今週のグッドデザインを紹介します（8/19 〜8/23）
今日は、 8月4週（8/19 〜8/23）のとれたてグッドデザイン5点をまとめてご紹介します！
8/19 インクジェットインク[構造色インクジェット技術]
光の屈折や干渉が発する色（構造色）を再現できるインクジェット技術。自然界にある昆虫や鉱石を構造色で出力できるだけでなく、自然界にない新たな表現も可能に。
受賞者によるデザイン紹介
構造色インクジェット技術は、特定の光波長を反射する微細構造を構築することで発色する新しいインクジェット方式。本物の構造色を印刷できるため、自然界にあるモルフォ蝶やタマムシなどを表現出来るだけでなく、データ出力のため自然界に無い構造色も表現が可能。本技術により、デザインの可能性を拡げる。
審査委員からのコメント
色素が発する色ではなく、光の屈折や干渉が発する色（構造色）を再現できるインクジェット技術である。これまでの印刷の常識にとらわれず、自然界の色を印刷で再現できないかという社内デザイナーの夢が取り組みのきっかけとなっており、柔軟な発想を生み出す環境と、それを具現化する技術力が実現したイノベーションに審査委員の評価が集まった。これからの教育やパッケージデザイン、製品加飾、アートの分野の表現を大きく拡張する、新たな印刷技術として大いに期待したい。
8/20 ヘッドホン[YH-L700A]
審査委員一同が「良い」とうなずいた、美しいヘッドホン。
受賞者によるデザイン紹介
長年に渡るAVアンプ開発で培った技術を応用することにより開発された、映画やライブ等の動画コンテンツを没入感の高い音で楽しむことができるホームシアターヘッドホン。様々なシーンに合わせた7つのサラウンドモードを搭載。あらゆるコンテンツを3次元音場で再現する。没入感を高めるために、無意識で扱える装着感と操作性を追求。
審査委員からのコメント
なんといっても本製品の魅力と評価ポイントはそのスタイリングにある。機能的には実際に耳の中で鳴っている音の伝達性を測定して音をリアルタイムで最適化する等、同社ワイヤレスヘッドフォンのフラッグシップとして相応しい音への拘りがある。しかし、一見して審査委員一同が「良い」とうなずいたそのスタイリングは、ヘッドフォンとして近年稀に見る美しいものだ。形のバランス、必然性、マテリアルの選択に加え、絶妙な味付けが随所に見て取れる。その味付けが、美しさと同時に音の良さを予感させてくれている点も高く評価したい。
8/21 飲食店[マイアマイア]
地域内外の人々のコミュニケーションを促し、まちの魅力を伝える拠点でありコミュニティを育むカフェ。
受賞者によるデザイン紹介
東京都豊島区の東長崎というベッドタウンの駅前にあるコーヒー店。空間デザインと運営の両面から地域内外の人々とのコミュニケーションや協働を促すデザインを、使うことと応答し合いながら生成し続けている。美味しいものを囲んで楽しく過ごす場であり、そこから生まれる関係やプロジェクトをエンパワメントする、街のコモニング拠点である。
審査委員からのコメント
東京は人がたくさん住んでいて、色んな人と知り合う機会があるようで、顔見知りになって、コミュニケーションをし、何か一緒にことを起こしたりするような出会いは、簡単にはないものだ。MIA MIAは一見すると小さな可愛らしいカフェにすぎないが、前述のような出会いの場となっている。その肝はインテリアやしつらえによる空間の力とともに、人と人とをつなぐコーディネーターであるバリスタの存在だ。バリスタの魅力的な人柄の力も大きく、仕組みとしてどこまで汎用性があるかはわからないが、ここを起点として様々な人がつながり、新しいプロジェクトが続々と起きているという事実を評価しない訳にはいかない。
8/22 電動リクライニングベッド[インタイム1000]
メカニカルな印象を感じさせない電動リクライニングベッド。「寝室に置きたくなる」ベッドを実現。
受賞者によるデザイン紹介
医療・介護分野の技術を活かし、必要な時には介護ベッドとしても使用できる電動リクライニングベッド。高齢化に伴う 健康課題を抱えている方であっても、毎日を前向きな気持ちで過ごしてもらえるよう配慮した。 メカニカルな印象を感じさせない、寝室に置きたくなるデザインを目指し、 日常の生活で快適にくつろげる機能を提案した。
審査委員からのコメント
電動リクライニングベッドインタイム1000は、介護ベッドとしても使用できる電動リクライニングベッドだ。全体的にはシンプルで電動ベッドには見えないデザイン。メカも様々な工夫で隙間などから見えないように工夫されている。これだけシンプルで介護ベッドに見えなければ一般の人も日常的に導入したくなるのではないだろうか。さらに、介護の度合いによって介護に必要な機能は全て追加していけるのも使用者に前向きな気持ちで豊かな毎日を過ごしてもらうためには嬉しい配慮だろう。
8/23 富士屋ホテル[富士屋ホテル]
歴史的な建物を保存しつつ現代のニーズに応えた、クラシックホテルの改修計画。
受賞者によるデザイン紹介
富士屋ホテルは、登録有形文化財の建物を含む、明治、大正、昭和の個性豊かな建築群より構成される。耐震改修促進法改正を契機に、文化財的価値の保存と安全性確保の両立を目指し、歴史的建物に耐震・防災改修を実施。ホスピタリティの高いサービス提供のため、最新機能の厨房等を含むカスケード・ウイングを新築し、歴史的建物に接続した。
審査委員からのコメント
明治・大正・昭和の時代に西洋の文化を受容し、日本の建築文化に取り入れた独特の意匠は、現代では到底実現し得ないような手仕事も相まって、文化的に非常に価値があり、後世に伝えていきたい建築遺産である。一方、残し引き継いで行くためには大変な労力と費用がかかることは想像にかたくない。このプロジェクトは、それを惜しまず、耐震・防災改修をしながら、貴重な意匠をほぼオリジナルの状態で復元し、現代的なサービスを実現すべく、必要な機能を付加するという難しい仕事をやり遂げたものである。プロジェクトチームに対して、敬意を評するとともに、こうした取り組みが広く知られることで、貴重な文化遺産をただ残すだけでなく、利活用しながら後世に引き継いでいく動きが広まることを願っている。
この連載では、グッドデザイン賞インスタグラムで毎日1点ずつアップしている受賞作品をまとめています。
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