精なの
妖精:
気がついたの
私は十詞子が
前住んでいた部屋の床板に使っている
木の妖精なの
木がなくなってしまって
住むところがなくなったから
神様のお世話になっているの
天使は神様そのもので
数を増やすことは大変なんですって
人口が増えて救う人が増えたものだから
私アルバイトでしているのよ
こんな話をしながら
新幹線は京都間近になりました。
十詞子はふたり分の弁当を買って
妖精と一緒に食べました。
新大阪から
尼崎駅に到着しました。
妖精:
まだだいぶ早いみたいね
神様のタイムテーブルによれば
まだ二時間くらいあるみたい。
喫茶店で待ちましょうか。
その前に
あなたを
高校生にしなくっちゃね
そう言いながら
みんなが見ていないところで
星の付いた杖を振って
十詞子を高校生にしてみました。
服はそのままです。
高校生の時は
今よりちょっとだけ
体型が違って
おなかの部分がゆるくなってしまいました。
鏡を出して
自分の顔を映してみて
十詞子:
わー
高校生の私だ
肌に張りがあるよね
十詞子は驚きながら
悟と会えるのを楽しみに
喫茶店で待ちました。
まだかまだかと
妖精に聞きながら
2時間は過ぎていきました。
午後4時ごろになって
妖精は
「さあ行きましょう。
私は見えなくなるようにするから
私の姿と
声が聞こえるには
あなただけよ。
それと
喫茶店の
コーヒーと
ケーキ代払っておいてね」というと
立ち上がりました。
十詞子は
お金を払って
外に出ました。
妖精:
ちょっと待ってよ
まだ見たいね
十詞子:
どうするの
妖精:
私が歩く後ろを付いてきてね
まだよ。
ちょっと小走りが良いかな
少したってから
妖精:
さあ行きましょう。
十詞子は
小走りに走る
妖精の後ろと
付いていきました。
突然右のほうから
黒いジャンパーを着た男性が
前を横切ろうとしました。
十詞子は
歩く早さをゆっくりとした瞬間
足に何かが当たり
もんどりうって
頭から
路上にこけ始めました。
十詞子は
「あっ!」と叫びならが
こけていきました。
顔が
路上に激突しようと瞬間
妖精が
頭の下に
十詞子のカバンを敷いてくれて
顔だけは助かりました。
「痛い!」と大声で言いました。
右足のひざから
血が吹き出て
左足も血がにじんでいました。
黒いジャンパーの男性が
手に持っていた本を落としたために
それに足をとられて
十詞子はこけたのです。
もちろん
本を落としたのは
妖精の魔法のせいなので
男性には罪はありません。
しかしその男性は
すぐさま
十詞子を
助けに来ました。
手際よく
ハンカチを出して
十詞子の足の血を止めようとしました。
十詞子は
あまりの痛さに
目を閉じていましたが
薄目で見てみると
その男性は
悟だったのです。
悟:
ごめんなさい
私のせいで
こんな大怪我を
大丈夫ですか
救急車呼びましょうか
十詞子:
大丈夫
大丈夫よ
大丈夫だと思うわ
悟:
本当にごめんなさい。
妖精:
こんなところで話していても
何でしょう
『ちょっと休めたら大丈夫だから』
と言うのよ
十詞子:
ちょっと休めたら大丈夫だから
悟:
そうだよね
立てるかな
あそこの喫茶店に行こうか
十詞子:
大丈夫立てるみたい
妖精:
ちょっとよろけるのよ
(そう言われた十詞子は
少しよりよりけました。
悟は
手を差し伸べて
助けました)
悟:
ごめんね大丈夫ではないみたいじゃない
本当にごめんね
十詞子:
良いの
そういいながら
喫茶店に着きました。
喫茶店の店員は
十詞子がまた戻ってきたので
不審に思いながら
水を出しました。
窓側の席に座わりました。
妖精も
十詞子の隣に座りました。
ふたりは黙っていました。
妖精:
何か話すのよ
名前でも名乗ったら
十詞子:
私十詞子っていうの
悟:
僕は悟
本当にごめんね
僕が本を落としたから
十詞子:
そのことはもう良いです。
悟:
でも痛そうだよ
もう血が止まったかな
十詞子;
だいぶ止まっているみたい
妖精:
どこの学校なのと聞くのよ
十詞子:
どちらの学校に行っておられるの
悟:
東大阪のほうの大学
十詞子さんはどこの学校
十詞子:
私は東、、
妖精:
何言ってんの
豊岡の学校でしょう
十詞子:
豊岡です。
豊岡の高校です。
悟:
豊岡の高校?
今日は旅行かなんかで
妖精:
会社訪問というのよ
十詞子:
会社訪問で
会社に新しく勤めるので
その下見できました。
悟;
こちらに勤めるの
豊岡からだと遠いでしょう。
十詞子:
約3時間くらいかな
悟:
じゃ早く帰らないといけないんじゃないの
十詞子:
えー
妖精:
今夜は
ここに泊まる予定なの
と言いなさい
十詞子;
今夜はここで泊まる予定なの
明日も学校を休むように言ってあるの
悟:
そうなの
それはよかったです。
妖精:
来年からこちらだから
こちらのことを聞かせてほしいと言うのよ
十詞子:
来年はこちらのほうに
就職するので
こちらの事を
聞かせて欲しいです。
悟:
それは良いけど
その足は大丈夫なの
十詞子:
大丈夫よ
ふたりはこんな話をしながら
妙に盛り上がりました。
喫茶店に
2時間もいて
もう日も暮れてしまいました。
今日はクリスマスイブ
外を見ると
クリスマスのイルミネーションが
輝いていました。