見出し画像

未来を担う介護の現場:次世代へのバトンをどう繋ぐか

介護事業所に出向いて社内研修を行う際に伝えることは、
『次世代に繋ぐこと』です。
現在、介護の現場で働いている皆さんも、20年、30年後には介護を受ける側になる可能性があります。これは誰も避けられない現実です。
その時、果たして自分たちを介護してくれる人がいるのでしょうか?
慢性的な人手不足の中、一生懸命に頑張ってきた人たちが高齢者になったとき、介護を受けられない可能性があります。そんな状況だけは、何としても避けなければならないと考えます。

どんな事業所であっても、若い人たちが1人でも2人でも確実に入社し、彼らが継続して勤務してくれる状況を作り出さなければ、遅かれ早かれそのような状況に陥ってしまいます。
県立高校で就職希望者の支援をしていた際、本人は介護の仕事を希望しているのに、両親に反対されるケースが多々ありました。
反対の理由は、介護の仕事が給料が安い、きつい、汚いとされているからです。時には、両親自身が介護の仕事に従事しているにも関わらず、子供に勧めることができないというケースもありました。
これは非常に困った問題です。

給料についてですが、これまでnoteで取り上げてきたように、生涯を通じて得られる収入という視点で考えれば、決して低いわけではありません。介護業界は、子育てをしながら早期に職場復帰が可能な業界ですし、介護を続けながら仕事をすることも容易で、介護離職による収入途絶の心配もありません。さらに、突然のリストラの心配もまずありません。また、一般のサラリーマンなら60歳で定年ですが、介護業界では60歳を超えても現場で働いている人が多くいます。60代でも収入を確保できることは、大きなメリットです。

重要な点は、各職場で人をしっかりと成長させる仕組みを作り、共に仕事をすることで良好な人間関係を育むことです。
介護の仕事自体のやりがいについては、改めて説明する必要はないでしょう。若い人が育ち、定着する職場を作るには、実際に働いている職員のみなさんが協力して、自らの手で作り上げていかなければなりません。
良い職場を作り、息子さんや娘さんたちに『介護業界で一緒に頑張ろう』と言えるようにしていきましょう。
その視点で考えると、今の職場に何が不足しているかがより明確に見えてくるのではないでしょうか。課題が見えたら、後は解決に向けた行動を起こすだけです。一人でやるのではなく、職場の皆さんと共に、決して遠くはない未来を見据え、今から少しずつ行動を始めていきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?