プロジェクトを成功に導く8つのポイント(7):早い成功体験
ロボットの導入に対して、本当に効果があるのか懐疑的な人も最初は多いはずです。RPAの効果をいくら言葉で説明しても、なかなか伝わりづらいかもしれませんが、「百聞は一見に如かず」で実際に成功したところを見せると効果的です。これはプロジェクト関係者に「早い成功体験」をしてもらうということです。そして「自分もやりたい」、「これだったらあの業務もできるはずだ」と思ってもらえればプロジェクトにいきおいがつきます。
早い成功体験の実現方法
早い成功体験の実現方法には、①PoCのお披露目会、②クイックヒットの実現の2つがあります。
①PoCのお披露目会
PoCを行う場合は、これを早い成功体験に活用することができます。PoCの一義的な目的は技術的な確認や操作性の評価ですが、ついでにお披露目会を行えばプロジェクト関係者の啓蒙にも役立ちます。
お披露目会は大きな会場で1回行うよりも、10~20人くらいの小さなグループセッションを複数回行ったほうが効果的です。集まった人たちがPoCに関わった人とコミュニケーションして理解を深めることができるからです。
また対象業務の選定にも配慮したほうがよいでしょう。あまり特殊な業務を見せても集まった人たちにピンとこないため、わかりやすい業務を選んだほうが効果的です。
②クイックヒットの実現
PoCを行わない場合はクイックヒットが次の成功体験のチャンスとなります。もちろんPoCにプラスしてクイックヒットを活用しても構いません。これもPoCと同じように、お披露目会のような形式で広く関係者に紹介します。
クイックイットはPoCよりも成功体験の効果が高くなります。PoCは一般的に外部ベンダーが行うため、成功体験といっても自分たちが成功したわけではありません。しかしクイックヒットは自分たちが直接関与して作り上げたため、PoCよりも成功体験という名にふさわしいのです。
クイックヒットの実現に関与した人たちは、いろいろ苦労もしただろうし、学んだこともあったでしょう。その体験をシェアすることは、より伝わるメッセージになるはずです。集まった人たちにとっても、自分と同じようなスキルしかない従業員がRPAを実現できているので、「自分たちでもできる」という実感を得るはずです。
成功体験の継続
初期の成功体験も時間とともに薄れていくため、成功体験には継続性も重要です。PoCやクイックヒットは「実現性の成功体験」であり、効率化によって大きな効果を実感したわけではありません。しかし次に「効果の成功体験」をすることができれば、プロジェクトの推進に拍車がかかるはずです。そのために「社内の事例紹介」を定期的に実施することが望ましいです。
社内の事例紹介は、集まった人たちにヒントを与えます。「あの業務が自動化できるということは、こっちの業務もできるのではないか」といった気づきを与えます。つまり事例が多く共有されればされるほど、社内における改善機会が広がるのです。そして改善機会が広がることによって関係者のモチベーションが維持・向上するという「善のスパイラル」に入ります。
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