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1人は半人前じゃない!人材不足を乗り越えるための考え方
慢性的な人材不足に悩む介護事業所は、まだまだ多いのではないでしょうか。現場で最も多く聞かれる不満のトップは「人手不足」の問題です。人手が足りないと業務量が増え、スタッフはどうしてもストレスを抱えやすくなります。その結果、言葉がきつくなり、人間関係が悪化する悪循環に陥ります。さらに、最悪の場合、あってはならない虐待につながるリスクも考えられます。
一般企業であれば、人員を減らしつつ業務を効率化する方向に舵を切ることも可能でしょう。しかし、介護の現場では利用者1人あたりの人員基準を守る必要があり、また、実際に人の手を必要とするため、どうしても「人」が欠かせません。
しかしながら、新しく入職したスタッフを大切に扱わない風潮があるのも事実です。介護未経験者には「使えない」と非難し、経験者には「やり方が違う」と批判する。こうした対応では、新しい職場に慣れようと努力する新人も、やる気を失い、最終的には離職してしまいます。
もちろん、新人スタッフの性格や対人スキルに問題がある場合もあるでしょう。しかし、どんな新人であれ「1.0人」として存在していることを認識してほしいのです。「半人前」という表現を使うこともありますが、人がそこにいれば、それだけで「1.0人」なのです。決して「0.5人」ではありません。そして、適切な指導や教育を続けていけば、1.0人だった新人が、1.1人、1.5人と成長していきます。
一方で、どんなに優秀な職員でも「2.0人」にはなれません。細胞分裂できるわけではありませんから(笑)。確かに事務作業であれば、効率化によって2人分の仕事をこなす人もいるかもしれませんが、介護の仕事では「人の手」が必要です。一人が二人分をこなすことは物理的に不可能なのです。
例えば、食事介助をしている場合、同じテーブルの複数の利用者に対応することはできても、隣のテーブルの利用者に手を伸ばすことはできません。だからこそ、「職場に1.0人のスタッフがいる」という重みを、全員が理解することが重要です。
さらに、人を育てる役割はリーダーだけのものではありません。職場全体で新人を育て、仕事に慣れてもらう必要があります。新人が成長し職場に定着することで、人材不足の問題を解消する道が開けるのです。
「1人はみんなのために、みんなは1人のために!」
みんなで力を合わせて、人が定着する職場をつくっていきましょう。未来の介護現場を支えるのは、みなさん一人ひとりの行動にかかっています!