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生理で溢れるもの

生理の前後はいろいろなものが乱れて、眠気と食欲と情緒不安定などがランダムにやってくるのだけど、この間はなんか変なものにでも取り憑かれたように自分の内側から何者かがやってきて、自分じゃないみたいだけど自分で起こっている。

とかくあの時期は自分自身をコントロールするのが難しい。というか操ろうなんてしない方がいい。「マグマが集まっていよいよ爆発」みたいなことを毎月繰り返してるような感じだし、その時の自分の欲求も実に様々だから、不思議な現象だなといつも思う。出産経験があるとまた感覚が違うのだろうか。世の女性の皆さんにも同じようなことがあるのだろうか。今回はその時の日記を出してみることにした。よくわからないけどsiriが何度もこの時のメモを推奨してくる。出せってこと?

* * *

2020年5月31日

生理がきて出血とともにわたしのリトルがギャン泣きした。
涙と鼻水と血がそれぞれから流れ落ち、まるで除霊か儀式のようだ。

急にあらわれたリトルの訴えは、
「わたしはこんなに頑張ってるんだ! 解ってよ解ってよ!」といったところか。
(霊に乗っ取られるってこんな感じなのかも。すごい荒ぶってる。)
と、頭のどこかでそんなジョークを飛ばすわたしもいる。

わたしなんだけど、わたしじゃない何かが胸の奥から叫んでる。
しばらく儀式は続く。
割れそうな頭と、裂けそうな心と、収縮する子宮と。激しい三重奏。
流れ続ける3つの液状のもの。

なぜか自然で解放的で、激昂のなかにもどこか安らぎを感じてる。

「あーわたしは生きている。」

奥の奥の潜在意識なのか、魂の叫びなのか、そんなものを拾って、身体がそれを流してあげている。

ふと体の外から「大丈夫?」という声が聞こえた。

幼いわたしの心は暗闇から這い出してふっと現実へ帰還した。
もう一人のわたしがいくら励ましても泣き止まなかったリトルは、外からの声には大人しく反応した。
(なんだよ。さっきは励ましても宥めても泣き止まなかったのに…。)

外からの声なら誰でもよかったのか。

それとも「私自身が本当に声をかけて欲しかった人」が声をかけてくれたからなのか。

* * *

無理したり悲しんでたりしてた自分が無意識の中でどこかにいて、それが生理の出血とともに一緒に流れでたみたい。実はこのあとから気持ちがすごいスッキリとしている。何かが洗浄された。女性は「特別な理由もなく涙する」ってよく話題に上がるけど、こうやって感情の波を利用して何かを吐き出す仕組みを持っているんだ、きっと。

では男性はどうするんだろう。女性も男性も関係なく留まってしまった感情は吐き出した方がいい。もしかしたら怒りも怒涛も涙と同じことか。私にはあまりない感情だから理解できなかったけど、もし怒ってる人や怒鳴ってる人がいたら、それは私の今回の生理のように、何かが悲しかったり無理したりしてる感情が溢れてしまってるだけかもしれない。これまで周りに構わず怒ったり怒鳴ってる人を「大人気ない」と否定的な目で見てしまっていたけど、悲しんで苦しんでる人かもしれない。そう思ったらこれからは優しい目で見られるようになれるかも。

マイナス感情の手放し方が上手くなれば、みんな穏やかに生きられる。でもひとりでは難しいことも多い。誰かの声によって救われる。またひとつ学んだ。


おわり

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