【7月の限定コーヒー】ラ・クチヤ農園×Kariomons Coffee
GOOD COFFEE FARMSのコーヒー定期便では、
「顔の見えるコーヒー」を毎月お届けしています。
作り手と焙煎士(ロースター)がタッグを組み
初めて皆さまの手に届けられるコーヒー。
そのストーリーをロースターへのインタビューを
通してお伝えしていきます。
先月の定期便はこちら。
今月は、ユースメンバーのことみが、
長崎県よりカリオモンズコーヒーの
オーナー・伊藤 寛之さんにお話を伺います!
きっかけは一杯のコーヒー
ー 伊藤さんがコーヒー業界に足を踏み入れたきっかけを教えてください!
20代前半にカフェで働いていたときに、雑誌でスペシャルティコーヒーの存在を知って、実際に飲みに行って衝撃を受けました。
こんな感動的な体験を他の人にも味わってもらいたいと純粋に思ったんですよね。でも、当時長崎にはスペシャルティコーヒーを提供しているお店がなかった。だったら、自分で作ってしまおう!と。笑
大きなことをしたいというよりかは、自分自身がみんなと一緒に美味しいコーヒーを毎日たくさん飲みたかったんですよ。
ー カリオモンズコーヒーはダイレクトトレードを取り組んでいますよね。そこで大切にされていることはなんですか?
ダイレクトトレードは、正確に言うと取引の手段なんです。
農家さんから直接買い付けをする、それ自体に価値があるわけではない。
何をもってダイレクトトレードと定義するのかは曖昧な部分がありますが、僕は「継続性」がとても大事な要素の一つだと思っています。
一度行くだけなら今の時代簡単にできてしまうけれど、そこから次の年も、その次も、と長期的な関係性を築いていけるのか。
コーヒーは農作物なので、毎年消費者のみなさんが求める品質のコーヒーを同じ農家さんが作ることができるかはわからないじゃないですか。
ーコーヒーの品質が落ちてしまった時にはどのようにされているんですか?
そういうことはよくあるんです。
実際に今年も中米では不作の影響がありました。
そんな時、僕らが生産国にまで足を運んでいる意味は、品質が落ちてしまった原因を含めて生産の現状をしっかりと理解することにあります。
農家さんにとってはどうしようもならない気候変動の影響を受けてしまっているケースも多い。そのような背景をきちんと理解した上で、彼らが熱意を込めて作ったコーヒーであれば、問題なく購入します。
僕らができることは、農家さんから受け取ったバトンを日本のお客さんにストーリーを含めて届けること。その役目を放棄したくないし、この責任を果たすことがダイレクトトレードを行う意義だと思っています。
コーヒー農家の現状
ーコロナで中断していた産地訪問を今年再開されたと聞きました。いかがでしたか?
3年ぶりに再開することができました。
今回は二週間かけて、エルサルバドル、ニカラグア、ホンジュラスの3カ国にいってきました。楽しくて刺激的だったのですが、考えさせられることも多かったです。
サプライチェーンの歪みは生産側から表面化してくる印象があって、現地では年々状況が厳しくなっていることを改めて実感しました。特に今年は、ウクライナ情勢による肥料の高騰に始まり、インフレで日用品の価格も上昇していて、そこに気候変動による不作も重なった。
ー厳しい状況ですね。農家のみなさんのムードも悪かったのではないでしょうか?
ラテン気質でヒトは変わらず元気だけど、コーヒー生産へのモチベーションを維持しづらくなっていると感じました。話を聞いた農家さんの中には、コーヒー生産は自分たち限りで、子ども達には継いでほしくないという方もいた。
歯がゆいですよ。スペシャルティコーヒーは言ってしまえば「つまみ食い」。高品質な豆を高価格で買ってはいますが、いかんせん量が少ないので、農家さんはその収益だけでは生活できないんです。その他大部分のスペシャルティでないロットをどうしていったら農家さんの状況が良くなるかについてここ数年ずっと考えています。
ー 消費者ができることはありますか?
一番はたくさんコーヒーを飲んでもらうことですかね。
僕はコーヒーをぜいたく品だったり、何か特別なものにしたくはなくて。常に身近にある飲み物であってほしいと思っているんです。
だから、自分なりの楽しみ方でコーヒーを毎日飲んでもらうことにつきますね。欲を言えば、今まで話してきた農家さんの現状に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
ー 農家さんとのやりとりの中で一番苦労したポイントはなんですか?
やっぱり言語です。今でも一番の課題。中米の農家さんたちはスペイン語を話すのですが、いっている言葉の意味を理解するので精一杯で、その裏にある汲み取れていない心情があるのを痛感しています。
あと、もう一つ、「いいコーヒーがほしい」という気持ちをコントロールするのも最初は苦労しましたね。他のコーヒーショップにその農家さんの一番いいコーヒーを取られてしまうんじゃないか、という不安があったんですよ。
ーいわゆる独占欲みたいなやつですかね?
そうですね。でも今は、農家さんが出してくれた豆が仮に一番いいものではないとしても「カリオモンズにはこれを」と出してくれたことにバリューがあるなと思っています。
農家さんって結構隠し玉みたいな豆があって、付き合いが深くなって初めて用意してくれたコーヒーもあったりして。やっぱり自分の努力だけではどうしようもない部分があるので、いい意味で諦めがついたというか、彼らが提案してくれるものを受け入れる努力をしよう、とマインドに切り替えていますね。
「ほんのちょっとの余裕を託してもらいたい」
ー生産側で見られた現状を消費側に伝える上でどのようなことを意識していますか?
ポジティブとネガティブ、両面性を伝えるようにしています。
コーヒー産業は社会の一部なんで、どうしてもありのままを伝えると重いんですよね。かといって、ポジティブなことばかりを伝えていては、わざわざ現地にまで足を運んでいる意味がない。
これも「継続性」が大切だと思います。伝え続けることで、「あ、この人、このコーヒーショップがいっていることだから耳を傾けてみよう」という影響力を持つことができると信じています。
お客様に、他のお店よりちょっと高くてもここのカフェで買おう、と思ってもらえるように。
農家さんに対しても同じですね。この人は毎年来てくれて農園の状況をお客様に伝える努力をしているから良い豆を売りたいな、と思ってもらえるように。
こうしたみんなの「ほんのちょっとの余裕」を託してもらえるようにこれからも努力を続けていこうと思っています。
ー 今後計画されていることについて教えてください!
直近のイベントとしては、「種と旅と」という企画に参加します(2022年7月21日(木)より15日間開催)。日本全国で各地の伝統と風土を伝えていくことを目的に、100店舗以上のお店が同時多発的に開催するんですけど。カリオモンズも地元長崎の街と、ダイレクトトレードを行う中米の風土をかけ合わせた取り組みができたらと思っています。
今後の展望としては、産地に行けていない間に僕たちが何をしているのかをあまり知らないお客さんが増えたんですよ。もう一度、自分たちが大切にしている部分を丁寧に伝える努力を惜しまないようにしなくてはと思っています。3歩進んだところを2歩下がるイメージですね、コーヒーに関しては。
ー コーヒー以外でも何かお考えなんですか?
実は年内にお菓子屋を作ろうと思っているんです。長崎のカリオモンズコーヒーの店舗内で。今までコーヒーひと筋でやってきたので、今度はコーヒーをもっと楽しめる提案をしていきたいなと思って。新たな挑戦です!
ー 最後に、定期便でお届けするコーヒーについて教えて下さい!
若い生産者ということにビックリしました。
遠い国の生産者というと、どこか年配の方をイメージすることも多いと思うんですけど、20代の若い世代で良いコーヒーを作ろうという人も増えてきているんですよね。
今回お届けするコーヒーの生産者・ルイス君も24歳。自分で作ったコーヒーが海を隔てて遠く離れた日本で飲まれているというのは、彼にとっても嬉しいことだと思う。
僕らも彼のコーヒーのテロワールを最大限引き出せるように、心をこめて焙煎します。ぜひ一度ブラックでありのままの味を楽しんでもらえたら嬉しいです。
毎月限定コーヒー豆が届く定期便は、以下リンクから。
生産者から焙煎士へとバトンが繋がり、あなたのお手元に届きます。
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