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プロジェクトを成功に導く8つのポイント(5):適切な推進会議の運営

プロジェクトを着実に進めるためには適切な推進会議の運営が重要となります。推進会議とは、プロジェクトの進捗管理や課題管理を行う定期的なミーティングを指し、PRA導入では週次サイクルで実施することが多いです。ここでは「進捗管理」と「課題管理」のポイントを説明します。

進捗管理のポイント

プロジェクトの進捗管理によく使われる管理フォーマットが、下記のような「ガントチャート」です。よくあるスケジュール表ですが、使い方の間違ったガントチャーを現場でよく見かけます。適切な進捗管理を行うには、ガントチャートのフォーマットと作り方にいくつかポイントがあります。

実際に使い方の間違った、残念なガントチャーの特徴は、①実績を入れる欄がない、②タスクが大きすぎる、③アウトプットが不明確、④状況を表す欄がない、の4つがあります。

①実績を入れる欄がない

下記図表は、予定の部分に実績を上塗りして表示している例です。実際によく見かける表示方法です。図表の左側は予定に対して実績が進捗している様子がわかりますが、図表の右側では予定を超過してしまったため、元の予定が見えなくなっています。これではどれくらい予定を超過しているかわかりません。先の図表のように、上段に予定、下段に実績と分けて表示するのが正しい表記です。

②タスクが大きすぎる

下記は、1つのタスクが大きすぎる例です。図表では3日目まで実績が入っていますが、このまま行けば実績が毎日1つひとつ進むだけであって、順調なのか遅れているのかわかりません。タスクが適切にブレークダウンされていないため、進捗管理の意味をなしていないのです。

それではタスクはどれくらいの大きさが適切なのでしょうか。一般的に1つの作業量が40時間以下で完了できる単位が目安となり、これを「40時間の原則」と呼びます。40時間というと1人が1週間働くサイズですが、進捗管理を週次で行っていると1週間ごとに次のタスクへ進展するため、ちょうどよいサイズと言えます。

ただし、これもケースバイケースで、担当者がフルタイムで作業をしていない場合は40時間のタスクに何週間もかかるでしょうし、1つのタスクを複数人で担当する場合は40時間のタスクでは小さすぎるかもしれません。したがって進捗管理のタイミングを勘案して適切なサイズを選ぶ必要があります。またRPAの場合は開発期間が短いため、もう少し小さな単位で計画するほうが管理しやすいと思われます。

③アウトプットが不明確

ガントチャートでは、下図のように担当者とアウトプットを明示すべきです。これは進捗管理のためというよりは、タスクを確実に実行するために必要なことです。つまり、誰が責任をもってこのタスクを完遂するのか、何をもってこのタスクを完了とするのかを明確化しておきます。あたりまえのことですが、スケジュールは担当者とアウトプットが決まってはじめて実効性のある計画となるのです。

④状況を表す欄がない

下図の左側には「状況」という欄がありますが、この状況欄がないガントチャートには問題があります。図表の右側は状況欄がなく、たとえば「業務の設計」というタスクは完了しているのかどうかわかりません。また「RPAの設計」は予定超過していますが、終わる見通しが立っているのか心配になります。図表の左側のように「9日完了予定」というような「見通し」が必要です。わざわざ聞かないとわからないような表ではなく、見ればわかるような表にすべきです。

このように進捗管理を適切に行うには、「適切な管理フォーマット」が前提として必要になります。最近はガントチャートのソフトウェアも充実しているため、手作業でチャートを作る手間と時間を考えると、ツールを活用することも視野に入れるとよいでしょう。

課題管理のポイント

プロジェクトではさまざまな課題が発生しますが、これらの課題は推進会議で管理する必要があります。課題管理を行う目的は、課題が放置されたり、後回しにされたりして、プロジェクトが滞ることを防ぐためです。また課題管理を推進会議で扱う目的は、課題を1人で抱えて身動きが取れなくなってしまわないように、プロジェクトとして課題を認識し、プロジェクトとして早期に解決するためです。

①課題管理表のフォーマット

課題管理は一般的に次のような課題管理表を使います。図表では項目を必要最小限にしていますが、これ以外にも課題No、課題タイトル、影響範囲、完了条件、対応結果、対応完了日などを追加してもよいでしょう。ただし、あまり項目が多いと見づらくなる点にも注意しましょう。

②課題管理表の運用方法

プロジェクトで発生した課題は、重要度に関わらずすべて記載することが原則です。しかし、すぐ解決したような小さな課題も記載するかどうかはプロジェクトで方針を決めたほうがよいでしょう。これは簡単な課題でも共有することに価値がある場合もあるからです。

管理表はメンバーで共有するため、ファイルは共有フォルダなどに置き、メンバーがいつでも自由に追加、更新できるようにしておきます。また課題は1週間まとめて更新するものではなく、発生したその時に随時記載します。

③推進会議での課題管理

課題管理表にのせた課題は、次の推進会議を待って対応するのではなく、担当レベルですぐに対応します。ただし課題の内容によっては、自分で対応方針を決められなかったり、対応者が誰なのかわからなかったりするため、その場合は推進会議で対応方針を決めてもらいます。

推進会議では、ひととおり課題管理表に目を通し、適切に対応が取られているかどうか確認します。対応方針が決まっていなかったり、未対応のまま放置されていたりする課題は、プロジェクトとして適切な対応をとります。

④会議の頻度について

課題管理を推進会議とは別の会議体で行う場合もあります。これは課題に対して、もっと早い対応が求められる場合があるからです。プロジェクトによっては、毎朝30分くらいの課題管理会議を行っているところもあります。

会議の頻度をどうするかはプロジェクトの状況によります。日々の課題対応を担当レベルでスムーズに行えるのであれば、恐らく推進会議と同じ週次のタイミングで問題ないでしょう。しかし、ほとんどの課題を会議の場で決めなければ進まないようなプロジェクトでは、会議の頻度を上げざるを得ません。たとえば大規模プロジェクトで関係者が大勢いるような場合、担当レベルが勝手に動くと現場が混乱するため、推進会議などで課題対応の優先順位を決めるなど交通整理が必要なプロジェクトもあるからです。


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